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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第332話 ようやく聞けた!
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――エドガスのように平民を守ろうと決意したあの日からずっと考えないようにしていた。そうしないと、最悪なことが脳裏を過って、また立ち上がれなくなる気がしたから。けれど、今日でそれも終わり。
「フリージア」
「今まで、今まで、約束を守ろうと……それ以上に聞くのが怖くて、聞いたら自分が自分じゃいられなく気がしたからずっと聞かなかった。けれど、やっと、やっと家族のことが聞けて……『家族のみんなが生きている』って知れて……」
カトレアの口から家族の無事を聞き、嬉しさで涙が溢れたカミルは、嗚咽交じりに言葉を紡ぐと顔を手で覆ったまま俯いた。
「ごめん、2人とこうして会えたことが嬉しいはずなのに、今まで聞けなかった家族のことが聞けて嬉しくて、私……」
(家族と離れ離れになったあの日、他の家族がどこに行くか分かっていた。だから大丈夫。『みんな安全な場所にいるから絶対に生きている』と、事あるごとに自分に言い聞かせてきた。けれど、やっぱり不安で、不安で……)
家族との約束を守るため、今の今まで誰にも聞かず……エドガスにさえも家族のことを聞かず、ずっとずっと我慢して生きてきた。
そして、エドガスのように平民を守ってきた。
手の隙間から出てきた涙は、カミルの胸の内にあった『家族と会えなくて寂しい』という感情が溢れて出たもの。
それが2人にも伝わり、堪らず椅子から立ち上がったカトレアは、カミルの隣に立つと、頭ごと抱き締めた。
「良いのよ、フリージア。婚約者と同じくらい家族のことが大好きなあなたが7年も離れ離れになっていたのも。仕方ないわ」
「カトレアぁ……」
涙を堪えながらカミルの頭を撫でるカトレアの優しさに、顔から手を離したカミルは縋るように彼女の華奢な体を抱き締めた。
そして、カミルを挟むようにカトレアの反対側に立ったラピスが、震えている方に手を乗せる。
「レクシャ様はお前の今を知っている。お前が平民のために戦っていることを」
「お父様が?」
「大事な家族なのだから当たり前だろ。そして、何も出来なかったことを物凄く悔やんでいらっしゃった。だから、俺たちがお前に会うことを許してくれた。『父として娘に何も出来ないせめてもの償いだ』と」
「うううっ……」
(お父様、会いたいです。会ってまた、色んなお話を聞きたいです。もちろん、お母様やお兄様達にも会いたいです)
脳裏に蘇る家族の笑顔。
あの屋敷に帰ればいつでも見ることが出来た家族の笑顔を思い出し、ずっと抑えていた寂しさが涙となってとめどなく溢れる。
そんなカミルに、カトレアが耳元で優しく囁く。
「そんなレクシャ様からあんたに伝言よ。『フリージア、もう少ししたらまた家族みんなで会える。だから、絶対に生きろ』と」
「お父様ぁ!!」
(お父様! お母様! リュシアン兄様! ロスペル兄様! 会いたい、会いたいです!)
父の娘を想う言葉に、カミルは子どものように声を上げながら泣き、カミルの体を優しく抱きしめたカトレアは親友が落ち着くまで黙って頭を撫でた。
「ごめん、情けないところを見せてしまって」
「良いの。それだけ、我慢していたってことなのだから」
対面で聖母のように優しく微笑んだカトレアに、気恥ずかしくなったカミルは照れくさそうに頬を掻いた。
(でも、今まで家族のことを聞いていなかったから、みんなが生きていて本当に良かった。それに、お父様が水面下でそんな計画を実行しようと動いていたなんて)
2人から聞いた父の計画を思い出し、少しだけ俯いたカミルは小さく笑みを零す。
「でも、あのお父様ならやりそうね」
(だって、私のお父様は『腹黒宰相』と言われるくらい凄い人なのだから)
帝国の皇帝から『腹黒宰相』と言われるレクシャは、常に絶やさない柔和な笑みと巧みな話術で、人の持つ警戒心をあっという間に解かせる。
例え、初対面相手でも容易に懐に入ることが出来る。
そして、部下達からもたらされる膨大な情報を基に、彼は無数の権謀術数を張り巡らせる。
全ては、尊敬している国王が治めるこの国に住む人々が生き生きと過ごし、国の繫栄が更なるものにするために。
『フリージア、忘れてはいけないよ。平民無くしては、貴族や国は成り立たないんだよ』
事あるごとに口にしていた父の言葉に少しだけ笑みを深めたカミルは、すぐさま無表情に戻すと、カトレアの隣で静かに紅茶を飲んでいるラピスに向かって頭を下げる。
「ラピスさん。あの時に言えなかったけど、この前は助けに来てくれてありがとう」
「この前……あぁ、ダリア嬢のことか」
王都での出来事を思い出し、僅かに眉を顰めたラピスは『気にするな』というように首を横に振る。
「いや、良いんだ。むしろ、あそこでお前を助けなかったら、後で知ったカトレアから間違いなく婚約破棄を突きつけられた」
「そうね。私の親友を蔑ろにする殿方なんて、例え幼馴染でも願い下げよ」
ラピスを横目で見て鼻を鳴らしたカトレアに、カミルは楽しそうな笑みを浮かべる。
「そう言えば、あの時もそんなことを言っていたわね」
