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第5章 止まっていた運命が動き出す
第280話 家族ならば
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「っ!?」
主のかつてない動揺が手綱越しに伝わったのか、脇道に入ったステインは通行の邪魔の入らない場所で足を止めた。
「ありがとう、ステイン」
メストから感謝されてご機嫌そうに鼻を鳴らすステイン。
だが、手綱を握っているカミルはそれどころではなかった。
(私と同じく魔力を剣に纏わせて戦う。それって、もしかして……)
カミルの脳裏に浮かぶ2人の男性。
その2人は、カミルと同じく銀髪で淡い緑色の瞳を持ち、透明な魔力を得物に纏わせてあらゆる脅威から弱者を守ってきた。
メストから表情を悟られないように無理矢理無表情に戻したカミルは、手綱を握っている手が震えていることを知りつつも、いつもように淡々とした声で問い質す。
「……その方は、どんな剣を使っていましたか?」
「どんな剣というと?」
(今のメスト様に、私の正体がバレているとは思っていない。だったら、もう少し踏み込んだことを聞こう)
小首を傾げるメストに、カミルは勇気を振り絞って聞く。
「例えば、大剣とか片手剣とか……私が使っているレイピアとか」
「あぁ、そういうことか」
カミルが聞いてきたことを理解したメストは、調査の時に会った護衛騎士のことを思い出す。
「確か、銀色の大剣だった。そして……」
レイピアに一瞬視線を向けたメストは、カミルに視線を戻すと真剣な表情で答えた。
「お前と同じように剣に何かが刻まれていた」
「っ!」
その瞬間、一瞬表情を引き攣らせたカミルは咄嗟にレイピアの柄を強く握った。
(何かが刻まれている銀色の大剣に魔力を纏わせて戦う。そんなの1人しかいない!)
『フリージア! そんなへなちょこ剣じゃ、メストなんて守れないぞ!』
カミルの頭の中に蘇った銀髪の青年。
(間違いない、リュシアン兄様だわ!!)
「生きて、いたんだ」
「っ!?」
(リュシアン兄様、生きていらっしゃったのですね!)
リュシアンが生きていたことに、人知れず歓喜に打ち震えていたカミル。
その横で、カミルの呟きを聞き逃さなかったメストは目を細めて問い質す。
「もしかして、お前の家族なのか?」
「っ!」
(もしかして、口に出ていた!?)
一瞬目を見開いたカミルは、咄嗟に口元を覆ったが既に時遅し。
大きく目を見開いたメストは、カミルの華奢な両肩を掴むとこちらに向かせた。
「やはりそうだったんだな!! カミル!!」
(カミルの反応を見る限り、『ザール』と言っていた護衛騎士は間違いなくカミルの肉親だ。そして、カミルはそのことを知っていた。つまり……)
「お前、孤児院を離れて没落貴族の屋敷にいた時、どこかで本当の家族と会っていたんだな?」
「……覚えていたのですね。私が孤児院で育って、没落貴族の屋敷で働いていたことを」
「当たり前だ。俺は、カミルの弟子なのだから」
「そう、でしたね」
『元々私は、どこかの国の孤児院にいました』
『孤児院の子達と外で遊んでいた時、紳士服を着たご老人が偶然孤児院の前を通りがかり、楽しく遊んでいる私と目があった瞬間、何かに驚いたご老人が、そのまま私の引き取り手になっていただいたのです』
(随分前についた嘘の話を今でもはっきり覚えていたなんて本当に真面目な人ね)
自嘲気味に笑うカミルに、少しだけ怒りを覚えたメストは大きく息を吐くと両肩を掴んでいた手を離した
「すまん。他人様のことなのについ熱くなってしまった」
「いえ」
掴まれていた両肩を軽くさすったカミルは手綱を握る。
すると、メストがカミルの手を覆い被さった。
「っ!? メストさ……」
「どうしてカミルが嘘をついたのか、そして俺が会ったそいつが本当にカミルの家族なのか、今は聞かない。でも……」
(もし、もし、カミルの本当の家族というのなら……)
「もし、離れ離れになった本当の家族なら俺が……」
「本当の家族なら」
「えっ?」
