380 / 606
第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第354話 突然の来訪
しおりを挟む
「どう、フリージア。落ち着いた?」
「グスッ……うん、ありがとう。大分落ち着いたわ」
貯めにため込んだ思いを全て吐露したフリージアが一頻り泣き、カトレアから貰ったハンカチで涙を拭うと、心配そうに見つめている2人に笑みを向けた。
「ごめん、せっかく会いに来たのに情けないところを見せちゃって」
(本当は、私の愚痴なんて聞くためにここに来たわけじゃないのに)
申し訳なさそう笑うフリージアを見て、ラピスとアイコンタクトを交わしたカトレアが彼女の頭を優しく撫でる。
「良いのよ。むしろ、私たちの前で吐き出してくれてありがとう」
「えっ?」
驚いて目を見開くフリージアに、優しく微笑みかけたカトレアが再び彼女を抱きしめる。
「ノルベルトの改竄魔法にかかっていたとはいえ、今まであんたを孤独にさせた挙句、あんたに手を上げた。だから、あんたのつもりに積もった想いが聞けて本当に良かった」
「それに、俺は騎士にも関わらず、1人に戦っていたお前を助けようとしなかった。だから、お前の胸の内にあった不満を受け止める。それが、俺がお前に出来るせめてもの償いだ」
「カトレア。ラピスさん」
(記憶を取り戻したから、2人は気にしていたのか。記憶を取り戻す前の行いを)
記憶を改竄されて忘れていたと分かっていても、カトレアとラピスはフリージアの想いを聞いて、改めて今までの行いを悔いた。
そんな友人達の優しさに触れ、止まっていたはずの涙がフリージアの淡い緑色の瞳から涙溢れそうになった。
その時、来訪を告げるノックがドアから聞こえた。
コンコンコン
「「「っ!!」」」
再会した喜びで話し込んだお陰か、明るかった辺りがすっかり暗くなり、このまま2人を泊まらせてもおかしくない状況で響いたノック音。
「カトレア、お前は気配を消してフリージア嬢の傍にいろ」
「分かったわ」
小声でカトレアに指示を出したラピスは、腰につけていたマジックバックから双剣を出すと、気配を消してカトレアとフリージアを守るように構える。
その後ろで、マジックバックから杖を取り出して構えたカトレアが、フリージアの耳元で囁く。
「フリージア、今日来客の予定は?」
「いや、無いはずよ」
「そう」
(だとしたら、一体誰なのかしら?)
眉を潜ませたカトレアが今度はラピスに囁く。
「ラピス、あんたはドアに近づいて相手の様子を……」
「いや、それだと相手に気づかれる可能性があるからこのまま気配を殺した方がいい」
「……分かったわ」
ラピスの言葉にカトレアが頷いた瞬間、ドアの向こうから聞き覚えのある声が聞こえた。
「カミル。遊びに来たのだが……あれっ? いないのか?」
「「「っ!?」」」
(メ、メスト様!?)
思わぬ来客に息を呑むフリージアに、カトレアが思い切り彼女の両肩を掴んだ。
「ちょっと、フリージア! どうしてメスト様が来るなんて言わないのよ?!」
「し、知らないからに決まっているでしょ!」
(そもそも、今日来るなんて聞いていない! 前に泊りに来た時、確か『今日は1日訓練だ』って仰っていたから!)
目を白黒させるフリージアに、カトレアが更に眉を顰めると、ドアの向こうにいるメストの気配が険しいものに変わる。
「おい、誰かいるのか?」
「「「っ!!」」」
メストの周囲を威圧する殺気を感じたラピスは、慌てて後ろにいる2人を見やった。
「マズイぞ、泣きはらした顔のフリージア嬢と、得物を構えている俺たちを隊長に見られでもしたら……」
「確実に殺されるわね」
「えっ!?」
思わず声を上げたフリージアの声が届いたのか、メストが激しくドアを叩く。
「おい、カミル! そこにいるのか! いるなら開けて欲しい!」
中々顔を出さない師匠兼友人のことが心配でならないメスト。
それに対し、大きな声を出してしまったフリージアをカトレアが小声で怒った。
「ちょっとフリージア! 何やっているのよ! このままだと、あの男、何が何でも押し入ってきて、私たちのことを根掘り葉掘り聞くかもしれないじゃない!」
「ご、ごめんなさい」
酷く落ち込むフリージアに、小さく溜息をついたラピスがカトレアに視線を向ける。
「それよりもどうする? このまま諦めて隊長を入れるか?」
「そんなバカなことをするわけないでしょ!!」
(記憶が無くても、今のメスト様がフリージアのことを気にかけているのは間違いないわ。だとしたら、今の状況を見られるのは非常にマズいことになる!)
