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第5章 止まっていた運命が動き出す
第303話 平民1人と騎士2人
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「カミル!」
「「っ!?」」
(この声、もしかしなくてもメスト様!?)
ついさっきまで話していた聞き馴染みのある男の声に、肩を震わせたカミルは咄嗟に声が聞こえた方を振り向く。
そこには、ラピスと同じく、使い込まれた全身鎧に身を包んだメストが肩で息をしながら立っていた。
「フリージア嬢。あの方ってもしかしなくても……」
「えぇ、あなたが思っている人で間違いないわ」
「本当かよ」
自分の上司であるメストを視界に入れ、双剣を下ろしたラピスは警戒するように睨みつける。
すると、息を整えたラピスが2人に合流した。
「カミル。良かった、無事で……って、君は!?」
(フォルダン家の家紋。ということは、ラピスか?!)
傷1つないカミルを見て安堵の笑みを浮かべたメストは、横にいたラピスに思わず目を見開く。
それを見たラピスは再びカミルに囁いた。
「なぁ、隊長はお前のことを……」
小さく首を横に振るカミルを見て、少しだけ眉を顰めたラピスはと小さく息を吐いた。
「まぁ、そうなるよな」
(今の隊長は、あの女と同じなのだから)
「ちょっと! 援軍なんて愚民の分際で卑怯じゃないかしら!」
「その言葉、そっくりそのままお返しするぞ」
「何ですって!?」
(自分だって援軍を呼んでいるくせに何を言っているんだ?)
お門違いな文句を言ってきたダリアにラピスが淡々と言い返すと、憤慨したダリアを周囲にいた黄金の騎士達や宮廷魔法師達が宥め始める。
その様子を一瞥したカミルは、視線をメストに戻すと声をかける。
「それよりも、どうしてあなた様が?」
「もちろん、カミルを助けるためだ」
「っ!?」
(私を助けるために、わざわざ鎧姿になって戻ってきたってこと?)
メストの言葉に、カミルの中で嬉しさと同時に怒りがこみ上げる。
(助けに来てくれたことは素直に嬉しい。けれど、それと同じくらい……)
真剣な表情のメストに、カミルは冷たい目を向けて問い質す。
「だとしたら、ステインは一体どちらに? まさか、あの場所に放置したなんて言いませんよね?」
(あの子は、エドガスから受け継いだ大事な子。だから、あの子を危険に晒すような真似をしたら、いくらメスト様でも許せない!)
レイピアを持つ力が入るカミルに、メストは優しく微笑んだ。
「それなら心配するな。ちゃんと安全な場所に避難させている」
「安全な場所?」
「あぁ、あの近くに荷馬車用の馬小屋があるのは知っているよな? そこに避難させた」
「なるほど、それでしたら大丈夫そうですね」
(それに、あの馬小屋には結界魔法がかけられているから、ステインが危険な目に遭うことはないはず)
ステインが安全な場所に避難していると知ったカミルは内心安堵した。
すると、メストの視線がラピスの方に向けられた。
「ところでラピス。どうして君がここにいるんだ? それも、カミルと一緒に?」
(ラピスとカミルが親しくしているなんて話は聞いたことが無いが……)
不思議そうに小首を傾げるメストに、小さく下唇を噛んだラピスは小さく息を吐くと冷たい目を向けた。
「『カミル』ね。まぁ、今のあなたならそう呼ぶのでしょう」
「えっ?」
今のメストに、ラピスの言葉は不審がるのも無理はないとラピス自身分かっている。
それでも、記憶を取り戻したラピスは、メストがカミルを本当の名前で呼ばないことに苛立ちを感じてしまう。
だから、メストに対して八つ当たりのようなことを口にしてしまった。
それが、無駄なことだと分かっていても。
(そうか、今までフリージア嬢は、俺たちと会うたびにこんな虚しい気持ちになっていたのか)
無表情でメストを見るカミルの横顔に悔しさを覚えつつ、小さく溜息をついたラピスはメストに背を向けて双剣を構える。
「『あなたと同じ理由でここにいます』と言ったら納得してくれますか?」
「それは……」
「あと、今の俺は流れの冒険者です。そうじゃないと、あの女を騙すことが出来ませんから」
「っ!?」
ラピスの辛辣な言葉で視線を前に戻したメストは、騎士達や宮廷魔法師達に慰められているダリアを目の当たりにする。
「ダリア……」
(どうして、どうして君がこんな愚かなことをしている? 君は、この国の宰相家令嬢じゃなかったのか?)
カミルとラピスの殺気立った態度、そして、野次馬達がダリアに向けられる忌避な目に、ダリアの婚約者であるメストは言葉を失う。
そんな彼に、レイピアを構えたカミルがそっと囁く。
「言っておきますが、この事態を引き起こしたのは他ならない婚約者様です。私は……いや、私たちはそれを止めたにすぎません。ですから……」
カミルの冷たく放った一言は、メストの心に深く動揺を与えた。
「今のあなた様に、婚約者様に剣を向ける覚悟はありますか?」
「「っ!?」」
(この声、もしかしなくてもメスト様!?)
