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第7章 余興と奇貨の建国祭
第456話 2人の宰相家令嬢
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「な、なによ! いきなり笑うなんて気持ち悪いじゃない!」
壊れたように笑うフリージアを、ダリアとコロッセオに集まった野次馬達が揃って困惑したような顔で見つめる。
それを見たフリージアは、一頻り笑うと涙を拭いながら謝る。
「ごめんなさい。でも、あなたがおかしなことを言うから」
「は? 私がいつおかしなことを言ったのよ」
眉を顰めるダリアに、フリージアは見た者を凍てつかせるような冷たい笑みを向ける。
「私の先祖が大昔にあなたの先祖から全てを奪ったから? そして、その子孫である私が無効化魔法を使えるから? だから、私から何もかもを奪ったと?」
(私が無効化魔法を使え、尚且つサザランス公爵家の令嬢だから、家族も、友人も、婚約者も、私が大切にしていた何もかもを奪ったというの?)
「そ、そうよ! あなたの持っていたものは、本来私が持っているべきもの! だから、当然の報いとして奪って取り返したのよ!」
「……ないでよ」
「は?」
怯えた顔をしつつもフリージアから何もかもを奪ったことを正当化するダリア。
そんな彼女に、大きく息を吸ったフリージアは心の奥底に封じていた本音をぶちまける。
「ふざけないでよ!!!!」
コロッセオ中に響くフリージアの今まで抑えに抑えた怒りの声は、その場にいた全員の意識を一瞬だけ飛ばす。
そんなことをお構いなしに、フリージアは自分の両手を見つめて叫ぶ。
「私は、好きでこの力を……この呪われた力を授かったわけじゃない!!」
3歳の頃、フリージアは無効化魔法を発現させた。
そして4歳の頃、父レクシャから無効化魔法のことを聞いたフリージアは、最初は父やリュシアンと同じ力を持つことが出来て心底喜んでいた。
だが、父から初めて魔法の使い方を教わる際、無効化魔法の歴史と本質を教えられたフリージアは絶望し、その日は父から魔法の使い方を教わらないまま、母やメイド達に慰められながら涙が枯れるくらい泣き叫んだ。
「本当はあなたのように魔法が使いたかった。お母様やロスペル兄様、カトレアのような綺麗で美しい属性魔法をたくさん使いたかった」
無効化魔法を知った時の絶望が胸を締め付け、フリージアは堪らず顔を覆う。
生まれた時に母ティアーヌの魔法を見たフリージアは、いつか母のような綺麗で強い属性魔法を使い、怖いものから大切な人達を守りたいと幼心ながら思っていた。
だが、無効化魔法が発現したことでその夢は永遠に叶わないものだと理解してしまった。
「だけど……」
在りし日のことを思い出したフリージアは、そっと顔を上げる。
「お父様やリュシアン兄様、ひいてはご先祖様がこの力で守ってきたものがあると知った。だから、私はこの力を……『帝国の死神』の力を誇りに思っている」
それは、父から無効化魔法のことを聞いて1週間後のこと。
『母のような魔法が使えない』と落ち込んでいるフリージアを元気づけようと、リュシアンは妹を屋敷から連れ出し、街を散策していた。
久しぶりの街歩きに、落ち込んでいたフリージアの気分が徐々に元気になった矢先、街の外れで昼間には滅多に出ない凶暴な魔物と偶然出会ってしまった。
