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第7章 余興と奇貨の建国祭
第422話 囚われの身
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馬車に揺られてしばらく、煌びやかすぎる旧都を抜けてすぐ、建国祭の式典会場となるコロッセオに到着した。
「ほら、着いたぞ。さっさと降りろ!」
突然馬車の扉が開き、嫌そうな顔で入ってきた騎士はフリージアの細い手首に重い手枷を付けると、フリージアを無理矢理馬車から降ろされる。
すると、建国祭のために飾り付けられたコロッセオの外観を目にし、フリージアが思わず顔を顰める。
(コロッセオも随分と様変わりしてしまったわね)
フリージアがまだ『宰相家令嬢』だった頃、家族と一緒にコロッセオで行われる式典に参加していたフリージアは、建国当初に造られたコロッセオの歴史を感じさせつつ、国王の質実剛健さを現すように飾られた外観に胸を躍らせていた。
そして、それを見た各国要人や貴族達が皆、笑顔でコロッセオに入っていくところも知っていた。
それが今、ノルベルトが好きそうな派手な装飾が施されていた。
(まるで自分がこの国の主だと言わんばかりの品の無い装飾ね。たかだか一国の宰相でしかないのに、どうしてこんな勘違いが出来るのかしら)
『国の政を取り纏めることが宰相の役目であり、国を支配するのは宰相の役目ではない』
事あるごとに父レクシャから教えられていたフリージアは、改竄魔法で好き勝手しているノルベルトに心底呆れていた。
「おい、行くぞ! 下民が!」
「っ!」
手枷から伸びる縄を騎士から引っ張られ、フリージアは式典準備で忙しいコロッセオに入っていく。
そして、すれ違いざまに騎士や文官達などから蔑みの目を向けられながら、外観以上に派手に装飾された通路を歩いていると、突然、前を歩いていた騎士が土壁の前で立ち止まる。
そして、何の変哲もない土壁に向かって手を翳して魔力を注ぐと、地下へと繋がる隠し通路が現れた。
「これって、もしかしなくても王族だけが知る隠し通路の1つじゃなくて!?」
万が一に国が攻め込まれた時のことを考え、コロッセオには王族しか知らない脱出用の隠し通路がいくつか作られていた。
(大方、ノルベルトが改竄魔法で騎士達に教えたのだろうけど……まさか、改竄魔法で王族達を意のままに操っているの!?)
「ほら、さっさと歩け! この下民が!」
「くっ!」
火属性の初級魔法で松明を照らした騎士達に引っ張られ、フリージアは『王族を改竄魔法で操る』という最もあってはならない事態に、顔を青ざめさせながら薄暗い階段を降りる。
そしてしばらく、ジメジメとした空間の下に向かって降りていると、鉄格子が嵌められた牢屋がいくつもある場所に着いた。
「ここは、一体……」
「ほら、さっさと入れ! 罪人が!」
「うぐっ!」
手枷の縄を引っ張られたフリージアは、一番手前にあった牢に無理矢理押し込められる。
「貴様はここで待っているんだ」
「えっ? あの方のもとに行くんじゃないのですか?」
(コロッセオに連れてきたのだから、てっきりダリアのもとにすぐ連れていかれるかと思ったけど)
倒れ込んだフリージアが小首を傾げると、眉を顰めた騎士が不機嫌そうに話す。
「我らが聖女様は今、お召し物に迷われている。だから、下民の貴様には最期の時間を与える。聖女様のお慈悲に感謝するんだな」
「そうですか」
(『お慈悲』ねぇ。そんなの無くても良いんだけど。というか『女神様』だったり、『聖女様』だったり……ノルベルト、魔法使い過ぎて記憶の改竄がいい加減になってない?)
