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第7章 余興と奇貨の建国祭
第451話 憎悪を胸に
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「ほら、さっさと歩け!」
「っ!」
建国祭の式典が始まってしばらく、ノルベルトの声が響き渡ったコロッセオが突然静かになる。
すると突然、ノルベルトの傀儡である騎士が、牢屋で大人しくしているフリージアに目隠しをすると無理矢理連れ出された。
(大方、余興の準備が出来たのでしょう)
牢屋から連れ出されて歩かされたフリージアは、ふと自分に嵌められた手枷に意識を向ける。
(嵌められた時に気づいたけど、これ封印魔法が刻まれているわね。大方、平民なのに魔力が使えることを知っているからしょうけど)
罪人用に付けられる手枷には、必ず魔法を封じる封印魔法が刻まれている。
その手枷が、今フリージアの嵌めている手枷であった。
(とは言え、私の無効化魔法を使えばこんな手枷すぐに壊せる。けど、今の私の役目はダリアの……ひいてはノルベルトの意識をこちらに向けること。だから、大人しくしたがっておかないと)
魔力に無効化魔法が刻まれているフリージアは、無効化魔法の特性を生かし、今嵌めている手枷に直接魔力を流せば、手枷に刻まれた魔法を無効化し、いとも簡単に手枷を外すことが出来る。
しかし、フリージアの役目はダリアとノルベルトの気を惹かせること。
だから、私情に走ってはいけない。
すると、大人しくついてきているフリージアを不審に思ったのか、フリージアの前を歩いていた騎士が、得意げな顔をしながらフリージアに話しかける。
「魔法が通じないと聞いていたから、てっきり手枷に刻まれた封印魔法が効かないと思っていたのだが……どうやら、ガセだったみたいだな」
「そうですね。まぁ、私は平民ですから魔法は使えないのですけど」
「ハハッ、まぁそうだよな。下民程度が、この国で高貴とされている貴族と同じように魔法が使えるわけがない!」
「……そうですね」
愉しそうに嗤う騎士の言葉に同意しつつ、フリージアは沸々と怒りを滾らせる。
(平民だって本当は魔法を使うことが出来た。その気になれば、貴族と同じように魔法を学ぶことが出来た。けれど、それを全て奪った。ノルベルトがこの国の人達の意識を都合の良いように改竄したせいで!)
改竄魔法がかけられる前のペトロート王国は、平民であろうと魔法を学ぶ意欲があれば、貴族と同じように魔法を学ぶことが出来た。
加えて、魔法や魔道具の開発に携わることも許されていた。
それは300年前、『貴族に比べて魔力量が少ないからといって、平民から魔法を学ぶ機会を無くしていい理由にはならない』と帝国から来た初代サザランス公爵家当主が、国王に進言したからである。
初代サザランス公爵家当主の進言を渋々受け入れた当時の国王は、平民に魔法を学ぶ機会を与えることにした。
この国王の決定に、最初の方は貴族の間で平民が魔法を学ぶことに対して嫌悪感があった。
けれど、魔法の才能が開花させた平民が優れた魔法陣や魔道具を次々と生み出たことで、平民に魔法を学ばせることで国の発展に繋がると分かり、貴族間にあった偏見は瞬く間に消え去った。
そうして、ペトロート王国は魔法技術において、帝国と並ぶ目覚ましい発展を遂げていった。
(『魔法の才能=魔力量』という貴族間の常識を初代当主が打ち壊したことで、ペトロート王国の魔法技術は飛躍的に発展した。それなのに……!)
「ノルベルト、絶対に許さない」
エドガスが亡くなってから、心の内に秘めていたフリージアの憎悪が、ここに来て徐々に蘇る。
(私から何もかも奪ったことを! 国民全員が力を合わせて作り上げてきたこの国を滅茶苦茶にしたことを!)
