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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第330話 待ち望んだ再会
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昼間の王都でダリアとカミルが対峙してから約3週間後。
建国祭も1ヶ月に迫ったある日、待ち望んだ再会は突然訪れた。
「どうしたの、ステイン?」
いつものように幌馬車を引いて、王都とリアスタ村に納品を終え、結界が張られた森に入った瞬間、ステインの足が止まった。
(ステインが自分の意思で足を止めるなんて無かったのに、いきなりどうしたの?)
主に忠実なステインらしからぬ行動に、小さく眉を顰めたカミルは、ゆっくりと手綱を下ろす。
すると、後ろを振り返ったステインが、警戒するように森の入口を凝視する。
「もしかして、誰かいる?」
毎日のように森の駆け回っているステインは、結界が張られている森がどんな状態なのか、本能的に把握出来る。
そのため、森に異変が起きた場合、どんな些細なことでもいち早く気づける。
(首に付けているペンダントは熱をもっていない。ということは、森の入口には魔物や私を害そうとしている人ではないということね)
結界内の異変を知らせてくれるペンダントを服越しに握り締めたカミルが問い質す。
しかし、ステインは誰もいない入口を凝視したまま主の問いに反応しない。
「……念のため、見に行った方が良いわね」
入口を凝視している愛馬を一瞥し、手綱を離したカミルは、レイピアの柄を握ると静かに御者台から降りた。
「ステイン、あなたはこのまま家に帰って」
カミルの言葉に反応したステインが、『そんなこと出来るはずがない!』不機嫌そうに嘶く。
そんな愛馬に、カミルは思わず笑みを零す。
「大丈夫よ、私は死なない。絶対に死なない」
(家族と再会するその日まで死ねないのだから)
不安がるステインを安堵させるように、カミルはステインの立派な鬣を優しく撫でる。
すると、カミルの思いが伝わったのか、ゆっくりと目を閉じたステインが主の無事を祈るように顔を寄せた。
そして、後ろ髪を引かれるように荷台を引いて森の奥へと走って行った。
「さすが、エドガスが育てた馬。とてもいい子で賢いわね」
恩人が育てた賢く心優しい馬の背中を見送ったカミルは、小さく息を吐くと誰もいない森の入口に目を向ける。
(気配を感じないということは、恐らく、隠匿魔法と認識阻害魔法が付与された魔道具を使っているのかしら)
「さて、一体この森に立ち入ろうとしているのは誰なのかしらね?」
いつもの無表情に戻ったカミルは、レイピアの柄を強く握る。
(納品のためにこの森を出る時はステインの様子はいつも通りだった。となると、王都を出る時に誰からかついてきていたということね)
「思い返せば、王都を出た直後から妙に落ち着きがなかったわね」
気持ちを落ち着けようと深く深呼吸をしたカミルは、誰もいない入口に向かって声をかける。
「あの、森の入口に誰かいるかは分かっていますので、姿を現してもらえませんか? 出来れば手荒な真似はしたくないのですが」
カミルの呼びかけに少しだけ沈黙が流れる。
そして、森の入口から凛とした女性の声が聞こえた。
「そうね。あなたと会うためにここに来たのに、姿を現さないで結界の張られた森に立ち入ろうなんて失礼な話よね」
「っ!?」
(この声、もしかして!?)
聞き覚えのあるカミルが思わず目を見開くと、誰もいなかった森の入口に、フードを外した男女の2人組が姿を現した。
「っ!! あなたは……」
『ねぇ、どうして平民がここにいるの?』
森の入口に立っている彼女を見た瞬間、カミルの脳裏に再会した直後に浴びせられた心無い言葉が蘇る。
心の奥不覚に刻まれた冷たい言葉に、警戒心を露にしたカミルが流れるような速さでレイピアを引き抜く。
その時、女性の隣にいた男性が慌てて手を振る。
「フリージア! 俺だ、俺! ラピスだ! 今日は、お前とカトレアを会わせに来たんだ!」
「私とカトレアを?」
俄かに信じ互い言葉を聞いて、より一層警戒心が強まったカミルはレイピアを構える。
「そうだ! 忘れたのか、『今の俺とカトレアはお前の味方だ』って!!」
「っ!」
『今の俺とカトレアはお前の味方だ』
(そう言えば、ダリアと対峙していた時、そんなことを言っていたわね)
王都で再会した時の言われたことを思い出し、少しだけ警戒心を解いたカミルは、女性の隣に立っている男性……ラピスの方を見る。
「本当に、カトレアは味方なの?」
「あぁ、だからこうして2人で来たんだ!」
(本当に、カトレアが味方になってくれたの?)
魔物討伐の時のことが頭を過るカミルは、ゆっくりとカトレアの顔を見る。
そこには、あの時から脳裏にこびりついた冷たい表情ではなく、信じて欲しいと懇願する表情だった。
「……分かりました」
(一度だけ、一度だけ信じよう)
ラピスの言葉とカトレアの顔を見たカミルは、静かにレイピアを鞘に収めると服の中からペンダントを取り出す。
そして、歯で親指を切って、ペンダントに使われている魔石に血を垂らすと、独特な呪文を唱えた。
「我、眼前にいる者達を結界の中に入ることを許す」
ペンダントが赤く光った直後、2人を結界の中に招き入れた。
その瞬間、全力疾走したカトレアが親友に抱き着く。
「ごめんなさい、ごめんなさい! あなたにあんなひどいことをしてしまって! あんな冷たい言葉を浴びせてしまって!!」
強く抱き締めながら泣きじゃくるカトレアからの謝罪に、カミルはただただ立ち尽くした。
建国祭も1ヶ月に迫ったある日、待ち望んだ再会は突然訪れた。
「どうしたの、ステイン?」
いつものように幌馬車を引いて、王都とリアスタ村に納品を終え、結界が張られた森に入った瞬間、ステインの足が止まった。
(ステインが自分の意思で足を止めるなんて無かったのに、いきなりどうしたの?)
