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第6章 待ち望んだ再会と星降る夜の語らい
第359話 君に伝えたいこと
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「それで、今日はどうして来たのですか?」
「あ、あぁ、そうだったな」
気まずそうに頬を掻いたメストに、カミルが不審そうに目を細める。
(メスト様、私と綺麗な星空を見に来たことで本来の目的をすっかり忘れていたわね。まぁ、私もランタンに照らされた彼の凛々しいお顔に少しだけ見惚れて、一瞬忘れかけそうになったけど)
そう思いつつも呆れたように溜息をつくカミルを見て、申し訳なさそうな顔をしたメストは、後ろ手についていた両手を前に戻すと、正面に向けていた体をカミルの方に向けた。
「実は俺、仕事の都合で明日からしばらくの間、ここに来られなくなった」
「そうなんですね」
「意外とあっさりしているな。もう少し驚くかと思った」
「まぁ、仕事の都合で来られなくなることは今までもよくありましたからそこまでは……ですが、いきなり長期間も来られないというのは初めてですので、それなりに驚いています」
「それにしては、いつもの涼しい顔をしているが」
(それは、単にアイマスクに付与された鎮静の効果のお陰ですよ)
一部隊の隊長であるメストは、それなりに忙しいのでカミルの家に来られなくなることはよくあった。
だが、その時は必ず事前に伝えていた。
「それで今日、突然いらしたのですね?」
「あぁ、俺も今日知ったから、早めにカミルに伝えておこうと思って」
「今日……それはまた、随分と突然だったのですね」
「そうだな。だが、これでようやく近衛騎士としての本来の仕事が出来る」
(本来の仕事?)
メストの言葉に引っかかりを感じたカミルは、頭に浮かんだ疑問をそのまま口にする。
「ちなみに、どのようなお仕事を任されたのか聞いてもよろしいでしょうか?」
(本来、騎士の仕事を平民風情が聞いてはいけないことくらい分かっている。それでも、メスト様の誇らしげな顔を見ると気になってしまうわ)
メストと向き合う形に体を動かしたカミルは、緊張からかほんの少しだけ唾を飲む。
そうとは知らず、メストはカミルの問いかけに思わず目を見開く。
(まさか、カミルが俺の仕事について聞いてくれるとは!)
今まで騎士の仕事について聞くことが無かったカミルからの質問に、嬉しそうな笑みを浮かべたメストが頷いた。
「あぁ、むしろ俺の師匠であり友人であるカミルに聞いて欲しい」
そう言うと、メストはしばらくこの場所に来られない理由を話始めた。
「近々、この村にも知らせが来ると思うが……2ヶ月後、ペトロート王国の建国祭がある」
「あっ」
「その関係で、俺はしばらくこの場所に来ることが出来なくなった」
(そう言えば、もうそんな時期だったわね)
ペトロート王国の一大行事である建国祭。
それは、今から約1000年前、当時帝国の一地域でしかなかったペトロート王国が、独立をかけて戦争をした末、見事帝国からの独立を果たし、今のペトロート王国が建国された。
その日が、ペトロート王国の建国日であり、建国祭が行われる日である。
そして今から300年前、世界征服を目論んでいた当時の宰相が、愚かにも帝国に戦いを挑み、大敗をしてあわや属国に逆戻りしそうになった日でもある。
(私がまだ貴族令嬢だった頃は、貴族も平民も関係なく、皆が皆、思い思いにこの日を大いに楽しんでいたわね)
建国祭は、国民にとって当時命を賭して戦った国民全員を称え、これからの王国の未来を国民全員が願う大切な日でもある。
そのため、貴族ならば王家主催の祝賀会や夜会に出席して厳かに祝勝を称え、平民ならば今暮らしている貴族領の領主主催の大きな祭りに赴き、飲んで騒いで大いに楽しんで祝杯をあげた。
正に、国民全員でペトロート王国の建国をお祝いするのだ。
しかし、平民嫌いのノルベルトの改竄魔法がかけられた今、平民は建国祭を祝うことも建国祭当日に王都に入ることも禁じられた。
結果、建国祭はノルベルトを中心に、貴族と王族のみが贅の限りを尽くして豪勢に祝うものになってしまった。
(ノルベルトの改竄魔法で『建国祭は平民も祝っていた』という事実が記憶から消されている今の平民にとっては、建国祭は『王都に入れない日』として認知されているのよね。お陰で前日は買い出しの量が尋常じゃなく多くて苦労するのよね)
建国祭前日のことが頭を過り、内心げんなりしたカミルはふと、随分前にメストが一昨年と去年の建国祭で就いていた仕事について話していたことを思い出す。
「『建国祭』と言えば確か、一昨年と去年は『王都の門番をしていた』と話されていませんでした?」
「あぁ、『近衛騎士だから』という訳も分からない理由で、宰相閣下直々に王都の門番を任された」
(確かに訳が分からない。というより、王都全体の警備って確か、第一騎士団がしているわよね?)