ついさっきまで話していた聞き馴染みのある男の声に、肩を震わせたカミルは咄嗟に声が聞こえた方を振り向く。
そこには、ラピスと同じく、使い込まれた全身鎧に身を包んだメストが肩で息をしながら立っていた。
「フリージア嬢。あの方ってもしかしなくても……」
「えぇ、あなたが思っている人で間違いないわ」
「本当かよ」
自分の上司であるメストを視界に入れ、双剣を下ろしたラピスは警戒するように睨みつける。
すると、息を整えたラピスが2人に合流した。
「カミル。良かった、無事で……って、君は!?」
(フォルダン家の家紋。ということは、ラピスか?!)
傷1つないカミルを見て安堵の笑みを浮かべたメストは、横にいたラピスに思わず目を見開く。
それを見たラピスは再びカミルに囁いた。
「なぁ、隊長はお前のことを……」
小さく首を横に振るカミルを見て、少しだけ眉を顰めたラピスはと小さく息を吐いた。
「まぁ、そうなるよな」
(今の隊長は、あの女と同じなのだから)
「ちょっと! 援軍なんて愚民の分際で卑怯じゃないかしら!」
「その言葉、そっくりそのままお返しするぞ」
「何ですって!?」
(自分だって援軍を呼んでいるくせに何を言っているんだ?)
お門違いな文句を言ってきたダリアにラピスが淡々と言い返すと、憤慨したダリアを周囲にいた黄金の騎士達や宮廷魔法師達が宥め始める。
その様子を一瞥したカミルは、視線をメストに戻すと声をかける。
「それよりも、どうしてあなた様が?」
「もちろん、カミルを助けるためだ」
「っ!?」
(私を助けるために、わざわざ鎧姿になって戻ってきたってこと?)
メストの言葉に、カミルの中で嬉しさと同時に怒りがこみ上げる。
(助けに来てくれたことは素直に嬉しい。けれど、それと同じくらい……)
真剣な表情のメストに、カミルは冷たい目を向けて問い質す。
「だとしたら、ステインは一体どちらに? まさか、あの場所に放置したなんて言いませんよね?」
(あの子は、エドガスから受け継いだ大事な子。だから、あの子を危険に晒すような真似をしたら、いくらメスト様でも許せない!)
レイピアを持つ力が入るカミルに、メストは優しく微笑んだ。
「それなら心配するな。ちゃんと安全な場所に避難させている」
「安全な場所?」
「あぁ、あの近くに荷馬車用の馬小屋があるのは知っているよな? そこに避難させた」
「なるほど、それでしたら大丈夫そうですね」
(それに、あの馬小屋には結界魔法がかけられているから、ステインが危険な目に遭うことはないはず)
ステインが安全な場所に避難していると知ったカミルは内心安堵した。
すると、メストの視線がラピスの方に向けられた。
「ところでラピス。どうして君がここにいるんだ? それも、カミルと一緒に?」
(ラピスとカミルが親しくしているなんて話は聞いたことが無いが……)
不思議そうに小首を傾げるメストに、小さく下唇を噛んだラピスは小さく息を吐くと冷たい目を向けた。
「『カミル』ね。まぁ、今のあなたならそう呼ぶのでしょう」
「えっ?」
今のメストに、ラピスの言葉は不審がるのも無理はないとラピス自身分かっている。
それでも、記憶を取り戻したラピスは、メストがカミルを本当の名前で呼ばないことに苛立ちを感じてしまう。
だから、メストに対して八つ当たりのようなことを口にしてしまった。
それが、無駄なことだと分かっていても。
(そうか、今までフリージア嬢は、俺たちと会うたびにこんな虚しい気持ちになっていたのか)
無表情でメストを見るカミルの横顔に悔しさを覚えつつ、小さく溜息をついたラピスはメストに背を向けて双剣を構える。
「『あなたと同じ理由でここにいます』と言ったら納得してくれますか?」
「それは……」
「あと、今の俺は流れの冒険者です。そうじゃないと、あの女を騙すことが出来ませんから」
「っ!?」
ラピスの辛辣な言葉で視線を前に戻したメストは、騎士達や宮廷魔法師達に慰められているダリアを目の当たりにする。
「ダリア……」
(どうして、どうして君がこんな愚かなことをしている? 君は、この国の宰相家令嬢じゃなかったのか?)
カミルとラピスの殺気立った態度、そして、野次馬達がダリアに向けられる忌避な目に、ダリアの婚約者であるメストは言葉を失う。
そんな彼に、レイピアを構えたカミルがそっと囁く。
「言っておきますが、この事態を引き起こしたのは他ならない婚約者様です。私は……いや、私たちはそれを止めたにすぎません。ですから……」
カミルの冷たく放った一言は、メストの心に深く動揺を与えた。
「今のあなた様に、婚約者様に剣を向ける覚悟はありますか?」
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