主に忠実なステインらしからぬ行動に、小さく眉を顰めたカミルは、ゆっくりと手綱を下ろす。
すると、後ろを振り返ったステインが、警戒するように森の入口を凝視する。
「もしかして、誰かいる?」
毎日のように森の駆け回っているステインは、結界が張られている森がどんな状態なのか、本能的に把握出来る。
そのため、森に異変が起きた場合、どんな些細なことでもいち早く気づける。
(首に付けているペンダントは熱をもっていない。ということは、森の入口には魔物や私を害そうとしている人ではないということね)
結界内の異変を知らせてくれるペンダントを服越しに握り締めたカミルが問い質す。
しかし、ステインは誰もいない入口を凝視したまま主の問いに反応しない。
「……念のため、見に行った方が良いわね」
入口を凝視している愛馬を一瞥し、手綱を離したカミルは、レイピアの柄を握ると静かに御者台から降りた。
「ステイン、あなたはこのまま家に帰って」
カミルの言葉に反応したステインが、『そんなこと出来るはずがない!』不機嫌そうに嘶く。
そんな愛馬に、カミルは思わず笑みを零す。
「大丈夫よ、私は死なない。絶対に死なない」
(家族と再会するその日まで死ねないのだから)
不安がるステインを安堵させるように、カミルはステインの立派な鬣を優しく撫でる。
すると、カミルの思いが伝わったのか、ゆっくりと目を閉じたステインが主の無事を祈るように顔を寄せた。
そして、後ろ髪を引かれるように荷台を引いて森の奥へと走って行った。
「さすが、エドガスが育てた馬。とてもいい子で賢いわね」
恩人が育てた賢く心優しい馬の背中を見送ったカミルは、小さく息を吐くと誰もいない森の入口に目を向ける。
(気配を感じないということは、恐らく、隠匿魔法と認識阻害魔法が付与された魔道具を使っているのかしら)
「さて、一体この森に立ち入ろうとしているのは誰なのかしらね?」
いつもの無表情に戻ったカミルは、レイピアの柄を強く握る。
(納品のためにこの森を出る時はステインの様子はいつも通りだった。となると、王都を出る時に誰からかついてきていたということね)
「思い返せば、王都を出た直後から妙に落ち着きがなかったわね」
気持ちを落ち着けようと深く深呼吸をしたカミルは、誰もいない入口に向かって声をかける。
「あの、森の入口に誰かいるかは分かっていますので、姿を現してもらえませんか? 出来れば手荒な真似はしたくないのですが」
カミルの呼びかけに少しだけ沈黙が流れる。
そして、森の入口から凛とした女性の声が聞こえた。
「そうね。あなたと会うためにここに来たのに、姿を現さないで結界の張られた森に立ち入ろうなんて失礼な話よね」
「っ!?」
(この声、もしかして!?)
聞き覚えのあるカミルが思わず目を見開くと、誰もいなかった森の入口に、フードを外した男女の2人組が姿を現した。
「っ!! あなたは……」
『ねぇ、どうして平民がここにいるの?』
森の入口に立っている彼女を見た瞬間、カミルの脳裏に再会した直後に浴びせられた心無い言葉が蘇る。
心の奥不覚に刻まれた冷たい言葉に、警戒心を露にしたカミルが流れるような速さでレイピアを引き抜く。
その時、女性の隣にいた男性が慌てて手を振る。
「フリージア! 俺だ、俺! ラピスだ! 今日は、お前とカトレアを会わせに来たんだ!」
「私とカトレアを?」
俄かに信じ互い言葉を聞いて、より一層警戒心が強まったカミルはレイピアを構える。
「そうだ! 忘れたのか、『今の俺とカトレアはお前の味方だ』って!!」
「っ!」
『今の俺とカトレアはお前の味方だ』
(そう言えば、ダリアと対峙していた時、そんなことを言っていたわね)
王都で再会した時の言われたことを思い出し、少しだけ警戒心を解いたカミルは、女性の隣に立っている男性……ラピスの方を見る。
「本当に、カトレアは味方なの?」
「あぁ、だからこうして2人で来たんだ!」
(本当に、カトレアが味方になってくれたの?)
魔物討伐の時のことが頭を過るカミルは、ゆっくりとカトレアの顔を見る。
そこには、あの時から脳裏にこびりついた冷たい表情ではなく、信じて欲しいと懇願する表情だった。
「……分かりました」
(一度だけ、一度だけ信じよう)
ラピスの言葉とカトレアの顔を見たカミルは、静かにレイピアを鞘に収めると服の中からペンダントを取り出す。
そして、歯で親指を切って、ペンダントに使われている魔石に血を垂らすと、独特な呪文を唱えた。
「我、眼前にいる者達を結界の中に入ることを許す」
ペンダントが赤く光った直後、2人を結界の中に招き入れた。
その瞬間、全力疾走したカトレアが親友に抱き着く。
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