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小さい頃からルフレと一緒にいた俺は王太子妃になるために生まれてきたと言われ続けて育ってきた。
ルフレと帝王学の授業にも参加した。
王妃様からの王妃教育も小さい頃から非公式ではあるが行われてきた。
学園に入る前までは婚約こそしてなかったがほぼ確実とまで言われ、いつもルフレの傍には俺が立っていたんだ。
「ルフレ王太子か婚約者を選ばれた。フランボアーズ侯爵家のイリスだ」
父上から言われた瞬間、俺は言葉を失った。
俺の14年間はなんだったんだ?!
小さい頃から王妃になるためだけに遊ばず勉強してきた14年間は?無駄だったのか?
「…そうですか。」
何とか絞り出した言葉は震えていた。
畳み掛けるように父上が俺の心を抉ってくる。
「アランお前はもうすぐ17だ。早めに婚約者を決めないとな」
婚約者…。俺は…ルフレと結婚するはずだったんだ。いきなり違うヤツと結婚しろと言われて、すぐ切り替えられるわけないだろ?
イリスが王太子妃の教育を受け始めると俺は教師たちの補助としてイリスのそばにいた。王太子妃の仕事が出来るように横で教えてあげて欲しいという王妃様からのお願いを断れず俺は自分のライバルに塩を送っている。
お世話になった王妃様からのお願いじゃなかったら絶対に断ったのに…
「イリス。人前ではもう少し気品のある行動を心がけて。今の貴方では王太子妃として人前に立てない」
「なんて成績を取ってる?王太子妃になる人が10位以内にも入れないなんて嘆かわしいことだぞ」
「人の心配より自分に振られた仕事を全うしろ!!」
俺はイリスに小言を言い続ける。ちょっと八つ当たりも入ってる。だって王太子妃は俺の席だからね?ずっと仮だったけどその席には俺が座ってたんだ。だが俺の小言にもイリスは反論するどころか「さすがアラン様です!」と目をキラキラさせて俺を見てくる。
そんな目で見てくるな!
反論しろ!なんだったら殴ってこい!
そうしたら俺が虐められたと泣きつけるのに…
あまりにキラキラした目で見てくるからイリスの仕事を手伝ってしまったくらいだ。
これが愛嬌か…確かに人を虜にする。
愛嬌って結構大切…。
しかしそんな日は続かず階段から落ちて俺が怪我をしてからは王宮に行くこともできずイリスの授業や王太子妃の仕事にずっと参加できずにいる。
「王太子妃の仕事してないと暇なんだな…」
ベッドでつぶやいた独り言にギルが言葉を返してくる。
「そうですね。アラン様はずっと王太子殿下の補助をしてこられたのであの仕事がなければ自由な時間は増えるでしょう」
「俺…もう王宮に必要ないんだな」
中等部に入る頃には執務に関わっていた。
まだ数年しか関わってないが俺なりに努力してきた。だがルフレの婚約者が決まった途端に俺の仕事は無くなったんだ。
「他の方に目を向けてはいかがですか?」
ギルは父上に他の令息と俺の婚約を早く決めるように言われてるみたいだな。
「それは俺の今まで生きてきた14年間を否定することになる…」
ベッドで横になると目を瞑り返事をする。
俺が返した言葉の返事は返ってこなかった。
「アラン様。ルフレ殿下から面会の要請があります。今なら体調不良でお断りしても差し支えないとおもいますが…どうされますか?」
ルフレに会うのはイリスに突き落とされたと泣きついて以来だ。あの時は俺の話は全然信じなかった。
まぁ、実際は突き落とされてない。自分で落ちたのだから信じなくて当然なのだが…。
今更なんの用があるのだろうか。
「王宮に行く。返事をしておいてくれ」
王太子妃は諦めるべきなのか。
俺はルフレ以外の誰かと結婚するなんて受け入れられないのに。
ギルに車椅子を押されルフレの執務室まで行くと笑顔で迎え入れられた。
「アラン!待ってたんだ!体の具合はどうだい?」
「このような姿で申し訳ございません。腕と足が動かないだけで体調は変わりありません」
