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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第325話 異国の術
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「「血術?」」
聞いたことの無い術の名前に、カトレアとラピスは揃って首を傾げる。
そんな2人を見て、ロスペルは小さく笑みを浮かべた。
「まぁ、知らなくても無理はありません。なにせ、この術は遥か東にある島国から渡ってきたエドガス……元サザランス公爵家の執事しか知らない術なのですから」
穏やかな笑みを浮かべたまま、ロスペルは懐から透明な石を取り出す。
「師匠、こちらの石からは魔力を感じません」
「そうですね。ですが、見てください。文字が刻まれているでしょう?」
そう言って、2人に透明な石を見せる。
そこには、この国では見たことがない文字がびっしりと刻まれていた。
「本当だ。見たことがない文字が刻まれています」
「はい。この文字が魔法文字の代わりになります。まぁ、見ていてください」
初めて見る文字に眉を顰めた2人を見て、得意げな笑みを浮かべたロスペルは2人に見せていた石をそのまま後ろにあったテーブルに置く。
「魔法は、体内にある魔力と外にある魔力を、魔法文字と詠唱を媒介にして練り、火などの物質を具現化します。これは学校や家庭教師に習いましたよね?」
「もちろんです、師匠!」
(我がティブリー家では、物心ついた頃には家庭教師によって魔法の基礎が叩き込まれたわ)
「ですが世の中には、魔力が無い人間、平民のように魔力が少ない人間……そして、特別な事情で満足に魔法が使えない人間がいます」
「「っ!?」」
ロスペルの言葉を聞いて2人の脳裏に過ったのは、あらゆる魔法を無効化する魔法を魔力に刻まれているが故に、その魔法以外の魔法が使えない友人の華奢な背中だった。
「血術をサザランス公爵家にもたらしてくれた元執事は、魔力が無い人間が大勢いる国で生まれ育ったそうです」
笑みを潜めたロスペルは、腰につけていたマジックバックからナイフを取り出すと、そのまま自分の親指に当てた。
「そんな国で魔法に代わって普及したのがこの『血術』です」
何の迷いもなく小指を持っていたナイフで少しだけ切ったロスペルは、その場にしゃがむと、傷口から出てきた血を地面に置いた透明な石に垂らした。
すると、血を吸った石が突然赤く光った。
「血術は、術者の血を使い、文字が刻まれた石と詠唱を媒介にして物質を具現化します。では、行きますよ」
真っ赤に光る石を持って、ガゼボを出たロスペルが空に向かって石を翳すと、明らかに魔法ではないものを放つ詠唱を唱えた。
「我が血を持って、美しい炎を顕現せよ!」
「「っ!!」」
赤く光った石から勢いよく炎が噴き出た。
(これが、魔力に頼らず血を媒介にして出す術。見た目は、魔法と変わらない。でも、とても綺麗だわ)
初めて見る術に言葉を失うラピスの隣で、カトレアが唖然としつつも目を輝かせた。
そんな2人のリアクションを盗み見たロスペルは、空に向かって噴き続ける炎を止めた。
「魔法は練られる魔力に応じて威力が変わりますが、血術は術者の生命力に応じて威力が変わります」
「生命力ですか?」
「はい」
後ろを振り返ったロスペルは、近寄ってきた2人に自分の血で真っ赤に染まった石を見せる。
「使う石の数や媒介とする血の量にもよりますが、術者が万全の状態であれば、ほんの僅かな血で上級魔法並みの威力を出すことが出来ます」
「上級魔法並みの?!」
(たった一滴の血で、小さな村を消すほどの威力が出せるの!?)
