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第8章 波乱と因縁の建国祭
第470話 フリージア!!
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「はぁ、はぁ、はぁ……」
(早く、立たないと!!)
強化魔法で身体強化されたノルベルトに思い切り蹴られ、反対側の壁に吹き飛ばされたフリージアは、血を吐きながらずり落ちるようにその場に倒れた。
「お~、『帝国の死神』と呼ばれた平民貴族が、こうも呆気ないと倒されるとは」
「ノル、ベルト……」
ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら悠長に歩くノルベルトを睨みつけたフリージアは、何とかして立とうと体に力を入れる。
しかし、ノルベルトに散々蹴られたせいで思うように力が入らない。
(マズイ、意識が朦朧としてきて、段々視界がかすんできたわ)
「うぐっ!」
脇腹に刺さっている矢を深く突き刺し、朦朧とした意識とかすんでいた視界を無理矢理クリアにしたフリージアは、ベレー帽が取れて銀髪の短い髪が露になっているとも知らないまま、すぐ傍で倒れている騎士の剣をとると、それを杖替わりにゆっくりと立ち上がる。
それを見たノルベルトは、足を止めると不快そうに鼻を鳴らす。
「フン、そう簡単に倒れないか。だが、そろそろ限界のようだな」
「そ、そんなことありませんわよ」
(あ~あ。せめて、もう一度だけメスト様に本当の名前を呼んで欲しかったわ)
『フリージア』
幼い頃にメストから言われた名前。
当たり前のように呼ばれていた名前が呼ばれないと悟ったフリージアから笑みが零れる。
その笑顔が諦めのものだと分からないノルベルトは眉を顰める。
「ハッ、何を強がっている?」
「別に、強がってなんていませんわよ」
(みんな、約束守れなくて本当にごめん。でもせめて、最期まで自分の役割は果たすから)
家族の笑顔が脳裏を過り、フリージアは笑みを浮かべたまま立っているのがやっとな状態で杖替わりにしていた剣をゆっくり構える。
「可愛くねぇ女だな。なら仕方ねぇ、これでとどめだ!」
「やれる、ものなら、やって、みなさい!!」
(メスト様、最後にもう一度だけ会いたかったです)
宰相家令嬢として生まれ、物心ついた時には宝石やドレスよりも、読書や剣や乗馬が大好きな勝気で負けず嫌いのかなりお人好しな変わり者令嬢。
けれども、『王国の盾』の二つ名を賜っている家に生まれたことを誇りに思い、宰相家の令嬢として他の貴族令嬢の手本になるべく、毎日厳しい淑女教育を欠かさず受けていた。
その甲斐あってか、初めて出たお茶会の場では、幼いながらも洗練された振る舞いに周囲の貴族達を圧倒した。
そんなお転婆だけどとても真面目な彼女を厳しくも温かく見守ってきた家族。
彼女の本性に驚くも彼女の人の好さに惹かれて仲良くなった友人達。
そして、じゃじゃ馬娘でありながらも貴族令嬢として気高い彼女を尊敬し、彼女の隣で彼女の理解者として彼女を守れるように将来を誓った婚約者。
「それなら、死ねぇ―――――!!」
フリージアの気迫に圧されたノルベルトは、傍にいた騎士から大剣を奪い、ボロボロのフリージアに突進する。
(お父様、お母様、リュシアン兄様、ロスペル兄様、使用人の皆、王都で関わってくれた皆、カトレア、ラピスさん、シトリン様、そして……メスト様)
「どうか、お幸せに」
小さく呟いたフリージアが、目を血走らせたノルベルトの一撃を慣れない片手剣で受け止めようとした。
その時、ノルベルト以外の男の声がコロッセオに響き渡る。
「《アイスショット》!!」
「ぐはっ!!」
「えっ?」
(嘘、でしょ?)
背後から聞こえてきた声にフリージアが驚いた瞬間、すぐ傍にあった出入り口から巨大な氷の塊がノルベルトに直撃して吹き飛ばす。
(どう、して? 彼は確か、カトレア達と合流した後、王族警護に徹するはず……)
突然のことに理解が追いつかないフリージアが片手剣を落とす。
その反動で、立っているのがやっとのフリージアの体がふらつき、後ろに倒れ込もうとした。
その時、固くて大きな何かがフリージアのボロボロの体を後ろから優しく抱きとめる。
「フリージア!!」
「っ!」
(メスト、さま?)
倒れ込もうとしたフリージアを抱き留めたのは、彼女を『カミル』と呼び、再会してから何かと彼女を気にかけ、ついにさっき彼女を思い出した、彼女の愛する婚約者だった。
(早く、立たないと!!)
強化魔法で身体強化されたノルベルトに思い切り蹴られ、反対側の壁に吹き飛ばされたフリージアは、血を吐きながらずり落ちるようにその場に倒れた。
「お~、『帝国の死神』と呼ばれた平民貴族が、こうも呆気ないと倒されるとは」
「ノル、ベルト……」
ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら悠長に歩くノルベルトを睨みつけたフリージアは、何とかして立とうと体に力を入れる。
しかし、ノルベルトに散々蹴られたせいで思うように力が入らない。
(マズイ、意識が朦朧としてきて、段々視界がかすんできたわ)
「うぐっ!」
脇腹に刺さっている矢を深く突き刺し、朦朧とした意識とかすんでいた視界を無理矢理クリアにしたフリージアは、ベレー帽が取れて銀髪の短い髪が露になっているとも知らないまま、すぐ傍で倒れている騎士の剣をとると、それを杖替わりにゆっくりと立ち上がる。
それを見たノルベルトは、足を止めると不快そうに鼻を鳴らす。
「フン、そう簡単に倒れないか。だが、そろそろ限界のようだな」
「そ、そんなことありませんわよ」
(あ~あ。せめて、もう一度だけメスト様に本当の名前を呼んで欲しかったわ)
『フリージア』
幼い頃にメストから言われた名前。
当たり前のように呼ばれていた名前が呼ばれないと悟ったフリージアから笑みが零れる。
その笑顔が諦めのものだと分からないノルベルトは眉を顰める。
「ハッ、何を強がっている?」
「別に、強がってなんていませんわよ」
(みんな、約束守れなくて本当にごめん。でもせめて、最期まで自分の役割は果たすから)
家族の笑顔が脳裏を過り、フリージアは笑みを浮かべたまま立っているのがやっとな状態で杖替わりにしていた剣をゆっくり構える。
「可愛くねぇ女だな。なら仕方ねぇ、これでとどめだ!」
「やれる、ものなら、やって、みなさい!!」
(メスト様、最後にもう一度だけ会いたかったです)
宰相家令嬢として生まれ、物心ついた時には宝石やドレスよりも、読書や剣や乗馬が大好きな勝気で負けず嫌いのかなりお人好しな変わり者令嬢。
けれども、『王国の盾』の二つ名を賜っている家に生まれたことを誇りに思い、宰相家の令嬢として他の貴族令嬢の手本になるべく、毎日厳しい淑女教育を欠かさず受けていた。
その甲斐あってか、初めて出たお茶会の場では、幼いながらも洗練された振る舞いに周囲の貴族達を圧倒した。
そんなお転婆だけどとても真面目な彼女を厳しくも温かく見守ってきた家族。
彼女の本性に驚くも彼女の人の好さに惹かれて仲良くなった友人達。
そして、じゃじゃ馬娘でありながらも貴族令嬢として気高い彼女を尊敬し、彼女の隣で彼女の理解者として彼女を守れるように将来を誓った婚約者。
「それなら、死ねぇ―――――!!」
フリージアの気迫に圧されたノルベルトは、傍にいた騎士から大剣を奪い、ボロボロのフリージアに突進する。
(お父様、お母様、リュシアン兄様、ロスペル兄様、使用人の皆、王都で関わってくれた皆、カトレア、ラピスさん、シトリン様、そして……メスト様)
「どうか、お幸せに」
小さく呟いたフリージアが、目を血走らせたノルベルトの一撃を慣れない片手剣で受け止めようとした。
その時、ノルベルト以外の男の声がコロッセオに響き渡る。
「《アイスショット》!!」
「ぐはっ!!」
「えっ?」
(嘘、でしょ?)
背後から聞こえてきた声にフリージアが驚いた瞬間、すぐ傍にあった出入り口から巨大な氷の塊がノルベルトに直撃して吹き飛ばす。
(どう、して? 彼は確か、カトレア達と合流した後、王族警護に徹するはず……)
突然のことに理解が追いつかないフリージアが片手剣を落とす。
その反動で、立っているのがやっとのフリージアの体がふらつき、後ろに倒れ込もうとした。
その時、固くて大きな何かがフリージアのボロボロの体を後ろから優しく抱きとめる。
「フリージア!!」
「っ!」
(メスト、さま?)
倒れ込もうとしたフリージアを抱き留めたのは、彼女を『カミル』と呼び、再会してから何かと彼女を気にかけ、ついにさっき彼女を思い出した、彼女の愛する婚約者だった。
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