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第7章 余興と奇貨の建国祭
第398話 あなたと私の覚悟
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友人3人が各々決意を固め、涙ぐんでいたフリージアが落ち着いたタイミングで、カトレアとラピスは建国祭での作戦について彼女に話した。
一通り話を聞いて深々と頷いたフリージアは、『せっかくだから』と住み慣れた我が家を案内すると手料理を振舞った。
親友の美味しい家庭料理に舌鼓を打った2人は、明日に備えてログハウスを後にした。
ログハウスに来た時は明るかった辺りは、転移魔法で王都に帰ってきた時にはすっかり暗くなった。
そんな中、カトレアに誘われて、ラピスは王城近くの森の奥にある小さな広場のベンチに座った。
「ごめん、ラピス。付き合わせちゃって」
「構わない。それに、俺もフリージア嬢に会いたかったから」
「そうだったのね」
申し訳なさそうな顔をしたカトレアに微笑みかけたラピスは、満点の星空に目を向ける。
「星、綺麗だな。王城近くにこんな場所があったなんて知らなかった」
「何でも遥か昔、当時の国王陛下が愛人だったメイドと密かに逢引きするために造られた場所みたいよ」
「何だよ、それ」
森の中に突如現れた広場を聞いて、鼻で笑うラピスだったが、寂しそうに笑うカトレアを横目で見て、僅かに眉を顰めると空気を換えるように話題を変えた。
「明日はどうする? 珍しく2日連続2人とも休みだから久しぶりにデートでもするか?」
「良いわね。ここ最近、こうして2人きりになることもなかったし」
小さく笑みを零したカトレアを見て、安堵したラピスはずっと前にカトレアが行きたいと言っていた場所を口にする。
「それなら、お前が随分前に『行きたい!』って言っていた魔道具屋でも覗いてみるか? 何でもここ最近、新作が入ったみたいだぞ」
「良いわね! でも、その前にあの方のもとに報告しに行かないと」
「……そうだったな」
満点の星空の下で心地よい夜風が2人の肌を優しく撫でる中、カトレアの表情は再び曇った。
(こいつがこんな顔をしている時、大方1人では抱えられないことを考えているんだろうな)
幼馴染として、そして婚約者としてカトレアの傍で見てきたラピスは、小さく溜息をつくと彼女の頭に手を乗せ、そのまま自分の左肩に乗せた。
「ラピス!?」
「いつも言っているだろ。抱えているものがあるなら全て俺に言え。ここなら誰にも聞かれないことくらい、お前だって分かっているはずだ」
「……うん、分かった」
ラピスの優しさに甘え、彼の逞しい体に華奢な体を預けたカトレアは胸の中にある不安を口にする。
「本当は分かっていた。お人好しなくせに正義感が強いフリージアが帝国に逃げることが無いって」
「そうだな。フリージア嬢の家に行く前、そんなことを言っていたな」
胸の奥にあった本音を静かに吐露したカトレアを受け止めるように、ラピスは彼女の頭を優しく撫でる。
すると、顔を俯かせたカトレアの肩が小刻みに震え始めた。
「でも、本当は逃げて欲しかった! 公爵様がこの国を取り戻すまでの間だけ帝国に逃げて欲しかった!」
それは、フリージアの前では決して言えなかった本音。
嗚咽交じりに出たカトレアの本音に、胸を締め付けられたラピスはただ黙って耳を傾けるしかなかった。
レクシャは、万が一フリージアが『逃げる』という選択をした場合に備え、皇帝を通して、本家にあたるサザランス侯爵家にフリージアを匿ってもらうように手筈を整えていた。
だが、カトレアは分かっていた。
親友であるフリージアが……『王国の盾』という2つ名を誇りに思っている彼女が『逃げる』という手段を選ばないことを。
それでも願った。生きていて欲しいから、逃げてくれと。
「でも、あの子は逃げなかった。家族や私たちのことを信じて、『王国の盾』を賜った家の者としての責務を果たそうと自ら囮になることを選んだ」
「……そうだな」
『お父様もそれを望んでいるでしょうから』
敵しかいない場にたった1人で行こうとするのだ。命の保証なんてどこにもない。
それでも、フリージアはみんなを信じて、サザランス公爵家の人間として役目を果たそうと、囮としてダリアやノルベルトの前に立つと選んだ。
(正義感の強いあの子が囮になることを選んだ。だったら、私がやることはただ一つ!)
持っていたハンカチで涙を拭いたカトレアは、ベンチから立ち上がるとラピスに向き合った。
「カトレア?」
「ラピス、絶対にあの子を助けるわよ!」
(何が何でも、絶対に助けるわ!)
