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第5章 止まっていた運命が動き出す
第281話 戦う理由
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「『どうして』って……」
啞然とするメストに、いつになく冷たい表情をしたカミルが話を続ける。
「そもそも、その方が私の家族という確証は無いのですよね?」
(嘘、その人は間違いなく私の家族)
「確かに、そうかもしれないが……」
「それに、その方が仮に私の家族だったとして、あなた様は一体何をしてくれるのですか?」
(違う。本当はそんなこと言いたくない)
カミルは分かっていた。
騎士として誠実なメストなら、必ず家族を探して自分と引き合わせてくれることを。
けれど、それをしてしまったらカミルは家族との約束を破ることになってしまう。
大切な人達を守るための約束を。誓いを。
「それは、騎士として……」
「騎士がたかが平民のことに力を貸してくれると思うのですか?」
(ごめんなさい。でも、これ以上首を突っ込んだら、あなた様を危険に晒してしまうから)
カミルは、メストを守るためにあえてキツイ言い方をして突き放した。
これ以上、彼に自分のことに深入りして欲しくないから。
それが、彼を守ることだと信じて。
落ち込んだように俯くメストを見て、一瞬唇を噛んだカミルは持っていた手綱から手を離した。
「すみません、言いすぎました」
「いや、俺も突っ込んだことを聞いてしまってすまなかった。けど、2つだけ聞かせてくれ」
「2つですか?」
「あぁ、2つだけだ」
(この際だ、今まで聞けなかったことを聞こう)
真剣な表情で頷いたメストは、今まで聞こうと思っても聞かなかったことを問い質す。
「1つは、どうしてレイピアを持って戦っている?」
「それは……」
困ったように顔を俯かせたカミルを見て、一瞬下唇を噛んだメストは拳を握ると口を開いた。
「王都にいる騎士がどうしようもない奴らだから戦っているのは分かっている。だが、どうしてわざわざレイピアを使って戦っているんだ?」
メストの問いにカミルは静かに考えを巡らせる。
(確かに、今のペトロート王国でレイピアを持って戦う平民なんておかしい。でもそれはあの人が、エドガスが……)
「もしかして、人助けをする傍ら、家族を探していた……」
「違います」
メストからの真剣な問いに、間髪入れずに否定したカミルはいつものように淡々と答える。
「私を引き取ってくれたおじいさんがやっていたからそれを引き継いでいる。ただ、それだけです」
「それって、おじいさんもレイピアを使っていたということか?」
「まぁ、そうなりますね」
(本当は、エドガスが使っていたのはレイピアじゃなくて暗器なんだけど)
ペトロート王国から遥か東にある小国から来たエドガスは、幼い頃から暗殺術を叩きこまれ、若い頃から数多の要人を手にかけたという。
そして、この国に流れて着いたエドガスは、貴族の家の執事として働く傍ら、当主の命令で諜報活動をしたり、暗殺稼業に手を染めたりしていた。
その後、執事を引退したエドガスは、悪徳騎士達から平民を守るために、命尽きるその日まで暗器を用いて戦っていた。
「それじゃあ、おじいさんが使っていたレイピアは今どこに?」
「墓の中です。おじいさんが生前、そうして欲しいと遺言を残されていたので」
「そうか」
(本当に今日はどうしたの? まさか、私の正体がバレて……)
メストからの質問にカミルが内心冷や汗を掻いていたが、次に飛んできたメストからの質問に思わず目を見開く。
「では2つ目。どうして魔力が使える?」
「っ?! そ、それは……」
(『先代が使っていたから』と言えばいいだけ。分かっている。でも、どうして口が思うように動かないの?)
「カミル」
珍しく動揺して口をパクパクさせるカミルの細長い手を取ったメストは、そのまま両手で優しく包み込む。
「俺は、カミルのことを知りたいんだ」
啞然とするメストに、いつになく冷たい表情をしたカミルが話を続ける。
「そもそも、その方が私の家族という確証は無いのですよね?」
(嘘、その人は間違いなく私の家族)
「確かに、そうかもしれないが……」
「それに、その方が仮に私の家族だったとして、あなた様は一体何をしてくれるのですか?」
(違う。本当はそんなこと言いたくない)
カミルは分かっていた。
騎士として誠実なメストなら、必ず家族を探して自分と引き合わせてくれることを。
けれど、それをしてしまったらカミルは家族との約束を破ることになってしまう。
大切な人達を守るための約束を。誓いを。
「それは、騎士として……」
「騎士がたかが平民のことに力を貸してくれると思うのですか?」
(ごめんなさい。でも、これ以上首を突っ込んだら、あなた様を危険に晒してしまうから)
カミルは、メストを守るためにあえてキツイ言い方をして突き放した。
これ以上、彼に自分のことに深入りして欲しくないから。
それが、彼を守ることだと信じて。
落ち込んだように俯くメストを見て、一瞬唇を噛んだカミルは持っていた手綱から手を離した。
「すみません、言いすぎました」
「いや、俺も突っ込んだことを聞いてしまってすまなかった。けど、2つだけ聞かせてくれ」
「2つですか?」
「あぁ、2つだけだ」
(この際だ、今まで聞けなかったことを聞こう)
真剣な表情で頷いたメストは、今まで聞こうと思っても聞かなかったことを問い質す。
「1つは、どうしてレイピアを持って戦っている?」
「それは……」
困ったように顔を俯かせたカミルを見て、一瞬下唇を噛んだメストは拳を握ると口を開いた。
「王都にいる騎士がどうしようもない奴らだから戦っているのは分かっている。だが、どうしてわざわざレイピアを使って戦っているんだ?」
メストの問いにカミルは静かに考えを巡らせる。
(確かに、今のペトロート王国でレイピアを持って戦う平民なんておかしい。でもそれはあの人が、エドガスが……)
「もしかして、人助けをする傍ら、家族を探していた……」
「違います」
メストからの真剣な問いに、間髪入れずに否定したカミルはいつものように淡々と答える。
「私を引き取ってくれたおじいさんがやっていたからそれを引き継いでいる。ただ、それだけです」
「それって、おじいさんもレイピアを使っていたということか?」
「まぁ、そうなりますね」
(本当は、エドガスが使っていたのはレイピアじゃなくて暗器なんだけど)
ペトロート王国から遥か東にある小国から来たエドガスは、幼い頃から暗殺術を叩きこまれ、若い頃から数多の要人を手にかけたという。
そして、この国に流れて着いたエドガスは、貴族の家の執事として働く傍ら、当主の命令で諜報活動をしたり、暗殺稼業に手を染めたりしていた。
その後、執事を引退したエドガスは、悪徳騎士達から平民を守るために、命尽きるその日まで暗器を用いて戦っていた。
「それじゃあ、おじいさんが使っていたレイピアは今どこに?」
「墓の中です。おじいさんが生前、そうして欲しいと遺言を残されていたので」
「そうか」
(本当に今日はどうしたの? まさか、私の正体がバレて……)
メストからの質問にカミルが内心冷や汗を掻いていたが、次に飛んできたメストからの質問に思わず目を見開く。
「では2つ目。どうして魔力が使える?」
「っ?! そ、それは……」
(『先代が使っていたから』と言えばいいだけ。分かっている。でも、どうして口が思うように動かないの?)
「カミル」
珍しく動揺して口をパクパクさせるカミルの細長い手を取ったメストは、そのまま両手で優しく包み込む。
「俺は、カミルのことを知りたいんだ」
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