木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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第7章 余興と奇貨の建国祭

第405話 最終確認

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 ペトロート王国に建国祭の始まりを告げる祝砲が鳴り響いた頃、辺境の森の奥にある隠れ家の大広間は、16台の通信魔法が付与された魔道具と16人の報告役の騎士達がいた。
 その大広間の真ん中で、いつもの文官姿ではなく、使い込まれた銀色の鎧を身に纏ったレクシャは、同じく鎧姿の執事のインホルトと地図を見ながら作戦の最終確認をしていた。


「魔法陣の様子は?」
「相変わらず不安定な状況であると報告が」
「そうか」


 (となると、昨夜ノルベルトはありったけの魔力を流し込んだということか。まぁ、それくらい今回のことは失敗出来ないということなのだろうが)


「それと、昨夜も報告させていただきましたが、第二騎士団が警備していたところに突然、第一騎士団と宮廷魔法師が押印の入った書類を持ってきて、警備を無理矢理変わったと」
「そうだったな。ちなみに数は把握できたのか?」
「はい。各地から上がってきた報告を纏めますと、第一騎士団は全員、宮廷魔法師団は全員ではありませんが何人か派遣された様子です」
「となると、やはりロスペルの報告通り、ノルベルトは第二騎士団を見捨て、お気に入りの駒たちに守らせたということだな」
「そうなりますね」


 (まぁ、こちらとしては非常に都合が良いのだが)

 ニヤリと笑みを浮かべたレクシャは、すぐさま笑みを潜めると地図に視線を落とす。


「では、各地の準備はどうなっている?」
「第一騎士団と宮廷魔法師達が魔法陣の警備をする前に、各魔法陣から離れた場所に建てられた隠れ家に、帝国から『死神の一族』と『フィアンツ帝国筆頭宮廷魔法師』マーザス殿が大量の物資を持って来られました」
「マーザス殿か。まさか、本当に来られるとは」


 建国祭二週間前。レクシャは帝国からの送られた密書に、建国祭前日に帝国の死神と共にマーザスが来ることが書かれていた。

 (大方、興味本位で来られたのでしょうが……こちらとしては、ありがたい人材だ)


「そして、各隠れ家には『帝国の死神』を護衛する第二騎士団・ヴィルマン侯爵家・シュタール辺境伯家の私設騎士が待機しております」
「ということは、第二騎士団は予定通りこちらについたということか?」
「はい。第一騎士団が来た時点で、フェビル殿が第二騎士団に旦那様の加勢をするように指示を出したとのことです」


 (さすが元第二騎士団団長。改竄魔法の影響下にある部下をこちら側につかせるとは。彼の人徳は並外れたものだね)

 建国祭二ヶ月前、レクシャいる屋敷に訪れたフェビルは、ノルベルトの策略により建国祭で王族護衛をすることになり、魔法陣奪還の作戦に参加出来ないことをレクシャに伝える。
 そして、レクシャに自ら信頼を置いている第二騎士団を加えてもらいないか懇願した。

 もちろん、第二騎士団は全員ノルベルトの改竄魔法の影響下にあるため、作戦の全てを伝えることは出来ない。
 だが、第二騎士団に所属している騎士達全員、改竄魔法の影響が平民以上に受けていないのに加え、前団長であるフェビルに絶対的な信頼を置いている。

 フェビルの熱い説得で、レクシャは第二騎士団を作戦に加えることを了承した。

 その後、フェビルは水面下でノルベルトにより警護役を外された場合に備え、第二騎士団に『警護役を外された場合、魔法陣の浄化作業の手伝いをして欲しい』と指示を出した。


「となれば、全員隠れ家で合図を待っているということだな?」
「はい。北はシュタール辺境伯家が、南はヴィルマン侯爵家が、東と西は第二騎士団がそれぞれ指揮を取る形で配置についており、現在、隠れ家にてロスペル坊ちゃんの合図を待っています」
「ちなみに、カトレア嬢とラピス君は?」
「ラピス様は東にいる第二騎士団と一緒におります。カトレア嬢もタイミングを見計らってラピス様がいらっしゃる東の部隊に合流するかと」
「よし、予定通りだな」


 (東ということは、フリージアがいた村が近くにある。あの2人には手筈通り、頃合いを見計らってフリージアが住んでいる森に行ってもらおう)


「インホルト。東は確か第二騎士団の団長モリス君だな?」
「はい、そうです」
「ならば、彼に再度伝えてくれ。『カトレア嬢とラピス君が我が娘を迎えに行くはずだから、その時は快く送って欲しい』と」
「かしこまりました」


 すると、突然ドアがノックされた。
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