木こりと騎士〜不条理に全てを奪われた元宰相家令嬢は、大切なものを守るために剣をとる〜

温故知新

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第7章 余興と奇貨の建国祭

第426話 行動開始!

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「ではこれより、魔法陣奪還を開始する!! 各自、己の務めを果たすように!!」
「「「「「「ハッ!!!!!!」」」」」


 ライドの命令を聞いて、第二騎士団の騎士達は気合の入った返事をするが心なしか表情が暗い。

 (まぁ、今からやることは国に反旗を翻すことだ。頭で分かっていても、心では納得出来ないな。私自身、そうだから)

 王都に常駐する第一騎士団や近衛騎士団に比べ、ノルベルトの改竄魔法の影響が少ない第二騎士団。
 それでも、国を守るために魔物と戦っている彼らにとって、これから行うことは、例え、国のためであったとしても、今の彼らにとってとても受け入れがたいことである。

 小さく溜息をついたライドは、昨夜、最終確認を兼ねてレクシャが魔道具を通して協力者全員に伝えた作戦を思い出す。

 レクシャと協力者であるフェビルの立てた作戦はこうである。

 まずは、騎士部隊とマーザスとカトレアが前衛役と後衛役に分かれて魔法陣の敷かれている場所に向かう。

 魔法陣の敷かれている場所に到着後、第二騎士団の騎士達は前衛役として魔法陣を護っている第一騎士団を制圧する。

 制圧後、黒いフードを被った一団の1人である『帝国の悪魔』と恐れられているサザランス侯爵家から来た男性が、無効化魔法を使って魔法陣の中にある闇魔法の魔力だけを完全に無効化する。

 ちなみに、彼の護衛は帝国軍の騎士が担う。

 その間、前衛役の騎士は魔法陣から出てくる瘴気により現れた魔物を討伐する。
 後衛役である2人の宮廷魔法師は、黒いフードを被った一団を護衛しつつ、騎士達のサポートに回る。

 そして、魔法陣から闇魔法の魔力が完全に無効化された後、マーザスが帝国から持ってきた魔道具で魔法陣に応急処置をして魔法陣を正常に戻す。

 これを全ての魔法陣に施すという、シンプルでありつつも一切のミスも許されない途轍もなく過酷な作戦なのだ。

 不安や迷いが拭いきれない部下達に、再び小さく溜息をついたライドは、マーザスにアイコンタクトを交わすと、一部隊の隊長らしく部下達を鼓舞する。


「皆、思うところがあるだろう。だが、我々はフェビル王国騎士団長からこの国の現状を聞き、そして昨日、帝国から来られた皆様の話を聞いて思い知ったはずだ。今のペトロート王国は間違っている! その間違いを正すために、我々の力が必要だと! 『魔物を倒すことしか能が無い野蛮人共』と貴族達に蔑まれている我々第二騎士団の力が!!」


 ライドの言葉を聞き、曇っていた顔をしていた騎士達がハッとする。
 ライドもまた、ノルベルトの改竄魔法の影響下にいる者。
 だが彼は、『ノルベルトが好き勝手している現状を変えたい!』というフェビルと第二騎士団長モリスの想いに強く共感した。

 (今の第二騎士団は宰相閣下から見放され、貴族連中から蔑まされている存在。この国で一番守っているのは、近衛騎士団でも第一騎士団でもなく、我々第二騎士団なのに!)

 ノルベルトの私情と改竄魔法で、第二騎士団が虐げられるようになったとはライドは知らない。

 それでも、彼は尊敬するフェビルとモリスの言葉を信じ、この国を変えるために国に剣を向ける決意をした。

 そんな彼の熱い想いが届いたのか、迷いや不安で顔を曇らせていた騎士達の顔が一気に険しくなる

 ライドの言葉で、彼らの不安も迷いも消えたのだ。

 なにせ、彼らもまた、フェビルとモリスを尊敬し、第二騎士団が蔑まされている現状に憤りを感じていたから。


「では、行くぞ!!」
「「「「「うぉぉぉぉぉ!!!!!!」」」」」


 士気を高くしている騎士達の様子を離れた場所から見ていたカトレアは、クスリとカトレアはクスリと意地の悪い笑みを零す。

 (ノルベルト、あんたの敗因はあんたの選り好みで改竄魔法をかけていたことよ)

 すると、カトレアの隣にいたラピスが彼女の耳元で囁く。


「お前、何ニヤニヤしているんだよ?」
「何って、王様気分のノルベルトが泣き喚く様を想像して笑っていただけよ」
「それは確かに面白そうだ」
「2人とも、おしゃべりはそれまで。そろそろ動くよ」
「「はい!!」」


 2人の近くにいたマーザスに諫められ、ニヤニヤと笑っていた二人が表情を引き締めた瞬間、協力者達一行は魔法陣奪還に向けて屋敷を後にした。
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