全てを奪われた直後は、フリージアは自分の大切にしてきたもの全てを奪ったことに対して憎んでいた。
けれど、騎士の話を聞いて、今まで見てきた平民の人を人とも思わない扱いや、騎士や貴族達の傲慢な態度を思い出し、フリージアのノルベルトに対する怒りは大切なものを奪われたものだけではなくなった。
「おい! 何か言ったか!」
「いえ、何でもありません」
騎士から問い質されたフリージアは、いつもの無表情で淡々と答えつつも、燃え滾るような憎悪の炎を心の中で燃やす。
すると、目の前から歓声とも罵詈雑言とも聞こえる人々の声が聞こえてきた。
(どうやら、着いたみたいね)
「下民、そこで止まれ!」
耳をつんざくような声に顔を歪ませたフリージアは、言われた通りに足を止める。
その瞬間、後ろに回り込んだ騎士がフリージアの背中を思い切り蹴り飛ばす。
「う‘っ!」
騎士の本気の蹴りに、僅かに呻き声を上げたフリージアが、たたらを踏みながら前のめりに倒れ込む。
すると、全方位から侮蔑を含んだ歓声がフリージアの耳に入ってきた。
「っ!」
建国祭の式典が始まってしばらく、ノルベルトの声が響き渡ったコロッセオが突然静かになる。
すると突然、ノルベルトの傀儡である騎士が、牢屋で大人しくしているフリージアに目隠しをすると無理矢理連れ出された。
(大方、余興の準備が出来たのでしょう)
牢屋から連れ出されて歩かされたフリージアは、ふと自分に嵌められた手枷に意識を向ける。
(嵌められた時に気づいたけど、これ封印魔法が刻まれているわね。大方、平民なのに魔力が使えることを知っているからしょうけど)
罪人用に付けられる手枷には、必ず魔法を封じる封印魔法が刻まれている。
その手枷が、今フリージアの嵌めている手枷であった。
(とは言え、私の無効化魔法を使えばこんな手枷すぐに壊せる。けど、今の私の役目はダリアの……ひいてはノルベルトの意識をこちらに向けること。だから、大人しくしたがっておかないと)
魔力に無効化魔法が刻まれているフリージアは、無効化魔法の特性を生かし、今嵌めている手枷に直接魔力を流せば、手枷に刻まれた魔法を無効化し、いとも簡単に手枷を外すことが出来る。
しかし、フリージアの役目はダリアとノルベルトの気を惹かせること。
だから、私情に走ってはいけない。
すると、大人しくついてきているフリージアを不審に思ったのか、フリージアの前を歩いていた騎士が、得意げな顔をしながらフリージアに話しかける。
「魔法が通じないと聞いていたから、てっきり手枷に刻まれた封印魔法が効かないと思っていたのだが……どうやら、ガセだったみたいだな」
「そうですね。まぁ、私は平民ですから魔法は使えないのですけど」
「ハハッ、まぁそうだよな。下民程度が、この国で高貴とされている貴族と同じように魔法が使えるわけがない!」
「……そうですね」
愉しそうに嗤う騎士の言葉に同意しつつ、フリージアは沸々と怒りを滾らせる。
(平民だって本当は魔法を使うことが出来た。その気になれば、貴族と同じように魔法を学ぶことが出来た。けれど、それを全て奪った。ノルベルトがこの国の人達の意識を都合の良いように改竄したせいで!)
改竄魔法がかけられる前のペトロート王国は、平民であろうと魔法を学ぶ意欲があれば、貴族と同じように魔法を学ぶことが出来た。
加えて、魔法や魔道具の開発に携わることも許されていた。
それは300年前、『貴族に比べて魔力量が少ないからといって、平民から魔法を学ぶ機会を無くしていい理由にはならない』と帝国から来た初代サザランス公爵家当主が、国王に進言したからである。
初代サザランス公爵家当主の進言を渋々受け入れた当時の国王は、平民に魔法を学ぶ機会を与えることにした。
この国王の決定に、最初の方は貴族の間で平民が魔法を学ぶことに対して嫌悪感があった。
けれど、魔法の才能が開花させた平民が優れた魔法陣や魔道具を次々と生み出たことで、平民に魔法を学ばせることで国の発展に繋がると分かり、貴族間にあった偏見は瞬く間に消え去った。
そうして、ペトロート王国は魔法技術において、帝国と並ぶ目覚ましい発展を遂げていった。
(『魔法の才能=魔力量』という貴族間の常識を初代当主が打ち壊したことで、ペトロート王国の魔法技術は飛躍的に発展した。それなのに……!)
「ノルベルト、絶対に許さない」
エドガスが亡くなってから、心の内に秘めていたフリージアの憎悪が、ここに来て徐々に蘇る。
(私から何もかも奪ったことを! 国民全員が力を合わせて作り上げてきたこの国を滅茶苦茶にしたことを!)
全てを奪われた直後は、フリージアは自分の大切にしてきたもの全てを奪ったことに対して憎んでいた。
けれど、騎士の話を聞いて、今まで見てきた平民の人を人とも思わない扱いや、騎士や貴族達の傲慢な態度を思い出し、フリージアのノルベルトに対する怒りは大切なものを奪われたものだけではなくなった。
「おい! 何か言ったか!」
「いえ、何でもありません」
騎士から問い質されたフリージアは、いつもの無表情で淡々と答えつつも、燃え滾るような憎悪の炎を心の中で燃やす。
すると、目の前から歓声とも罵詈雑言とも聞こえる人々の声が聞こえてきた。
(どうやら、着いたみたいね)
「下民、そこで止まれ!」
耳をつんざくような声に顔を歪ませたフリージアは、言われた通りに足を止める。
その瞬間、後ろに回り込んだ騎士がフリージアの背中を思い切り蹴り飛ばす。
「う‘っ!」
騎士の本気の蹴りに、僅かに呻き声を上げたフリージアが、たたらを踏みながら前のめりに倒れ込む。
すると、全方位から侮蔑を含んだ歓声がフリージアの耳に入ってきた。
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