「よくそんな話を覚えていたな?」
「えぇ、平民である私には、騎士様の仕事を知りえる機会が少ないものですから覚えていました」
「それもそうか」
(本当は偶然思い出しただけなんだけどね)
納得したよう頷いたメストを見て、少しだけ罪悪感を覚えたカミルは、胸の中にある罪悪感を誤魔化すように口を開く。
「では、今年はどのようなお仕事を任されたのですか?」
(長期で来られないあたり、間違いなく門番ではないわね。もしそうだとしたら、メスト様が先程おっしゃっていた『本来の仕事』の意味が分からなくなるし、急に言われたからとはいえ、わざわざ早めに言いに来る必要が無いわ。泊まりに来始めた一昨年と去年も建国祭の時期でも休日なれば泊まりに来て、その時におっしゃっていたから)
無表情で淡々と聞いてきたカミルに、眉間に皺を寄せたメストが拳を握ると任された仕事を口にした。
「今年は、国王陛下の護衛を任された」
「あ、あぁ、そうだったな」
気まずそうに頬を掻いたメストに、カミルが不審そうに目を細める。
(メスト様、私と綺麗な星空を見に来たことで本来の目的をすっかり忘れていたわね。まぁ、私もランタンに照らされた彼の凛々しいお顔に少しだけ見惚れて、一瞬忘れかけそうになったけど)
そう思いつつも呆れたように溜息をつくカミルを見て、申し訳なさそうな顔をしたメストは、後ろ手についていた両手を前に戻すと、正面に向けていた体をカミルの方に向けた。
「実は俺、仕事の都合で明日からしばらくの間、ここに来られなくなった」
「そうなんですね」
「意外とあっさりしているな。もう少し驚くかと思った」
「まぁ、仕事の都合で来られなくなることは今までもよくありましたからそこまでは……ですが、いきなり長期間も来られないというのは初めてですので、それなりに驚いています」
「それにしては、いつもの涼しい顔をしているが」
(それは、単にアイマスクに付与された鎮静の効果のお陰ですよ)
一部隊の隊長であるメストは、それなりに忙しいのでカミルの家に来られなくなることはよくあった。
だが、その時は必ず事前に伝えていた。
「それで今日、突然いらしたのですね?」
「あぁ、俺も今日知ったから、早めにカミルに伝えておこうと思って」
「今日……それはまた、随分と突然だったのですね」
「そうだな。だが、これでようやく近衛騎士としての本来の仕事が出来る」
(本来の仕事?)
メストの言葉に引っかかりを感じたカミルは、頭に浮かんだ疑問をそのまま口にする。
「ちなみに、どのようなお仕事を任されたのか聞いてもよろしいでしょうか?」
(本来、騎士の仕事を平民風情が聞いてはいけないことくらい分かっている。それでも、メスト様の誇らしげな顔を見ると気になってしまうわ)
メストと向き合う形に体を動かしたカミルは、緊張からかほんの少しだけ唾を飲む。
そうとは知らず、メストはカミルの問いかけに思わず目を見開く。
(まさか、カミルが俺の仕事について聞いてくれるとは!)
