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第5章 止まっていた運命が動き出す
第317話 ワケアリ平民と騎士団長③
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「つまり、エドガス殿が平民を大事に思っているサザランス公爵様の教えを守り、悪徳騎士から平民を守っていたから、あなた様も同じようにしたということでしょうか?」
「そういうことです」
(こうして言葉にされると、どうしようもなく情けないように聞こえるけど、私を救ってくれたエドガスの平民を守る姿を見て、私もそうしたいと思ったのは事実だから)
カミルにとって、エドガスは信頼出来るかつての使用人であり、何もかもに絶望していた自分を救い、料理や掃除や馬の世話の仕方など、平民としての生き方を教えてくれた恩人であり、剣術や回避術の指南をしてくれた師匠だった。
「屋敷を出て、エドガスのところに身を寄せた私は、彼が生きている間は彼に助けられてばかりでした。ですから、エドガスが平民を守る姿を見た時、私も彼のように平民を守ろうと思ったのです」
フェビルに優しく微笑んだカミルは、初めてエドガスが平民を守っている場面を目にした後のことを思い出した。
『エドガス、私もあなたのように民を守りたい!』
それは、エドガスが悪徳騎士を退治した後の話だった。
ログハウスに帰って早々、目を輝かせながら決意を口にするカミルに、穏やかな笑みを浮かべていたエドガスの眉が僅かに寄った。
『お嬢様、よろしいのですか? とても危ないことなのですよ?』
エドガスの表情から『大切なお嬢様を危険な目に遭わせたくない』という感情がさらけ出ていた。
それでも、カミルはエドガスの灰色の瞳から目を逸らさず力強く頷く。
『えぇ、お父様ならきっと、あなたと同じことをしたと思うから!』
強い意志を秘めたカミルの淡い緑色の瞳に、かつて仕えた主のことを思い出したエドガスが、柔らかな笑みを浮かべると小さく頷いた。
その日を境に、カミルはエドガスと一緒に悪徳騎士達から平民を守った。
そしてそれは、彼が亡くなった今でも2人の意志を引き継ぐように続いている。
「そうだったのですね」
(家族を奪われても尚、平民のために尽力しているのは、絶望から救ってくれた御仁の揺るがない信念を目の当たりにしたからなのですね)
懐かしむように話すカミルを見て、小さく笑ったフェビルは、静かに口元を引き締めるとその場で傅いた。
「フリージア嬢、今まであなた様をお守り出来なかったこと、王国騎士団長として深くお詫びいたします。私が無力なばかりに、あなた様やエドガス様に危険を及ぼすような……」
「フェビル様、謝るのは私の方です」
「えっ?」
カミルの意外な返事を聞いて、フェビルは思わず顔を上げると、開いていた距離を少しだけ縮めたカミルがその場で両膝をつく。
「そもそも、我がサザランス公爵家がノルベルトの横暴を止められなかったせいで、このような事態を引き起こし、あなた様の大事な部下を奴の駒にさせてしまいました。本当に申し訳ございませんでした」
「っ!?」
「謝って済むとは毛頭思っておりません。ですが、謝らせてください」
そう言って深々と頭を下げるカミル。
実は、ペトロート王国に改竄魔法が施される前、父親からノルベルトを聞いていた彼女は、『社交界の華』と呼ばれていた母親と共に、仲の良い貴族令嬢を使って情報収集を行い、ダリアの動きを注視しつつ、インベック家がこれ以上ことを起こさないよう牽制をかけていた。
しかし、その努力の甲斐もむなしく、ノルベルトはこの国に改竄魔法をかけ、彼女は国民の記憶から消えてしまったのだ。
そんな事情があると知っていたフェビルは、不意に随分昔に国王から送られた手紙の一文を思い出す。
『フェビル君、君には重荷を背負わせてしまう』
国王から差し出された手紙を思い出したフェビルは、悔しそうに唇を噛むと小さく息を吐いた。
「そういうことです」
(こうして言葉にされると、どうしようもなく情けないように聞こえるけど、私を救ってくれたエドガスの平民を守る姿を見て、私もそうしたいと思ったのは事実だから)
カミルにとって、エドガスは信頼出来るかつての使用人であり、何もかもに絶望していた自分を救い、料理や掃除や馬の世話の仕方など、平民としての生き方を教えてくれた恩人であり、剣術や回避術の指南をしてくれた師匠だった。
「屋敷を出て、エドガスのところに身を寄せた私は、彼が生きている間は彼に助けられてばかりでした。ですから、エドガスが平民を守る姿を見た時、私も彼のように平民を守ろうと思ったのです」
フェビルに優しく微笑んだカミルは、初めてエドガスが平民を守っている場面を目にした後のことを思い出した。
『エドガス、私もあなたのように民を守りたい!』
それは、エドガスが悪徳騎士を退治した後の話だった。
ログハウスに帰って早々、目を輝かせながら決意を口にするカミルに、穏やかな笑みを浮かべていたエドガスの眉が僅かに寄った。
『お嬢様、よろしいのですか? とても危ないことなのですよ?』
エドガスの表情から『大切なお嬢様を危険な目に遭わせたくない』という感情がさらけ出ていた。
それでも、カミルはエドガスの灰色の瞳から目を逸らさず力強く頷く。
『えぇ、お父様ならきっと、あなたと同じことをしたと思うから!』
強い意志を秘めたカミルの淡い緑色の瞳に、かつて仕えた主のことを思い出したエドガスが、柔らかな笑みを浮かべると小さく頷いた。
その日を境に、カミルはエドガスと一緒に悪徳騎士達から平民を守った。
そしてそれは、彼が亡くなった今でも2人の意志を引き継ぐように続いている。
「そうだったのですね」
(家族を奪われても尚、平民のために尽力しているのは、絶望から救ってくれた御仁の揺るがない信念を目の当たりにしたからなのですね)
懐かしむように話すカミルを見て、小さく笑ったフェビルは、静かに口元を引き締めるとその場で傅いた。
「フリージア嬢、今まであなた様をお守り出来なかったこと、王国騎士団長として深くお詫びいたします。私が無力なばかりに、あなた様やエドガス様に危険を及ぼすような……」
「フェビル様、謝るのは私の方です」
「えっ?」
カミルの意外な返事を聞いて、フェビルは思わず顔を上げると、開いていた距離を少しだけ縮めたカミルがその場で両膝をつく。
「そもそも、我がサザランス公爵家がノルベルトの横暴を止められなかったせいで、このような事態を引き起こし、あなた様の大事な部下を奴の駒にさせてしまいました。本当に申し訳ございませんでした」
「っ!?」
「謝って済むとは毛頭思っておりません。ですが、謝らせてください」
そう言って深々と頭を下げるカミル。
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しかし、その努力の甲斐もむなしく、ノルベルトはこの国に改竄魔法をかけ、彼女は国民の記憶から消えてしまったのだ。
そんな事情があると知っていたフェビルは、不意に随分昔に国王から送られた手紙の一文を思い出す。
『フェビル君、君には重荷を背負わせてしまう』
国王から差し出された手紙を思い出したフェビルは、悔しそうに唇を噛むと小さく息を吐いた。
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