初めて見た魔物に足が竦んで動けないフリージア。
そんな彼女を助けたのは、他でもない兄リュシアンだった。
怖くて動けないでいる妹を見たリュシアンは、護衛騎士達に近くにいた領民の避難を指示した後、護身用に持っていた短剣と無効化魔法を使って、魔物から放たれた魔法を無効化し、父から教わった剣技で瞬く間に討伐したのだ。
兄の頼もしい姿に目を輝かせたフリージアは翌日、父に頼んで無効化魔法や剣技や回避技の鍛錬を始めた。
無効化魔法と向き合う覚悟を決めたきっかけを思い返し、フリージアは相棒のレイピアを強く握る。
「私はただ、貴族令嬢として友人と仲良くして、好きな人と同じ時間を過ごして、家族と慌ただしくも賑やか日々を送って……そんな、何でもない穏やかな日常を過ごしたかった」
『帝国の死神』の力を持ったフリージアが願ったことは、貴族令嬢としてありきたりな穏やかな生活。
例え、生涯使える魔法がたった1つしかなくても、大切な人達と穏やかな日々を過ごす、そんな何でもない日常を願っていた。
フリージアの願いを聞いたダリアは嘲笑うように鼻で笑う。
「はっ! 私から何もかもを奪ったあんたが、そんな人生を送れると思っているの?」
「さぁ、それは処刑を免れないと分からないわね」
(少なくとも、今でもそんな日々を送りたいと思っているわ。願わくば、あの人と一緒に)
『フリージア』
幼い頃に一目惚れした挙句、プロポーズした彼のことを思い出し、小さく笑みを零したフリージアはレイピアを構える。
「それもそうね。でも、あんたの人生は私が終わらせるから叶わないんだけどね!」
「そう? なら、やれるものならやってみなさい!」
「っ!」
フリージアの軽い挑発に乗ったダリアは、眉を吊り上げさせながらフリージアに向かって手を翳す。
「インベック家公爵家令嬢、ダリア・インベック!!」
「サザランス公爵家令嬢、フリージア・サザランス!!」
罵声が飛んでいたコロッセオがいつの間にか静寂に包まれていた。
そんな中、2人の令嬢が己の名前と生家に課せられた使命を口にする。
「「『王国の盾』を賜りし我が家名に誓い、王国を脅かす害悪を排除する!!」」
1人は真っ赤に燃える魔法陣を描き、もう1人は透明な魔力をレイピアに纏わせる。
「死ねぇぇ!! この害虫が!!」
「私から奪ったもので好き勝手したことを後悔しなさい! ダリア・インベック!!」
(あなたには、私から奪った何もかもを好き勝手にして傷つけたことを後悔させてあげる!!)
2人の宰相家令嬢が、強い想いを胸に再び相まみえる!
壊れたように笑うフリージアを、ダリアとコロッセオに集まった野次馬達が揃って困惑したような顔で見つめる。
それを見たフリージアは、一頻り笑うと涙を拭いながら謝る。
「ごめんなさい。でも、あなたがおかしなことを言うから」
「は? 私がいつおかしなことを言ったのよ」
眉を顰めるダリアに、フリージアは見た者を凍てつかせるような冷たい笑みを向ける。
「私の先祖が大昔にあなたの先祖から全てを奪ったから? そして、その子孫である私が無効化魔法を使えるから? だから、私から何もかもを奪ったと?」
(私が無効化魔法を使え、尚且つサザランス公爵家の令嬢だから、家族も、友人も、婚約者も、私が大切にしていた何もかもを奪ったというの?)