今まで騎士の仕事について聞くことが無かったカミルからの質問に、嬉しそうな笑みを浮かべたメストが頷いた。
「あぁ、むしろ俺の師匠であり友人であるカミルに聞いて欲しい」
そう言うと、メストはしばらくこの場所に来られない理由を話始めた。
「近々、この村にも知らせが来ると思うが……2ヶ月後、ペトロート王国の建国祭がある」
「あっ」
「その関係で、俺はしばらくこの場所に来ることが出来なくなった」
(そう言えば、もうそんな時期だったわね)
ペトロート王国の一大行事である建国祭。
それは、今から約1000年前、当時帝国の一地域でしかなかったペトロート王国が、独立をかけて戦争をした末、見事帝国からの独立を果たし、今のペトロート王国が建国された。
その日が、ペトロート王国の建国日であり、建国祭が行われる日である。
そして今から300年前、世界征服を目論んでいた当時の宰相が、愚かにも帝国に戦いを挑み、大敗をしてあわや属国に逆戻りしそうになった日でもある。
(私がまだ貴族令嬢だった頃は、貴族も平民も関係なく、皆が皆、思い思いにこの日を大いに楽しんでいたわね)
建国祭は、国民にとって当時命を賭して戦った国民全員を称え、これからの王国の未来を国民全員が願う大切な日でもある。
そのため、貴族ならば王家主催の祝賀会や夜会に出席して厳かに祝勝を称え、平民ならば今暮らしている貴族領の領主主催の大きな祭りに赴き、飲んで騒いで大いに楽しんで祝杯をあげた。
正に、国民全員でペトロート王国の建国をお祝いするのだ。
しかし、平民嫌いのノルベルトの改竄魔法がかけられた今、平民は建国祭を祝うことも建国祭当日に王都に入ることも禁じられた。
結果、建国祭はノルベルトを中心に、貴族と王族のみが贅の限りを尽くして豪勢に祝うものになってしまった。
(ノルベルトの改竄魔法で『建国祭は平民も祝っていた』という事実が記憶から消されている今の平民にとっては、建国祭は『王都に入れない日』として認知されているのよね。お陰で前日は買い出しの量が尋常じゃなく多くて苦労するのよね)
建国祭前日のことが頭を過り、内心げんなりしたカミルはふと、随分前にメストが一昨年と去年の建国祭で就いていた仕事について話していたことを思い出す。
「『建国祭』と言えば確か、一昨年と去年は『王都の門番をしていた』と話されていませんでした?」
「あぁ、『近衛騎士だから』という訳も分からない理由で、宰相閣下直々に王都の門番を任された」
(確かに訳が分からない。というより、王都全体の警備って確か、第一騎士団がしているわよね?)
「よくそんな話を覚えていたな?」
「えぇ、平民である私には、騎士様の仕事を知りえる機会が少ないものですから覚えていました」
「それもそうか」
(本当は偶然思い出しただけなんだけどね)
納得したよう頷いたメストを見て、少しだけ罪悪感を覚えたカミルは、胸の中にある罪悪感を誤魔化すように口を開く。
「では、今年はどのようなお仕事を任されたのですか?」
(長期で来られないあたり、間違いなく門番ではないわね。もしそうだとしたら、メスト様が先程おっしゃっていた『本来の仕事』の意味が分からなくなるし、急に言われたからとはいえ、わざわざ早めに言いに来る必要が無いわ。泊まりに来始めた一昨年と去年も建国祭の時期でも休日なれば泊まりに来て、その時におっしゃっていたから)
無表情で淡々と聞いてきたカミルに、眉間に皺を寄せたメストが拳を握ると任された仕事を口にした。
「今年は、国王陛下の護衛を任された」
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