俺は車椅子に乗ったまま頭を下げる。
「そうか!それならよかった!いつも通りの言葉遣いでいいよ!実はアランにお願いがあって連絡したんだ」
「お願い?」
「実はイリスの執務が溜まっていてね。急にどうしたのかと聞いたら今まではアランが手伝ってくれていたと言うからお礼がしたかったんだ」
「いや…俺は出来ることをしたまでです」
仕事をして感謝されると自分を認めてもらえたようで嬉しくなる。
「それでなんだが…これからもイリスの執務を手伝ってくれないだろうか?」
「執務を…?」
「今までは教えるために一部手伝ってくれてたとの事だがイリスができないところをできるだけ手伝ってやってほしい」
確かに今までは手伝いながらも処理自体はイリスが行っていた。イリスがわかりやすいように書類を整理しイリスが理解できていると判断した一部だけを手伝っていた。
全てを手伝ってしまったらイリスは分からないままになる。
「しかし、それではイリスが仕事を覚えられないぞ?」
婚約者になったからには覚えなければならない事だ。
これから王太子妃。王妃になればもっと仕事が増えていく。
「イリスはまぁゆっくり覚えていければいい。まだ婚約者になって日が浅い。いきなりあの大量の書類を処理しろってのは酷だろ?」
俺が黙ったまま返事をしないでいるとルフレは一つため息をつき話し出す。
「実は官僚たちから処理が遅いとクレームが来てるんだ。それでイリスが自分では王太子妃は荷が重すぎると泣き出してな…しばらくの間でいい。助けてやってくれ」
王太子妃には選ばれないが王太子妃の仕事は与えられるのか。いや…それでもいいのか。俺はルフレと恋をしたいわけではない。王妃になりたかったんだ。王妃として仕事がしたかったんだ。
「わかった。イリスの仕事を全てお引き受けします。ただ条件がある」
「条件?」
今まで鍛えられた外面の笑顔をルフレに向ける。
俺はルフレと愛を語り合いたいわけではないんだ。
この国の王妃になるためには、まずは王太子妃にならなければならない。
「私を王太子妃にしてください」
ルフレと帝王学の授業にも参加した。
王妃様からの王妃教育も小さい頃から非公式ではあるが行われてきた。
学園に入る前までは婚約こそしてなかったがほぼ確実とまで言われ、いつもルフレの傍には俺が立っていたんだ。
「ルフレ王太子か婚約者を選ばれた。フランボアーズ侯爵家のイリスだ」
父上から言われた瞬間、俺は言葉を失った。
俺の14年間はなんだったんだ?!
小さい頃から王妃になるためだけに遊ばず勉強してきた14年間は?無駄だったのか?
「…そうですか。」
何とか絞り出した言葉は震えていた。
畳み掛けるように父上が俺の心を抉ってくる。
「アランお前はもうすぐ17だ。早めに婚約者を決めないとな」
婚約者…。俺は…ルフレと結婚するはずだったんだ。いきなり違うヤツと結婚しろと言われて、すぐ切り替えられるわけないだろ?
イリスが王太子妃の教育を受け始めると俺は教師たちの補助としてイリスのそばにいた。王太子妃の仕事が出来るように横で教えてあげて欲しいという王妃様からのお願いを断れず俺は自分のライバルに塩を送っている。
お世話になった王妃様からのお願いじゃなかったら絶対に断ったのに…
「イリス。人前ではもう少し気品のある行動を心がけて。今の貴方では王太子妃として人前に立てない」
「なんて成績を取ってる?王太子妃になる人が10位以内にも入れないなんて嘆かわしいことだぞ」
「人の心配より自分に振られた仕事を全うしろ!!」
俺はイリスに小言を言い続ける。ちょっと八つ当たりも入ってる。だって王太子妃は俺の席だからね?ずっと仮だったけどその席には俺が座ってたんだ。だが俺の小言にもイリスは反論するどころか「さすがアラン様です!」と目をキラキラさせて俺を見てくる。
そんな目で見てくるな!
反論しろ!なんだったら殴ってこい!