ちなみに、初級魔法はかすり傷の威力で、中級魔法は家屋1つ分の威力がある。
さらに言うと、上級魔法の上にあたる超級魔法は、国1つを一瞬で消す威力をあると言われている。
「そうです。逆に、瀕死の重傷を負っていたら、初級魔法以下の威力になりますね」
「そう聞くと、魔法と似ていますね。魔法も魔力不足だったら、威力が下がりますから」
「そうですね。ですが魔法の場合、魔力の練りが甘ければ、万全の状態で上級魔法を放ったとしても、中級魔法並みの威力を出すことしか出来ません。ですが、血術の場合は万全の状態であることと知識があれば、鍛錬などしなくても満足に術を出すことが出来ます」
(故に、エドガスがいた国では、血術が原因で亡くなることが珍しくなかったらしい。まぁ、『無茶な使い方をしなければ死なない』ってエドガスも言っていたし、強力な魔法が故に、他の魔法が満足に扱えない父さんや兄さん、妹にとってはとてもありがたい術なのだけど)
エドガスから教えをしっかり守り、無茶をしない範囲で血術を使っていた家族を思い出し、ロスペルが笑みを零していると、真っ赤な魔石を凝視していたラピスが視線を上げた。
「では、フリージアが万全の状態だった場合、俺たちは血術で囲われた結界の中には入れないということでしょうか?」
「そうなりますね。さしずめ、認識阻害の効果が付与された結界の中にいるんでしょうから、入れたとしてもすぐに入口に帰されるでしょう」
聞いたことの無い術の名前に、カトレアとラピスは揃って首を傾げる。
そんな2人を見て、ロスペルは小さく笑みを浮かべた。
「まぁ、知らなくても無理はありません。なにせ、この術は遥か東にある島国から渡ってきたエドガス……元サザランス公爵家の執事しか知らない術なのですから」
穏やかな笑みを浮かべたまま、ロスペルは懐から透明な石を取り出す。
「師匠、こちらの石からは魔力を感じません」
「そうですね。ですが、見てください。文字が刻まれているでしょう?」
そう言って、2人に透明な石を見せる。
そこには、この国では見たことがない文字がびっしりと刻まれていた。
「本当だ。見たことがない文字が刻まれています」
「はい。この文字が魔法文字の代わりになります。まぁ、見ていてください」
初めて見る文字に眉を顰めた2人を見て、得意げな笑みを浮かべたロスペルは2人に見せていた石をそのまま後ろにあったテーブルに置く。
「魔法は、体内にある魔力と外にある魔力を、魔法文字と詠唱を媒介にして練り、火などの物質を具現化します。これは学校や家庭教師に習いましたよね?」
「もちろんです、師匠!」
(我がティブリー家では、物心ついた頃には家庭教師によって魔法の基礎が叩き込まれたわ)
「ですが世の中には、魔力が無い人間、平民のように魔力が少ない人間……そして、特別な事情で満足に魔法が使えない人間がいます」
「「っ!?」」
ロスペルの言葉を聞いて2人の脳裏に過ったのは、あらゆる魔法を無効化する魔法を魔力に刻まれているが故に、その魔法以外の魔法が使えない友人の華奢な背中だった。
「血術をサザランス公爵家にもたらしてくれた元執事は、魔力が無い人間が大勢いる国で生まれ育ったそうです」
笑みを潜めたロスペルは、腰につけていたマジックバックからナイフを取り出すと、そのまま自分の親指に当てた。
「そんな国で魔法に代わって普及したのがこの『血術』です」
何の迷いもなく小指を持っていたナイフで少しだけ切ったロスペルは、その場にしゃがむと、傷口から出てきた血を地面に置いた透明な石に垂らした。
すると、血を吸った石が突然赤く光った。
「血術は、術者の血を使い、文字が刻まれた石と詠唱を媒介にして物質を具現化します。では、行きますよ」
真っ赤に光る石を持って、ガゼボを出たロスペルが空に向かって石を翳すと、明らかに魔法ではないものを放つ詠唱を唱えた。
「我が血を持って、美しい炎を顕現せよ!」
「「っ!!」」
赤く光った石から勢いよく炎が噴き出た。
(これが、魔力に頼らず血を媒介にして出す術。見た目は、魔法と変わらない。でも、とても綺麗だわ)
初めて見る術に言葉を失うラピスの隣で、カトレアが唖然としつつも目を輝かせた。
そんな2人のリアクションを盗み見たロスペルは、空に向かって噴き続ける炎を止めた。
「魔法は練られる魔力に応じて威力が変わりますが、血術は術者の生命力に応じて威力が変わります」
「生命力ですか?」
「はい」
後ろを振り返ったロスペルは、近寄ってきた2人に自分の血で真っ赤に染まった石を見せる。
「使う石の数や媒介とする血の量にもよりますが、術者が万全の状態であれば、ほんの僅かな血で上級魔法並みの威力を出すことが出来ます」
「上級魔法並みの?!」
(たった一滴の血で、小さな村を消すほどの威力が出せるの!?)
ちなみに、初級魔法はかすり傷の威力で、中級魔法は家屋1つ分の威力がある。
さらに言うと、上級魔法の上にあたる超級魔法は、国1つを一瞬で消す威力をあると言われている。
「そうです。逆に、瀕死の重傷を負っていたら、初級魔法以下の威力になりますね」
「そう聞くと、魔法と似ていますね。魔法も魔力不足だったら、威力が下がりますから」
「そうですね。ですが魔法の場合、魔力の練りが甘ければ、万全の状態で上級魔法を放ったとしても、中級魔法並みの威力を出すことしか出来ません。ですが、血術の場合は万全の状態であることと知識があれば、鍛錬などしなくても満足に術を出すことが出来ます」
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