月明かりを背に、力強く決意を口にしたカトレアの凛々しい表情に、一瞬見惚れていたラピスは慌てて顔を引き締めるとベンチから立ち上がった。
そして、カトレアの前に跪くと左胸に手を当てて深々と頭を下げる。
「仰せのままに、我が愛しき婚約者」
一通り話を聞いて深々と頷いたフリージアは、『せっかくだから』と住み慣れた我が家を案内すると手料理を振舞った。
親友の美味しい家庭料理に舌鼓を打った2人は、明日に備えてログハウスを後にした。
ログハウスに来た時は明るかった辺りは、転移魔法で王都に帰ってきた時にはすっかり暗くなった。
そんな中、カトレアに誘われて、ラピスは王城近くの森の奥にある小さな広場のベンチに座った。
「ごめん、ラピス。付き合わせちゃって」
「構わない。それに、俺もフリージア嬢に会いたかったから」
「そうだったのね」
申し訳なさそうな顔をしたカトレアに微笑みかけたラピスは、満点の星空に目を向ける。
「星、綺麗だな。王城近くにこんな場所があったなんて知らなかった」
「何でも遥か昔、当時の国王陛下が愛人だったメイドと密かに逢引きするために造られた場所みたいよ」
「何だよ、それ」
森の中に突如現れた広場を聞いて、鼻で笑うラピスだったが、寂しそうに笑うカトレアを横目で見て、僅かに眉を顰めると空気を換えるように話題を変えた。
「明日はどうする? 珍しく2日連続2人とも休みだから久しぶりにデートでもするか?」
「良いわね。ここ最近、こうして2人きりになることもなかったし」
小さく笑みを零したカトレアを見て、安堵したラピスはずっと前にカトレアが行きたいと言っていた場所を口にする。
「それなら、お前が随分前に『行きたい!』って言っていた魔道具屋でも覗いてみるか? 何でもここ最近、新作が入ったみたいだぞ」
「良いわね! でも、その前にあの方のもとに報告しに行かないと」
「……そうだったな」
満点の星空の下で心地よい夜風が2人の肌を優しく撫でる中、カトレアの表情は再び曇った。
(こいつがこんな顔をしている時、大方1人では抱えられないことを考えているんだろうな)
幼馴染として、そして婚約者としてカトレアの傍で見てきたラピスは、小さく溜息をつくと彼女の頭に手を乗せ、そのまま自分の左肩に乗せた。
「ラピス!?」
「いつも言っているだろ。抱えているものがあるなら全て俺に言え。ここなら誰にも聞かれないことくらい、お前だって分かっているはずだ」
「……うん、分かった」
ラピスの優しさに甘え、彼の逞しい体に華奢な体を預けたカトレアは胸の中にある不安を口にする。
「本当は分かっていた。お人好しなくせに正義感が強いフリージアが帝国に逃げることが無いって」
「そうだな。フリージア嬢の家に行く前、そんなことを言っていたな」
胸の奥にあった本音を静かに吐露したカトレアを受け止めるように、ラピスは彼女の頭を優しく撫でる。
すると、顔を俯かせたカトレアの肩が小刻みに震え始めた。
「でも、本当は逃げて欲しかった! 公爵様がこの国を取り戻すまでの間だけ帝国に逃げて欲しかった!」
それは、フリージアの前では決して言えなかった本音。
嗚咽交じりに出たカトレアの本音に、胸を締め付けられたラピスはただ黙って耳を傾けるしかなかった。
レクシャは、万が一フリージアが『逃げる』という選択をした場合に備え、皇帝を通して、本家にあたるサザランス侯爵家にフリージアを匿ってもらうように手筈を整えていた。
だが、カトレアは分かっていた。
親友であるフリージアが……『王国の盾』という2つ名を誇りに思っている彼女が『逃げる』という手段を選ばないことを。
それでも願った。生きていて欲しいから、逃げてくれと。
「でも、あの子は逃げなかった。家族や私たちのことを信じて、『王国の盾』を賜った家の者としての責務を果たそうと自ら囮になることを選んだ」
「……そうだな」
『お父様もそれを望んでいるでしょうから』
敵しかいない場にたった1人で行こうとするのだ。命の保証なんてどこにもない。
それでも、フリージアはみんなを信じて、サザランス公爵家の人間として役目を果たそうと、囮としてダリアやノルベルトの前に立つと選んだ。
(正義感の強いあの子が囮になることを選んだ。だったら、私がやることはただ一つ!)
持っていたハンカチで涙を拭いたカトレアは、ベンチから立ち上がるとラピスに向き合った。
「カトレア?」
「ラピス、絶対にあの子を助けるわよ!」
(何が何でも、絶対に助けるわ!)
月明かりを背に、力強く決意を口にしたカトレアの凛々しい表情に、一瞬見惚れていたラピスは慌てて顔を引き締めるとベンチから立ち上がった。
そして、カトレアの前に跪くと左胸に手を当てて深々と頭を下げる。
「仰せのままに、我が愛しき婚約者」
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