カミルの淡い緑色の瞳が、メストを冷たく射貫く。
「本当の家族なら、あなた様はどうしてくれるのですか?」
主のかつてない動揺が手綱越しに伝わったのか、脇道に入ったステインは通行の邪魔の入らない場所で足を止めた。
「ありがとう、ステイン」
メストから感謝されてご機嫌そうに鼻を鳴らすステイン。
だが、手綱を握っているカミルはそれどころではなかった。
(私と同じく魔力を剣に纏わせて戦う。それって、もしかして……)
カミルの脳裏に浮かぶ2人の男性。
その2人は、カミルと同じく銀髪で淡い緑色の瞳を持ち、透明な魔力を得物に纏わせてあらゆる脅威から弱者を守ってきた。
メストから表情を悟られないように無理矢理無表情に戻したカミルは、手綱を握っている手が震えていることを知りつつも、いつもように淡々とした声で問い質す。
「……その方は、どんな剣を使っていましたか?」
「どんな剣というと?」
(今のメスト様に、私の正体がバレているとは思っていない。だったら、もう少し踏み込んだことを聞こう)
小首を傾げるメストに、カミルは勇気を振り絞って聞く。
「例えば、大剣とか片手剣とか……私が使っているレイピアとか」
「あぁ、そういうことか」
カミルが聞いてきたことを理解したメストは、調査の時に会った護衛騎士のことを思い出す。
「確か、銀色の大剣だった。そして……」
レイピアに一瞬視線を向けたメストは、カミルに視線を戻すと真剣な表情で答えた。
「お前と同じように剣に何かが刻まれていた」
「っ!」
その瞬間、一瞬表情を引き攣らせたカミルは咄嗟にレイピアの柄を強く握った。
(何かが刻まれている銀色の大剣に魔力を纏わせて戦う。そんなの1人しかいない!)
『フリージア! そんなへなちょこ剣じゃ、メストなんて守れないぞ!』
カミルの頭の中に蘇った銀髪の青年。
(間違いない、リュシアン兄様だわ!!)
「生きて、いたんだ」
「っ!?」
(リュシアン兄様、生きていらっしゃったのですね!)
リュシアンが生きていたことに、人知れず歓喜に打ち震えていたカミル。
その横で、カミルの呟きを聞き逃さなかったメストは目を細めて問い質す。
「もしかして、お前の家族なのか?」
「っ!」
(もしかして、口に出ていた!?)
一瞬目を見開いたカミルは、咄嗟に口元を覆ったが既に時遅し。
大きく目を見開いたメストは、カミルの華奢な両肩を掴むとこちらに向かせた。
「やはりそうだったんだな!! カミル!!」
(カミルの反応を見る限り、『ザール』と言っていた護衛騎士は間違いなくカミルの肉親だ。そして、カミルはそのことを知っていた。つまり……)
「お前、孤児院を離れて没落貴族の屋敷にいた時、どこかで本当の家族と会っていたんだな?」
「……覚えていたのですね。私が孤児院で育って、没落貴族の屋敷で働いていたことを」
「当たり前だ。俺は、カミルの弟子なのだから」
「そう、でしたね」
『元々私は、どこかの国の孤児院にいました』
『孤児院の子達と外で遊んでいた時、紳士服を着たご老人が偶然孤児院の前を通りがかり、楽しく遊んでいる私と目があった瞬間、何かに驚いたご老人が、そのまま私の引き取り手になっていただいたのです』
(随分前についた嘘の話を今でもはっきり覚えていたなんて本当に真面目な人ね)
自嘲気味に笑うカミルに、少しだけ怒りを覚えたメストは大きく息を吐くと両肩を掴んでいた手を離した
「すまん。他人様のことなのについ熱くなってしまった」
「いえ」
掴まれていた両肩を軽くさすったカミルは手綱を握る。
すると、メストがカミルの手を覆い被さった。
「っ!? メストさ……」
「どうしてカミルが嘘をついたのか、そして俺が会ったそいつが本当にカミルの家族なのか、今は聞かない。でも……」
(もし、もし、カミルの本当の家族というのなら……)
「もし、離れ離れになった本当の家族なら俺が……」
「本当の家族なら」
「えっ?」
カミルの淡い緑色の瞳が、メストを冷たく射貫く。
「本当の家族なら、あなた様はどうしてくれるのですか?」
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