「そ、そうよ! あなたの持っていたものは、本来私が持っているべきもの! だから、当然の報いとして奪って取り返したのよ!」
「……ないでよ」
「は?」
怯えた顔をしつつもフリージアから何もかもを奪ったことを正当化するダリア。
そんな彼女に、大きく息を吸ったフリージアは心の奥底に封じていた本音をぶちまける。
「ふざけないでよ!!!!」
コロッセオ中に響くフリージアの今まで抑えに抑えた怒りの声は、その場にいた全員の意識を一瞬だけ飛ばす。
そんなことをお構いなしに、フリージアは自分の両手を見つめて叫ぶ。
「私は、好きでこの力を……この呪われた力を授かったわけじゃない!!」
3歳の頃、フリージアは無効化魔法を発現させた。
そして4歳の頃、父レクシャから無効化魔法のことを聞いたフリージアは、最初は父やリュシアンと同じ力を持つことが出来て心底喜んでいた。
だが、父から初めて魔法の使い方を教わる際、無効化魔法の歴史と本質を教えられたフリージアは絶望し、その日は父から魔法の使い方を教わらないまま、母やメイド達に慰められながら涙が枯れるくらい泣き叫んだ。
「本当はあなたのように魔法が使いたかった。お母様やロスペル兄様、カトレアのような綺麗で美しい属性魔法をたくさん使いたかった」
無効化魔法を知った時の絶望が胸を締め付け、フリージアは堪らず顔を覆う。
生まれた時に母ティアーヌの魔法を見たフリージアは、いつか母のような綺麗で強い属性魔法を使い、怖いものから大切な人達を守りたいと幼心ながら思っていた。
だが、無効化魔法が発現したことでその夢は永遠に叶わないものだと理解してしまった。
「だけど……」
在りし日のことを思い出したフリージアは、そっと顔を上げる。
「お父様やリュシアン兄様、ひいてはご先祖様がこの力で守ってきたものがあると知った。だから、私はこの力を……『帝国の死神』の力を誇りに思っている」
それは、父から無効化魔法のことを聞いて1週間後のこと。
『母のような魔法が使えない』と落ち込んでいるフリージアを元気づけようと、リュシアンは妹を屋敷から連れ出し、街を散策していた。
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初めて見た魔物に足が竦んで動けないフリージア。
そんな彼女を助けたのは、他でもない兄リュシアンだった。
怖くて動けないでいる妹を見たリュシアンは、護衛騎士達に近くにいた領民の避難を指示した後、護身用に持っていた短剣と無効化魔法を使って、魔物から放たれた魔法を無効化し、父から教わった剣技で瞬く間に討伐したのだ。
兄の頼もしい姿に目を輝かせたフリージアは翌日、父に頼んで無効化魔法や剣技や回避技の鍛錬を始めた。
無効化魔法と向き合う覚悟を決めたきっかけを思い返し、フリージアは相棒のレイピアを強く握る。
「私はただ、貴族令嬢として友人と仲良くして、好きな人と同じ時間を過ごして、家族と慌ただしくも賑やか日々を送って……そんな、何でもない穏やかな日常を過ごしたかった」
『帝国の死神』の力を持ったフリージアが願ったことは、貴族令嬢としてありきたりな穏やかな生活。
例え、生涯使える魔法がたった1つしかなくても、大切な人達と穏やかな日々を過ごす、そんな何でもない日常を願っていた。
フリージアの願いを聞いたダリアは嘲笑うように鼻で笑う。
「はっ! 私から何もかもを奪ったあんたが、そんな人生を送れると思っているの?」
「さぁ、それは処刑を免れないと分からないわね」
(少なくとも、今でもそんな日々を送りたいと思っているわ。願わくば、あの人と一緒に)
『フリージア』
幼い頃に一目惚れした挙句、プロポーズした彼のことを思い出し、小さく笑みを零したフリージアはレイピアを構える。
「それもそうね。でも、あんたの人生は私が終わらせるから叶わないんだけどね!」
「そう? なら、やれるものならやってみなさい!」
「っ!」
フリージアの軽い挑発に乗ったダリアは、眉を吊り上げさせながらフリージアに向かって手を翳す。
「インベック家公爵家令嬢、ダリア・インベック!!」
「サザランス公爵家令嬢、フリージア・サザランス!!」
罵声が飛んでいたコロッセオがいつの間にか静寂に包まれていた。
そんな中、2人の令嬢が己の名前と生家に課せられた使命を口にする。
「「『王国の盾』を賜りし我が家名に誓い、王国を脅かす害悪を排除する!!」」
1人は真っ赤に燃える魔法陣を描き、もう1人は透明な魔力をレイピアに纏わせる。
「死ねぇぇ!! この害虫が!!」
「私から奪ったもので好き勝手したことを後悔しなさい! ダリア・インベック!!」
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2人の宰相家令嬢が、強い想いを胸に再び相まみえる!
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