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第7章 余興と奇貨の建国祭
第411話 思い出の部屋
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二階に上がったフリージアは、自室から2部屋の鍵を持ってくると、そのまま自室の隣にある部屋の扉の前に立つ。
その部屋は、メストにもカトレアにもラピスにも見せたことのない部屋だった。
「定期的に掃除しに来ているのに、今日に限ってどうしてこんなにも緊張するのだろう?」
(きっと明日、あの2人に会うからかしら?)
思わず笑みを零したフリージアは、部屋から持ってきた鍵の1つを鍵穴に差し込むと扉を開けて中に入る。
そこには、アンティーク調で重厚感のあるクローゼットやドレッサーや本棚などの家具、そして保存魔法がかけられた色鮮やかな多くのドレスが綺麗に並べられていた。
また、本棚には子どもの頃から読んでいた本が収納されており、綺麗な棚の中にはフリージアがデビュタントを迎えた時に使う予定だった綺麗なアクセサリーやお気に入りのハンカチ等が大切に入れられていた。
「ここに来ると、あの頃に戻ったみたいで懐かしく思ってしまうわ」
所狭しと様々な物が置かれているその部屋は、実は宰相家令嬢だった頃に使っていた家具やドレスなどが置かれていた部屋だった。
というのも、万が一に備えてレクシャがエドガスに『フリージアが使っていた家具やドレスなどが置ける部屋を作って欲しい』と頼んでいたのだ。
かつての主の命を受けたエドガスは、倉庫代わりに使っていた空き部屋をすぐさま綺麗にすると、インホルトを通してレクシャにフリージアが使っている家具やドレスに転移魔法を付与していいか願い出る。
すぐさまレクシャから了承を得たエドガスは、インホルトと協力してこの部屋に家具やドレスが転移出来るよう水面下で準備していた。
そして、全てが奪われた日。フリージアが屋敷を出たタイミングでインホルトがこの部屋にドレスや家具を転移させたのだ。
ちなみに、フリージアにはこの場所に逃げられるまで伏せておいていた。
そのため、フリージアがこのことを知ったのは、この場所に来て約半年後のことで、この部屋に案内された時は酷く驚いた。
(家族と離れ離れになって寂しい思いをしている私の心の支えになるように……そして、私が貴族令嬢に戻った時のために持ってきてくれたのよね)
娘のことを想ってこの場所に運び込んでくれた父の想いと、その想いに応えたエドガスの優しさに胸が温かくなったフリージアは、ゆっくりとした足取りで部屋の中を見て回る。
「これは、お母様がお父様に嫁いできた時に持ってきたドレッサーね。あぁ、こっちには初めてのお茶会で着ていたドレスもあるわね」
貴族の間では、『一度着たドレスは二度と着ることはなく、貴族御用達の服飾屋か知り合いの家に譲るという』という暗黙の了解が存在する。
それは、自分の家がいかに裕福であるかをアピールするためである。
だがフリージアは、思い出のあるドレスは誰かに譲らず大切に保管していた。
(このドレス達を着ることはもうないけれど……いつかまた、美しいドレスを着てお茶会や夜会に行ってみたいな)
大切に保管されたドレス達を懐かしい目で見ていると、あるドレスの前で足が止まった。
「これって……」
『フリージア、誕生日おめでとう。そのドレス、とても似合っているよ』
足を止めたフリージアの視線の先には、アイスブルーの生地に、随所に銀色の刺繡が施され、フリルがふんだんにあしらわれているドレスが置かれていた。
それは、全てが奪われる半年前、自分の誕生日パーティーで着た、当時婚約者だった人から贈られた大切なドレスだった。
(こんな可愛いドレスをメスト様が選んでくださったと考えると今でも恥ずかしいけど、けれど……)
「本当に、綺麗で素敵なドレスだわ」
銀髪で淡い緑色の瞳で、綺麗な顔立ちと今でも折れそうな細身の体躯のフリージアのことを考えて、婚約者が選びに選び抜いたドレス。
その綺麗で可愛いドレスを着ているフリージアを見て嬉しそうに頬を緩め、『似合っている』と褒める婚約者の笑顔が脳裏を過り、壊れ物を扱うかのようにドレスを優しく撫でたフリージアの淡い緑色の瞳から1粒の涙が零れ落ちた。
その部屋は、メストにもカトレアにもラピスにも見せたことのない部屋だった。
「定期的に掃除しに来ているのに、今日に限ってどうしてこんなにも緊張するのだろう?」
(きっと明日、あの2人に会うからかしら?)
