木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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第5章 止まっていた運命が動き出す

第306話 ラピスVS宮廷魔法師達

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「さすが隊長。無効化魔法なんて知らないはずなのに、フリージア嬢の魔法が切れたタイミングで強化魔法を使って一気に騎士達の懐に突っ込むなんて」


 (伊達に2年もフリージア嬢の弟子をしているだけのことはあるのか)

 尊敬する上司の素早い判断に感心していたラピスは、メストが騎士達と対峙している隙に、強化魔法が付与された魔道具を使い、宮廷魔法師達が集まる場所に駆けた。


「なっ! 貴様! なぜここに!?」
「『なぜここに?』って、もちろんあんた達を倒すためだ」
「っ!! 《ファイヤーアロー》!」
「《ウォーターアロー》」


 ラピスの存在に気づいた宮廷魔法師の1人が、素早く魔力を練るとラピスに向かって火矢を放つ。
 だが、ラピスの放った水矢に打ち消されてしまった。


「な、なぜ我が高貴な魔法が通じない!?」
「そんなの、あんたらの魔力の練りが甘いからに決まっているだろ」
「「「「っ!!!!」」」」


 カトレアの婚約者であるラピスは、幼い頃からカトレアの魔法の鍛錬に付き合い、間近でカトレアやロスペルが効率良く魔力の練っているのを見ていたため、魔法陣を見ただけで魔力の練りが甘いか優れているか分かるのだ。

 (それに加え、俺の魔法は魔石によって強化されているからな。今の俺なら、上級魔法でも相性が良ければ余裕で渡り合えるってことだ)

 挑発的な笑みを浮かべたラピスの言葉に、プライドの高いエリート宮廷魔法師達は、全員顔を歪めると、魔法陣を展開してラピスに向かって魔法を放つ。


「《ファイヤークラッシュ》!」
「《ウィンドストライク》!」
「《ウォータースプラッシュ》!」
「《アースブラスト》!」
「《アイスジャベリン》!」


 (おいおい、王都の真ん中で上級魔法を使うとか正気かよ)


「って、そんなことを思っている暇は無いな」


 多種多様な魔法を向けられたラピスは、少しだけ苦笑いを浮かべると黄色の魔石が嵌め込まれた剣を空に向けて魔法陣を展開した。


「《サンダーボルト》!」


 その瞬間、轟音と共に数多の魔法が眩い雷の光と共に打ち消された。


「「「「なっ!?」」」
「だから言っただろ、『魔力の練りが甘い』って」


 (この程度の魔法、カトレアやロスペル様に比べたら遥かに劣っている)

 自慢の上級魔法が雷属性の中級魔法に消され、杖を構えた宮廷魔法師達は啞然とする。
 その隙に、ネックレスを鎧の中に戻したラピスは、足に強化魔法をかけると一気に間合いを詰め、慣れた双剣捌きで呆然としている宮廷魔法師達全員の意識を刈り取った。


「全く、『敵を前に隙を見せるな』って教えてもらわなかったのか?」


 (あのクソ親子の魔法の影響があるとはいえ、エリート宮廷魔法師達が倒されたなんてカトレアやロスペル様が知ったら……ううっ、急に悪寒が)

 魔法に関しては自分にも他人にも厳しいカトレアやロスペル様が、今の光景を目にしたらどうなるか想像したラピスは寒気を感じて肩を震わせる。
 すると、少し遠くから騎士達の呻き声が聞こえた。


「おっ、あっちも終わったのか。さすが隊長」


 (後は、フリージア嬢だけだが……うん、大丈夫そうだ)

 少し遠くの方にカミルの華奢な背中が見えたラピスは、安堵につくと倒れている宮廷魔法師達を確認し、メストがいる方に視線を戻す。
 すると、悔しさで顔を歪ませたダリアがメストに向かって火球を放った。


「あの女、性懲りもなく撃っているのか」


 (氷魔法の弱点が火属性だと分かっているから撃っているのか? あの程度の魔力の練りで?)

 呆れたように溜息をついたラピスは、歩きながら火球に向かって魔法を放つ。


「《ライトニング》」


 メストに向かって放たれた火球は、ラピスの放った初級魔法によって打ち消された。


「チッ! あと少しだったのに!」
「ラピス!」


 苦々しい顔で舌打ちをするダリアを見て、内心鼻で笑ったラピスはメストと合流するとわざとらしく呆れたような顔で肩を竦める。


「隊長、油断しすぎではないですか?」
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