ダリアの呼び名が変わっていることに、フリージアが内心呆れていると、フリージアを見て鼻で笑った騎士達は牢に鍵をかけると地上に上がって行った。
「はぁ……」
(色々時間がかかったけど、ようやく辿り着いたわね)
騎士達がいなくなり、深く溜息をついたフリージアは、牢の近くにあった松明に目をやると小さく笑みを零す。
「へぇ、まさかここで、帝国産の魔道具にお目にかかるなんて思わなかったわ」
立ち上がって松明の傍に近寄ったフリージアは、松明の土台に刻まれている帝国の国旗をまじまじと見つめる。
(それも、約300年前に作られた魔道具ね。ロスペル兄様が見たら、きっと目を輝かせるわ)
魔道具に目が無い兄のことを思い出し、フリージアが笑みを深めると外から建国祭の知らせを告げる祝砲が聞こえてきた。
(いよいよ、始まるのね)
「頼みましたよ、お父様」
(私は、囮としてダリアとノルベルトの気を惹きます。ですからどうか、カトレア達と共にノルベルトの改竄魔法で支配されたこの国を解放してください)
暗い牢の中、笑みを潜めたフリージアは、ノルベルトから結界魔法の魔法陣を奪還しようと戦う家族と友の無事と勝利を願った。
「ほら、着いたぞ。さっさと降りろ!」
突然馬車の扉が開き、嫌そうな顔で入ってきた騎士はフリージアの細い手首に重い手枷を付けると、フリージアを無理矢理馬車から降ろされる。
すると、建国祭のために飾り付けられたコロッセオの外観を目にし、フリージアが思わず顔を顰める。
(コロッセオも随分と様変わりしてしまったわね)
フリージアがまだ『宰相家令嬢』だった頃、家族と一緒にコロッセオで行われる式典に参加していたフリージアは、建国当初に造られたコロッセオの歴史を感じさせつつ、国王の質実剛健さを現すように飾られた外観に胸を躍らせていた。
そして、それを見た各国要人や貴族達が皆、笑顔でコロッセオに入っていくところも知っていた。
それが今、ノルベルトが好きそうな派手な装飾が施されていた。
(まるで自分がこの国の主だと言わんばかりの品の無い装飾ね。たかだか一国の宰相でしかないのに、どうしてこんな勘違いが出来るのかしら)
『国の政を取り纏めることが宰相の役目であり、国を支配するのは宰相の役目ではない』
事あるごとに父レクシャから教えられていたフリージアは、改竄魔法で好き勝手しているノルベルトに心底呆れていた。
「おい、行くぞ! 下民が!」
「っ!」
手枷から伸びる縄を騎士から引っ張られ、フリージアは式典準備で忙しいコロッセオに入っていく。
そして、すれ違いざまに騎士や文官達などから蔑みの目を向けられながら、外観以上に派手に装飾された通路を歩いていると、突然、前を歩いていた騎士が土壁の前で立ち止まる。
そして、何の変哲もない土壁に向かって手を翳して魔力を注ぐと、地下へと繋がる隠し通路が現れた。
「これって、もしかしなくても王族だけが知る隠し通路の1つじゃなくて!?」
万が一に国が攻め込まれた時のことを考え、コロッセオには王族しか知らない脱出用の隠し通路がいくつか作られていた。
(大方、ノルベルトが改竄魔法で騎士達に教えたのだろうけど……まさか、改竄魔法で王族達を意のままに操っているの!?)
「ほら、さっさと歩け! この下民が!」
「くっ!」
火属性の初級魔法で松明を照らした騎士達に引っ張られ、フリージアは『王族を改竄魔法で操る』という最もあってはならない事態に、顔を青ざめさせながら薄暗い階段を降りる。
そしてしばらく、ジメジメとした空間の下に向かって降りていると、鉄格子が嵌められた牢屋がいくつもある場所に着いた。
「ここは、一体……」
「ほら、さっさと入れ! 罪人が!」
「うぐっ!」
手枷の縄を引っ張られたフリージアは、一番手前にあった牢に無理矢理押し込められる。
「貴様はここで待っているんだ」
「えっ? あの方のもとに行くんじゃないのですか?」
(コロッセオに連れてきたのだから、てっきりダリアのもとにすぐ連れていかれるかと思ったけど)
倒れ込んだフリージアが小首を傾げると、眉を顰めた騎士が不機嫌そうに話す。
「我らが聖女様は今、お召し物に迷われている。だから、下民の貴様には最期の時間を与える。聖女様のお慈悲に感謝するんだな」
「そうですか」
(『お慈悲』ねぇ。そんなの無くても良いんだけど。というか『女神様』だったり、『聖女様』だったり……ノルベルト、魔法使い過ぎて記憶の改竄がいい加減になってない?)
ダリアの呼び名が変わっていることに、フリージアが内心呆れていると、フリージアを見て鼻で笑った騎士達は牢に鍵をかけると地上に上がって行った。
「はぁ……」
(色々時間がかかったけど、ようやく辿り着いたわね)
騎士達がいなくなり、深く溜息をついたフリージアは、牢の近くにあった松明に目をやると小さく笑みを零す。
「へぇ、まさかここで、帝国産の魔道具にお目にかかるなんて思わなかったわ」
立ち上がって松明の傍に近寄ったフリージアは、松明の土台に刻まれている帝国の国旗をまじまじと見つめる。
(それも、約300年前に作られた魔道具ね。ロスペル兄様が見たら、きっと目を輝かせるわ)
魔道具に目が無い兄のことを思い出し、フリージアが笑みを深めると外から建国祭の知らせを告げる祝砲が聞こえてきた。
(いよいよ、始まるのね)
「頼みましたよ、お父様」
(私は、囮としてダリアとノルベルトの気を惹きます。ですからどうか、カトレア達と共にノルベルトの改竄魔法で支配されたこの国を解放してください)
暗い牢の中、笑みを潜めたフリージアは、ノルベルトから結界魔法の魔法陣を奪還しようと戦う家族と友の無事と勝利を願った。
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