そうしたら俺が虐められたと泣きつけるのに…
あまりにキラキラした目で見てくるからイリスの仕事を手伝ってしまったくらいだ。
これが愛嬌か…確かに人を虜にする。
愛嬌って結構大切…。
しかしそんな日は続かず階段から落ちて俺が怪我をしてからは王宮に行くこともできずイリスの授業や王太子妃の仕事にずっと参加できずにいる。
「王太子妃の仕事してないと暇なんだな…」
ベッドでつぶやいた独り言にギルが言葉を返してくる。
「そうですね。アラン様はずっと王太子殿下の補助をしてこられたのであの仕事がなければ自由な時間は増えるでしょう」
「俺…もう王宮に必要ないんだな」
中等部に入る頃には執務に関わっていた。
まだ数年しか関わってないが俺なりに努力してきた。だがルフレの婚約者が決まった途端に俺の仕事は無くなったんだ。
「他の方に目を向けてはいかがですか?」
ギルは父上に他の令息と俺の婚約を早く決めるように言われてるみたいだな。
「それは俺の今まで生きてきた14年間を否定することになる…」
ベッドで横になると目を瞑り返事をする。
俺が返した言葉の返事は返ってこなかった。
「アラン様。ルフレ殿下から面会の要請があります。今なら体調不良でお断りしても差し支えないとおもいますが…どうされますか?」
ルフレに会うのはイリスに突き落とされたと泣きついて以来だ。あの時は俺の話は全然信じなかった。
まぁ、実際は突き落とされてない。自分で落ちたのだから信じなくて当然なのだが…。
今更なんの用があるのだろうか。
「王宮に行く。返事をしておいてくれ」
王太子妃は諦めるべきなのか。
俺はルフレ以外の誰かと結婚するなんて受け入れられないのに。
ギルに車椅子を押されルフレの執務室まで行くと笑顔で迎え入れられた。
「アラン!待ってたんだ!体の具合はどうだい?」
「このような姿で申し訳ございません。腕と足が動かないだけで体調は変わりありません」
俺は車椅子に乗ったまま頭を下げる。
「そうか!それならよかった!いつも通りの言葉遣いでいいよ!実はアランにお願いがあって連絡したんだ」
「お願い?」
「実はイリスの執務が溜まっていてね。急にどうしたのかと聞いたら今まではアランが手伝ってくれていたと言うからお礼がしたかったんだ」
「いや…俺は出来ることをしたまでです」
仕事をして感謝されると自分を認めてもらえたようで嬉しくなる。
「それでなんだが…これからもイリスの執務を手伝ってくれないだろうか?」
「執務を…?」
「今までは教えるために一部手伝ってくれてたとの事だがイリスができないところをできるだけ手伝ってやってほしい」
確かに今までは手伝いながらも処理自体はイリスが行っていた。イリスがわかりやすいように書類を整理しイリスが理解できていると判断した一部だけを手伝っていた。
全てを手伝ってしまったらイリスは分からないままになる。
「しかし、それではイリスが仕事を覚えられないぞ?」
婚約者になったからには覚えなければならない事だ。
これから王太子妃。王妃になればもっと仕事が増えていく。
「イリスはまぁゆっくり覚えていければいい。まだ婚約者になって日が浅い。いきなりあの大量の書類を処理しろってのは酷だろ?」
俺が黙ったまま返事をしないでいるとルフレは一つため息をつき話し出す。
「実は官僚たちから処理が遅いとクレームが来てるんだ。それでイリスが自分では王太子妃は荷が重すぎると泣き出してな…しばらくの間でいい。助けてやってくれ」
王太子妃には選ばれないが王太子妃の仕事は与えられるのか。いや…それでもいいのか。俺はルフレと恋をしたいわけではない。王妃になりたかったんだ。王妃として仕事がしたかったんだ。
「わかった。イリスの仕事を全てお引き受けします。ただ条件がある」
「条件?」
今まで鍛えられた外面の笑顔をルフレに向ける。
俺はルフレと愛を語り合いたいわけではないんだ。
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「私を王太子妃にしてください」
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