「お前なぁ、笑い事じゃないんだぞ」
「ウフフッ、ごめんなさい」
微塵も申し訳なく思っていないカミルに、ラピスは心底呆れた顔で溜息をつく。
すると、不意にラピスの頭に王都で会った時のダリアが過った。
「フリージア」
「今まで、今まで、約束を守ろうと……それ以上に聞くのが怖くて、聞いたら自分が自分じゃいられなく気がしたからずっと聞かなかった。けれど、やっと、やっと家族のことが聞けて……『家族のみんなが生きている』って知れて……」
カトレアの口から家族の無事を聞き、嬉しさで涙が溢れたカミルは、嗚咽交じりに言葉を紡ぐと顔を手で覆ったまま俯いた。
「ごめん、2人とこうして会えたことが嬉しいはずなのに、今まで聞けなかった家族のことが聞けて嬉しくて、私……」
(家族と離れ離れになったあの日、他の家族がどこに行くか分かっていた。だから大丈夫。『みんな安全な場所にいるから絶対に生きている』と、事あるごとに自分に言い聞かせてきた。けれど、やっぱり不安で、不安で……)
家族との約束を守るため、今の今まで誰にも聞かず……エドガスにさえも家族のことを聞かず、ずっとずっと我慢して生きてきた。
そして、エドガスのように平民を守ってきた。
手の隙間から出てきた涙は、カミルの胸の内にあった『家族と会えなくて寂しい』という感情が溢れて出たもの。
それが2人にも伝わり、堪らず椅子から立ち上がったカトレアは、カミルの隣に立つと、頭ごと抱き締めた。
「良いのよ、フリージア。婚約者と同じくらい家族のことが大好きなあなたが7年も離れ離れになっていたのも。仕方ないわ」
「カトレアぁ……」
涙を堪えながらカミルの頭を撫でるカトレアの優しさに、顔から手を離したカミルは縋るように彼女の華奢な体を抱き締めた。
そして、カミルを挟むようにカトレアの反対側に立ったラピスが、震えている方に手を乗せる。
「レクシャ様はお前の今を知っている。お前が平民のために戦っていることを」
「お父様が?」
「大事な家族なのだから当たり前だろ。そして、何も出来なかったことを物凄く悔やんでいらっしゃった。だから、俺たちがお前に会うことを許してくれた。『父として娘に何も出来ないせめてもの償いだ』と」
「うううっ……」
(お父様、会いたいです。会ってまた、色んなお話を聞きたいです。もちろん、お母様やお兄様達にも会いたいです)
脳裏に蘇る家族の笑顔。
あの屋敷に帰ればいつでも見ることが出来た家族の笑顔を思い出し、ずっと抑えていた寂しさが涙となってとめどなく溢れる。
そんなカミルに、カトレアが耳元で優しく囁く。
「そんなレクシャ様からあんたに伝言よ。『フリージア、もう少ししたらまた家族みんなで会える。だから、絶対に生きろ』と」
「お父様ぁ!!」
(お父様! お母様! リュシアン兄様! ロスペル兄様! 会いたい、会いたいです!)
父の娘を想う言葉に、カミルは子どものように声を上げながら泣き、カミルの体を優しく抱きしめたカトレアは親友が落ち着くまで黙って頭を撫でた。
「ごめん、情けないところを見せてしまって」
「良いの。それだけ、我慢していたってことなのだから」
対面で聖母のように優しく微笑んだカトレアに、気恥ずかしくなったカミルは照れくさそうに頬を掻いた。
(でも、今まで家族のことを聞いていなかったから、みんなが生きていて本当に良かった。それに、お父様が水面下でそんな計画を実行しようと動いていたなんて)
2人から聞いた父の計画を思い出し、少しだけ俯いたカミルは小さく笑みを零す。
「でも、あのお父様ならやりそうね」
(だって、私のお父様は『腹黒宰相』と言われるくらい凄い人なのだから)
帝国の皇帝から『腹黒宰相』と言われるレクシャは、常に絶やさない柔和な笑みと巧みな話術で、人の持つ警戒心をあっという間に解かせる。
例え、初対面相手でも容易に懐に入ることが出来る。
そして、部下達からもたらされる膨大な情報を基に、彼は無数の権謀術数を張り巡らせる。
全ては、尊敬している国王が治めるこの国に住む人々が生き生きと過ごし、国の繫栄が更なるものにするために。
『フリージア、忘れてはいけないよ。平民無くしては、貴族や国は成り立たないんだよ』
事あるごとに口にしていた父の言葉に少しだけ笑みを深めたカミルは、すぐさま無表情に戻すと、カトレアの隣で静かに紅茶を飲んでいるラピスに向かって頭を下げる。
「ラピスさん。あの時に言えなかったけど、この前は助けに来てくれてありがとう」
「この前……あぁ、ダリア嬢のことか」
王都での出来事を思い出し、僅かに眉を顰めたラピスは『気にするな』というように首を横に振る。
「いや、良いんだ。むしろ、あそこでお前を助けなかったら、後で知ったカトレアから間違いなく婚約破棄を突きつけられた」
「そうね。私の親友を蔑ろにする殿方なんて、例え幼馴染でも願い下げよ」
ラピスを横目で見て鼻を鳴らしたカトレアに、カミルは楽しそうな笑みを浮かべる。
「そう言えば、あの時もそんなことを言っていたわね」
「お前なぁ、笑い事じゃないんだぞ」
「ウフフッ、ごめんなさい」
微塵も申し訳なく思っていないカミルに、ラピスは心底呆れた顔で溜息をつく。
すると、不意にラピスの頭に王都で会った時のダリアが過った。
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