険しい顔をしたカトレアは、頭をフル回転させ、テーブルの上にあったアイマスクとベレー帽を手に取った。
「グスッ……うん、ありがとう。大分落ち着いたわ」
貯めにため込んだ思いを全て吐露したフリージアが一頻り泣き、カトレアから貰ったハンカチで涙を拭うと、心配そうに見つめている2人に笑みを向けた。
「ごめん、せっかく会いに来たのに情けないところを見せちゃって」
(本当は、私の愚痴なんて聞くためにここに来たわけじゃないのに)
申し訳なさそう笑うフリージアを見て、ラピスとアイコンタクトを交わしたカトレアが彼女の頭を優しく撫でる。
「良いのよ。むしろ、私たちの前で吐き出してくれてありがとう」
「えっ?」
驚いて目を見開くフリージアに、優しく微笑みかけたカトレアが再び彼女を抱きしめる。
「ノルベルトの改竄魔法にかかっていたとはいえ、今まであんたを孤独にさせた挙句、あんたに手を上げた。だから、あんたのつもりに積もった想いが聞けて本当に良かった」
「それに、俺は騎士にも関わらず、1人に戦っていたお前を助けようとしなかった。だから、お前の胸の内にあった不満を受け止める。それが、俺がお前に出来るせめてもの償いだ」
「カトレア。ラピスさん」
(記憶を取り戻したから、2人は気にしていたのか。記憶を取り戻す前の行いを)
記憶を改竄されて忘れていたと分かっていても、カトレアとラピスはフリージアの想いを聞いて、改めて今までの行いを悔いた。
そんな友人達の優しさに触れ、止まっていたはずの涙がフリージアの淡い緑色の瞳から涙溢れそうになった。
その時、来訪を告げるノックがドアから聞こえた。
コンコンコン
「「「っ!!」」」
再会した喜びで話し込んだお陰か、明るかった辺りがすっかり暗くなり、このまま2人を泊まらせてもおかしくない状況で響いたノック音。
「カトレア、お前は気配を消してフリージア嬢の傍にいろ」
「分かったわ」
小声でカトレアに指示を出したラピスは、腰につけていたマジックバックから双剣を出すと、気配を消してカトレアとフリージアを守るように構える。
その後ろで、マジックバックから杖を取り出して構えたカトレアが、フリージアの耳元で囁く。
「フリージア、今日来客の予定は?」
「いや、無いはずよ」
「そう」
(だとしたら、一体誰なのかしら?)
眉を潜ませたカトレアが今度はラピスに囁く。
「ラピス、あんたはドアに近づいて相手の様子を……」
「いや、それだと相手に気づかれる可能性があるからこのまま気配を殺した方がいい」
「……分かったわ」
ラピスの言葉にカトレアが頷いた瞬間、ドアの向こうから聞き覚えのある声が聞こえた。
「カミル。遊びに来たのだが……あれっ? いないのか?」
「「「っ!?」」」
(メ、メスト様!?)
思わぬ来客に息を呑むフリージアに、カトレアが思い切り彼女の両肩を掴んだ。
「ちょっと、フリージア! どうしてメスト様が来るなんて言わないのよ?!」
「し、知らないからに決まっているでしょ!」
(そもそも、今日来るなんて聞いていない! 前に泊りに来た時、確か『今日は1日訓練だ』って仰っていたから!)
目を白黒させるフリージアに、カトレアが更に眉を顰めると、ドアの向こうにいるメストの気配が険しいものに変わる。
「おい、誰かいるのか?」
「「「っ!!」」」
メストの周囲を威圧する殺気を感じたラピスは、慌てて後ろにいる2人を見やった。
「マズイぞ、泣きはらした顔のフリージア嬢と、得物を構えている俺たちを隊長に見られでもしたら……」
「確実に殺されるわね」
「えっ!?」
思わず声を上げたフリージアの声が届いたのか、メストが激しくドアを叩く。
「おい、カミル! そこにいるのか! いるなら開けて欲しい!」
中々顔を出さない師匠兼友人のことが心配でならないメスト。
それに対し、大きな声を出してしまったフリージアをカトレアが小声で怒った。
「ちょっとフリージア! 何やっているのよ! このままだと、あの男、何が何でも押し入ってきて、私たちのことを根掘り葉掘り聞くかもしれないじゃない!」
「ご、ごめんなさい」
酷く落ち込むフリージアに、小さく溜息をついたラピスがカトレアに視線を向ける。
「それよりもどうする? このまま諦めて隊長を入れるか?」
「そんなバカなことをするわけないでしょ!!」
(記憶が無くても、今のメスト様がフリージアのことを気にかけているのは間違いないわ。だとしたら、今の状況を見られるのは非常にマズいことになる!)