思わず笑みを零したフリージアは、部屋から持ってきた鍵の1つを鍵穴に差し込むと扉を開けて中に入る。
そこには、アンティーク調で重厚感のあるクローゼットやドレッサーや本棚などの家具、そして保存魔法がかけられた色鮮やかな多くのドレスが綺麗に並べられていた。
また、本棚には子どもの頃から読んでいた本が収納されており、綺麗な棚の中にはフリージアがデビュタントを迎えた時に使う予定だった綺麗なアクセサリーやお気に入りのハンカチ等が大切に入れられていた。
「ここに来ると、あの頃に戻ったみたいで懐かしく思ってしまうわ」
所狭しと様々な物が置かれているその部屋は、実は宰相家令嬢だった頃に使っていた家具やドレスなどが置かれていた部屋だった。
というのも、万が一に備えてレクシャがエドガスに『フリージアが使っていた家具やドレスなどが置ける部屋を作って欲しい』と頼んでいたのだ。
かつての主の命を受けたエドガスは、倉庫代わりに使っていた空き部屋をすぐさま綺麗にすると、インホルトを通してレクシャにフリージアが使っている家具やドレスに転移魔法を付与していいか願い出る。
すぐさまレクシャから了承を得たエドガスは、インホルトと協力してこの部屋に家具やドレスが転移出来るよう水面下で準備していた。
そして、全てが奪われた日。フリージアが屋敷を出たタイミングでインホルトがこの部屋にドレスや家具を転移させたのだ。
ちなみに、フリージアにはこの場所に逃げられるまで伏せておいていた。
そのため、フリージアがこのことを知ったのは、この場所に来て約半年後のことで、この部屋に案内された時は酷く驚いた。
(家族と離れ離れになって寂しい思いをしている私の心の支えになるように……そして、私が貴族令嬢に戻った時のために持ってきてくれたのよね)
娘のことを想ってこの場所に運び込んでくれた父の想いと、その想いに応えたエドガスの優しさに胸が温かくなったフリージアは、ゆっくりとした足取りで部屋の中を見て回る。
「これは、お母様がお父様に嫁いできた時に持ってきたドレッサーね。あぁ、こっちには初めてのお茶会で着ていたドレスもあるわね」
貴族の間では、『一度着たドレスは二度と着ることはなく、貴族御用達の服飾屋か知り合いの家に譲るという』という暗黙の了解が存在する。
それは、自分の家がいかに裕福であるかをアピールするためである。
だがフリージアは、思い出のあるドレスは誰かに譲らず大切に保管していた。
(このドレス達を着ることはもうないけれど……いつかまた、美しいドレスを着てお茶会や夜会に行ってみたいな)
大切に保管されたドレス達を懐かしい目で見ていると、あるドレスの前で足が止まった。
「これって……」
『フリージア、誕生日おめでとう。そのドレス、とても似合っているよ』
足を止めたフリージアの視線の先には、アイスブルーの生地に、随所に銀色の刺繡が施され、フリルがふんだんにあしらわれているドレスが置かれていた。
それは、全てが奪われる半年前、自分の誕生日パーティーで着た、当時婚約者だった人から贈られた大切なドレスだった。
(こんな可愛いドレスをメスト様が選んでくださったと考えると今でも恥ずかしいけど、けれど……)
「本当に、綺麗で素敵なドレスだわ」
銀髪で淡い緑色の瞳で、綺麗な顔立ちと今でも折れそうな細身の体躯のフリージアのことを考えて、婚約者が選びに選び抜いたドレス。
その綺麗で可愛いドレスを着ているフリージアを見て嬉しそうに頬を緩め、『似合っている』と褒める婚約者の笑顔が脳裏を過り、壊れ物を扱うかのようにドレスを優しく撫でたフリージアの淡い緑色の瞳から1粒の涙が零れ落ちた。
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