木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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第7章 余興と奇貨の建国祭

第413話 運命の朝

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「ん、んんっ……」


 建国祭当日。
 珍しく夜も明けないうちに目が覚めたフリージアは、木こりの服に身を包み、ベレー帽とアイマスクを身につける。
 そして、血術で『収納』『防御』の効果が付与された小さなウエストポーチにポーションなどを入れる。

 これは、エドガスがフリージアにくれた物で魔物討伐に行く時に必ず持って腰に携えている。

 そんなウエストポーチを携えて、ポケットに鍵とエドガスの部屋から持ってきたペンダントを入れると姿見の前に立つ。

 (いよいよ、今日なのね)


「この格好にもすっかり慣れてしまったわね」


 (あまりにも着慣れ過ぎているから、ドレスを着慣れるのに時間がかかりそうね)

 エドガスが『フリージアの正体を隠すため』と渡してくれた木こりの服。
 ドレスを着慣れていたフリージアは、最初はその服に抵抗があった。

 それは、貴族として家族や友人、婚約者と仲良くしていたあの頃の自分に未練があったからである。

 だが、エドガスが亡くなり、サザランス家の者としての使命を思い出して吹っ切れたフリージアにとって、今ではすっかり着慣れた服装である。

 (もし、全てを取り戻して家族と再会出来たら、この服を着ることも無くなるのね)

 少しだけ寂しさを覚えたフリージアは、姿見の前で小さく息を吐いて気合を入れると部屋を出る。

 そして、そのままエドガスの部屋の前で立ち止まった。


「エドガス、行ってくるわね」


 (だから、どうか見守っていて)

 亡き恩人の部屋をと別れを告げ、一階に降りたフリージアは、いつもより早い最後の朝食にありつきながら、まだ朝日が昇らない外に目をやる。

 (もう少ししたら、カトレア達はこの国を救うために戦うのね)

 数日前に告げられた建国祭当日の全貌。

 ペトロート王国を足掛かりに改竄魔法で世界征服を企むノルベルトを止め、改竄魔法に支配されたペトロート王国を救うため協力者達と共に戦うレクシャ。
 そして、その協力者の中には友人のカトレアとラピスがいた。

 (正直、2人にはお父様の作戦に参加して欲しくなかった)

 今のペトロート王国を作った元凶は、紛れもなく暴走したノルベルト・インベックを止められなかった王家とサザランス家の失態。
 それを分かっていたフリージアは、2人がレクシャに協力することを本当は止めたかった。


「けれど、あんな力強い宣言されたら止めることなんて出来ないわよね」


『私は、あんたの親友として、稀代の天才魔法師の弟子にかけて、絶対にあんたを死なせない!』
『俺も、お前の悪友として、ペトロート王国の騎士にかけて、絶対にお前を死なせない』


 幼い頃から仲良くしていて、とても頼もしくて誇らしい2人の友人の力強い宣言。

 (なら、私は2人を信じて自分の役目を果たそう)

 2人の言葉を思い出し、小さく笑みを零したフリージアは、椅子から立ち上がって食器を片付けると、ステインのご飯を用意して外に出る。

 その腰には、普段は携えないレイピアが携えられていた。
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