険しい顔をしたカトレアは、頭をフル回転させ、テーブルの上にあったアイマスクとベレー帽を手に取った。
8
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
追放された落ちこぼれ令嬢ですが、氷血公爵様と辺境でスローライフを始めたら、天性の才能で領地がとんでもないことになっちゃいました!!
六角
恋愛
「君は公爵夫人に相応しくない」――王太子から突然婚約破棄を告げられた令嬢リナ。濡れ衣を着せられ、悪女の烙印を押された彼女が追放された先は、"氷血公爵"と恐れられるアレクシスが治める極寒の辺境領地だった。
家族にも見捨てられ、絶望の淵に立たされたリナだったが、彼女には秘密があった。それは、前世の知識と、誰にも真似できない天性の《領地経営》の才能!
「ここなら、自由に生きられるかもしれない」
活気のない領地に、リナは次々と革命を起こしていく。寂れた市場は活気あふれる商業区へ、痩せた土地は黄金色の麦畑へ。彼女の魔法のような手腕に、最初は冷ややかだった領民たちも、そして氷のように冷たいはずのアレクシスも、次第に心を溶かされていく。
「リナ、君は私の領地だけの女神ではない。……私だけの、女神だ」
【完結】捨てられた皇子の探し人 ~偽物公女は「大嫌い」と言われても殿下の幸せを願います~
ゆきのひ
恋愛
二度目の人生は、前世で慕われていた皇子から、憎悪される運命でした…。
騎士の家系に生まれたリュシー。実家の没落により、生きるために皇宮のメイドとなる。そんなリュシーが命じられたのは、廃屋同然の離宮でひっそりと暮らすセレスティアン皇子の世話係。
母を亡くして後ろ盾もなく、皇帝に冷遇されている幼い皇子に心を寄せたリュシーは、皇子が少しでも快適に暮らしていけるよう奮闘し、その姿に皇子はしだいに心開いていく。
そんな皇子との穏やかな日々に幸せを感じていたリュシーだが、ある日、毒を盛られて命を落とした……はずが、目を開けると、公爵令嬢として公爵家のベッドに横たわっていた。けれどその令嬢は、リュシーの死に因縁のある公爵の一人娘……。
望まぬ形で二度目の生を享けたリュシーと、その死に復讐を誓った皇子が、本当に望んでいた幸せを手に入れるまでのお話。
※本作は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さんにも投稿しています。
※表紙画像はAIで作成したものです
偽聖女と追放された私は、辺境で定食屋をはじめます~こっそり生活魔法で味付けしていたら、氷の騎士団長様が毎日通ってくるんですけど!?~
咲月ねむと
恋愛
【アルファポリス女性向けHOTランキング1位達成作品!!】
あらすじ
「役立たずの偽聖女め、この国から出て行け!」
聖女として召喚されたものの、地味な【生活魔法】しか使えず「ハズレ」の烙印を押されたエリーナ。
彼女は婚約者である王太子に婚約破棄され、真の聖女と呼ばれる義妹の陰謀によって国外追放されてしまう。
しかし、エリーナはめげなかった。
実は彼女の【生活魔法】は、一瞬で廃墟を新築に変え、どんな食材も極上の味に変えるチートスキルだったのだ!
北の辺境の地へ辿り着いたエリーナは、念願だった自分の定食屋『陽だまり亭』をオープンする。
すると、そこへ「氷の騎士団長」と恐れられる冷徹な美形騎士・クラウスがやってきて――。
「……味がする。お前の料理だけが、俺の呪いを解いてくれるんだ」
とある呪いで味覚を失っていた彼は、エリーナの料理にだけ味を感じると判明。
以来、彼は毎日のように店に通い詰め、高額な代金を置いていったり、邪魔する敵を排除したりと、エリーナを過保護なまでに溺愛し始める。
最強の騎士団長と騎士たちに胃袋を掴んで守られながら、エリーナは辺境で幸せなスローライフを満喫中?
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる