王太子様お願いです。今はただの毒草オタク、過去の私は忘れて下さい

シンさん

文字の大きさ
79 / 138

ミリオン侯爵の力2

しおりを挟む
その日、お父様とお母様も王都へ行く事になった。

夕刻に出れば着くのは結局明後日になる。
『明日出発して下さい』と長官と司令官は言ったけど、お父様は聞き入れなかった。

「伯爵との話を勝手に進める事は許さん。それから、馬でこれをターナー公爵へ。」

ミリオン侯爵家の封蝋のついた、ターナー公爵宛の手紙。公爵家はこの事件の被害者…。

「それから、これはスコット伯爵へ。」

スコット伯爵…コチの領主宛。

お父様…
『悪い事をやろうと思えば出来る身分』
きっと良識のある人はしない。けど今回はその人達を怒らせてしまった。

ターナーとミリオン、その名前だけで伯爵の領地の1つを潰せるのかもしれない。だからお父様は『コチ』と言ったのよ。

「公爵と私、少なくとも2人が揃うまでは話を進めないでもらおうか。陛下にも総帥にも伝えるのは結構だが、対応は間違えてもらっては困る。公爵家とミリオン家を完全に敵にまわしてもいいというなら自由にしてもらって結構だ。」

「仰せの通りに。」
長官が静かに返事をした。

陛下も総帥も、きっと何も出来ないんだわ。お父様は『誘拐された貴族』といったけど、公爵とお父様ならそれ以外も集められる。
国は国王を中心にしていても、それだけで動いてる訳じゃないもの。


コチを潰す…。暮らしている人の何もかもを強引に取り上げて、潰して、新しいものにしてしまう。一部の奴等のせいで、皆が全てを奪われる…。


お父様はまだ何か話していたけれど、私とお母様は、グリーと司令官直属の兵士とともに馬車に乗って先に邸をでた。


・・・・


「伯爵、君がお金を以てコックス伯爵のご令嬢と結ばれたのは誰もが知る事実。社交界の笑い者として名をあげたとしても、今回のような事がなければ君を脅かそうとするものは殆んどいなかったはずだ。1つ家を潰すという事は、そこに携わる者の生活を取り上げてしまうのと同意だからだ。」

「……」

「私達のような世界に生きる者は、信用が大切なんだ。君に手を貸してくれる誰か、それを探しておけ。私は君の息子をどうこうするつもりはないが、この事件は大きすぎた。被害者である公爵の言葉1つで全ては決まるだろう。反対しても得にならない事に、反対する者など殆んどいない。…それが貴族社会だ。公爵に被害者は皆賛同する。たとえグリーが断頭台に登る事になっても、私は覆す事はしない。自害してしまった子と君の息子は同い年だ。……親にとって子は1番の宝なんだ。」

「……」

「グリーが生きる可能性を増やす事は出来なくはない。君が洗いざらい知っている事を話す事だ。被害者の目をこの事件の核となる人物に集中させる。それしかない。地獄に息子を連れていきたいなら別だがな。」

コチを潰す、今の状況なら出来ない事じゃない。だが、公爵といい方法を考えないと…。街の住人を追い出せば、またその人達に行き場がなくなる。同じ事の繰り返し。それは公爵だって悩むはずだ。

身分社会だ。上は下を嘲る者が多い…。だから下から上にも反発がくる。私達が相手の命を軽視する。そんな相手から私達は『金』としか思われていないんだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

永遠の十七歳なんて、呪いに決まってる

鷹 綾
恋愛
永遠の十七歳―― それは祝福ではなく、三百年続く“呪い”だった。 公には「名門イソファガス家の孫娘」として知られる少女キクコ。 だがその正体は、歴史の裏側で幾度も国を救ってきた不老の元聖女であり、 王家すら真実を知らぬ“生きた時代遺産”。 政治も権力も、面倒ごとは大嫌い。 紅茶と読書に囲まれた静かな余生(?)を望んでいたキクコだったが―― 魔王討伐後、王位継承問題に巻き込まれたことをきっかけに、 まさかの王位継承権十七位という事実が発覚する。 「……私が女王? 冗談じゃないわ」 回避策として動いたはずが、 誕生した新国王アルフェリットから、なぜか突然の求婚。 しかも彼は、 幼少期に命を救われた“恩人”がキクコであることを覚えていた―― 年を取らぬ姿のままで。 永遠に老いない少女と、 彼女の真実を問わず選んだ自分ファーストな若き王。 王妃になどなる気はない。 けれど、逃げ続けることももうできない。 これは、 歴史の影に生きてきた少女が、 はじめて「誰かの隣」を選ぶかもしれない物語。 ざまぁも陰謀も押し付けない。 それでも―― この国で一番、誰よりも“強い”のは彼女だった。

殿下、私以外の誰かを愛してください。

ハチワレ
恋愛
公爵令嬢ラブリーは、第一王子クロードを誰よりも愛していました。しかし、自分の愛が重すぎて殿下の負担になっている(と勘違いした)彼女は、愛する殿下を自由にするため、あえて「悪役令嬢」として振る舞い、円満に婚約破棄されるという前代未聞の計画を立てる。協力者として男爵令嬢ミリーを「ヒロイン役」に任命し、準備は整った。

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない

春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。 願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。 そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。 ※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...