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第5章 止まっていた運命が動き出す
第318話 ワケアリ平民と騎士団長④
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「フリージア嬢、頭を上げてください」
恐る恐る頭を上げたカミルに、フェビルが優しく微笑んだ。
「確かに、ノルベルトの暴走を止められなかったせいで、私は部下を駒にされてしまいました。ですが、あなた様は私以上に奴にたくさんのものを奪われ、絶望したはずです」
「っ!」
それは、カミルがずっと心の奥に閉じ込めていた本心だった。
(自分が国民の記憶から消えることは、お父様から聞かされていたから分かっていた。覚悟も出来ていた。でも、実際に目にした時、全く絶望しなかったと言えば嘘になる)
今まで誰にも言わなかった想いをフェビルに見抜かれ、カミルは静かに口を噤むと俯いた。
そんなカミルに、フェビルは笑みを深める。
「だからこそ、エドガス殿の平民を守る姿を見て、あなたもそうしたいと思ったのではないですか?」
「そ、それは……」
「自分のせいで理不尽な目に遭った平民を守るために。そして、自分のせいでノルベルトの駒になった悪徳騎士達を助けるために。違いますか?」
(あなたは、父親に似てお人好しで正義感の強い。そんなあなただから、愚行を犯す奴らや理不尽に虐げる人間を見過ごせなかった。そのきっかけが、エドガス殿だったってだけ)
カミルは、悪徳騎士達から平民を守るために対峙はしたが、決して悪徳騎士達を殺さなかった。
例え、大勢で来られて幾度となく殺されかけたとしても、カミルは決して悪徳騎士を手にかけなかった。
それは、彼らもまたノルベルトの魔法の被害者であり、本当は彼らがこの国にとって大切な人材であることを知っていたから。
「わ、私は……」
(本当は、悪徳騎士達がフェビル団長の下、国のために戦ってくれる人達だと知っていた。だけど、そんな人達を変えてしまったのは、サザランス公爵家がノルベルトの暴走を止めることが出来なかったから)
今まで悪徳騎士達の行いが脳裏に蘇り、言葉に詰まったカミルが視線を彷徨わせると、目の前から大きな手が伸びて、そのままカミルの華奢な肩を掴んだ。
「フリージア嬢。あなた様が今までやってきたことは、本来なら私自らが出向いてバカをやる彼らに制裁を下さなければならないことです。しかし、私は騎士団長。おいそれと動くわけにはいかないですし、私が派手に動けば、あなたのお父上にも迷惑をかけることになります」
「ですがそれも全て、ノルベルトの改竄魔法の影響で……」
「確かに改竄魔法の影響で変わったかもしれません。しかし私はそれが全てだとは思いません」
「と、言いますと?」
不思議そうに首を傾げるカミルに、笑みを潜めたフェビルが肩を掴んでいた手に少しだけ力を入れる。
「もし、改竄魔法の影響だとしたら、メストやシトリン、ラピスだって同じことをしています」
「っ!?」
(言われてみれば、ノルベルトの改竄魔法が影響しているのだとしたら、広場で再会した時、彼らは親子を甚振っていた悪徳騎士達の味方をしていたに違いない)
再会した時、メストとシトリンは騎士ではなく木こりの味方をしていた。
つまり、ノルベルトの改竄魔法の影響だけで、騎士が嬉々として平民を甚振るということには繋がらないのだ。
「だとしたら、何が原因で?」
「それは彼らの騎士としての自覚の足りなさと心の弱さです」
恐る恐る頭を上げたカミルに、フェビルが優しく微笑んだ。
「確かに、ノルベルトの暴走を止められなかったせいで、私は部下を駒にされてしまいました。ですが、あなた様は私以上に奴にたくさんのものを奪われ、絶望したはずです」
「っ!」
それは、カミルがずっと心の奥に閉じ込めていた本心だった。
(自分が国民の記憶から消えることは、お父様から聞かされていたから分かっていた。覚悟も出来ていた。でも、実際に目にした時、全く絶望しなかったと言えば嘘になる)
今まで誰にも言わなかった想いをフェビルに見抜かれ、カミルは静かに口を噤むと俯いた。
そんなカミルに、フェビルは笑みを深める。
「だからこそ、エドガス殿の平民を守る姿を見て、あなたもそうしたいと思ったのではないですか?」
「そ、それは……」
「自分のせいで理不尽な目に遭った平民を守るために。そして、自分のせいでノルベルトの駒になった悪徳騎士達を助けるために。違いますか?」
(あなたは、父親に似てお人好しで正義感の強い。そんなあなただから、愚行を犯す奴らや理不尽に虐げる人間を見過ごせなかった。そのきっかけが、エドガス殿だったってだけ)
カミルは、悪徳騎士達から平民を守るために対峙はしたが、決して悪徳騎士達を殺さなかった。
例え、大勢で来られて幾度となく殺されかけたとしても、カミルは決して悪徳騎士を手にかけなかった。
それは、彼らもまたノルベルトの魔法の被害者であり、本当は彼らがこの国にとって大切な人材であることを知っていたから。
「わ、私は……」
(本当は、悪徳騎士達がフェビル団長の下、国のために戦ってくれる人達だと知っていた。だけど、そんな人達を変えてしまったのは、サザランス公爵家がノルベルトの暴走を止めることが出来なかったから)
今まで悪徳騎士達の行いが脳裏に蘇り、言葉に詰まったカミルが視線を彷徨わせると、目の前から大きな手が伸びて、そのままカミルの華奢な肩を掴んだ。
「フリージア嬢。あなた様が今までやってきたことは、本来なら私自らが出向いてバカをやる彼らに制裁を下さなければならないことです。しかし、私は騎士団長。おいそれと動くわけにはいかないですし、私が派手に動けば、あなたのお父上にも迷惑をかけることになります」
「ですがそれも全て、ノルベルトの改竄魔法の影響で……」
「確かに改竄魔法の影響で変わったかもしれません。しかし私はそれが全てだとは思いません」
「と、言いますと?」
不思議そうに首を傾げるカミルに、笑みを潜めたフェビルが肩を掴んでいた手に少しだけ力を入れる。
「もし、改竄魔法の影響だとしたら、メストやシトリン、ラピスだって同じことをしています」
「っ!?」
(言われてみれば、ノルベルトの改竄魔法が影響しているのだとしたら、広場で再会した時、彼らは親子を甚振っていた悪徳騎士達の味方をしていたに違いない)
再会した時、メストとシトリンは騎士ではなく木こりの味方をしていた。
つまり、ノルベルトの改竄魔法の影響だけで、騎士が嬉々として平民を甚振るということには繋がらないのだ。
「だとしたら、何が原因で?」
「それは彼らの騎士としての自覚の足りなさと心の弱さです」
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