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しおりを挟む僕はランベールの為に、ワインとサンドイッチ、クラッカー、チーズを頼んでおいた。
それから、夜着に着替え、パーラーのソファ椅子に座り、彼の来訪を待った。
日付が変わる頃になり、訪問を告げる鐘が鳴った。
僕はパーラーを出て玄関へ向かう。
ランベールは自身の鍵で開け、入って来た。
別れた時とは違い、立派な王子服を着ていた。
王との謁見もあったのだろう。
少し疲れて見えたが、ランベールは僕を見つけると、目尻を下げ、微笑んだ。
「クリス、待っていてくれてありがとう」
「兄さん、お疲れではありませんか?
ワインとサンドイッチを用意して貰っています…」
「ありがとう、だけど、今夜はおまえだけでいいよ…」
ランベールの大きな手が僕の頭を撫で、辿る様に降りて来ると、頬に当てられた。
僕は反射的に目を閉じ、身を竦ませた。
「大丈夫だよ、おまえが嫌がる事はしないからね…」
ランベールが安心させる様に言う。
僕は頭を振り、その手に自分の手を重ねた。
気持ちが伝わりますように…
「ひ、久しぶりで、上手く出来ないかもしれませんが…
兄さんの、したい様にして、下さい、嫌じゃないから…」
「本当に?」
驚いた様な目に、僕の勇気は萎みそうになる。
恥ずかしさに顔が熱くなる。
「兄さんが、嫌でなければ…」
「嫌じゃないよ、その逆だから…」
ランベールが口付ける。
僕は弓なりになり、それを受けた___
ランベールは僕を抱き上げ、あの夜と同じ、一階の部屋のベッドへと運んだ。
手早く上着を脱ぎ、ベルトを抜いたランベールが、僕に圧し掛かる様にし、
キスをしてきた。
「ん…」
「ん…ん、はぁ…」
二人で縺れ合う様にし、ベッドに傾れこむ。
キスをしたまま、ランベールの手が、僕の体を確かめる様に、辿ると、
僕は猫の様に骨抜きになっていた。
「クリス、ネックレス…」
呟きに目を上げると、ランベールがじっと僕を見下ろしていた。
僕のシャツは、いつの間にか開けられていて、
彼の目に映っているのは、首に掛かる金色のネックレスだった。
ランベールの指がそれをそっと、掬う。
「ずっと、着けてくれてたんだね、クリス…」
「兄さんが、くれたものだから…」
「うれしいよ…」
その手の平が、直に肌に触れてきて、僕は堪らずビクビクと震えた。
「ん!」
「クリス…綺麗な肌だね…」
「そ、んなことない…」
「敏感だし、乳首も可愛い…」
「あ、触っちゃ…はぁん!」
指で突かれ、ちゅっと、口付けられ、
反射的に変な声を上げてしまい、僕は恥ずかしさに顔を染めた。
ランベールは気にする事無く、僕の小さな突起に舌を這わせた。
「ああ!や、そんなとこ、舐めちゃ…あ、ん!」
舌と指で、散々に乳首を弄られ、僕の体は一層熱を帯びた。
「は、はぁ、にいさん、熱い…」
「ん、ここ、固くなってるね…」
「ひゃぁ!!」
中心を突かれ、僕の頭は弾けそうになった。
ランベールは手早く僕のズボンと下着を剥ぐと、その手で直に触れてきた。
「あ、あぁ!だめ…擦っちゃ…あん!」
「気持ちいいでしょ?クリス、キスしようね…」
「ん…んん!」
口付けられ、キスをしながら、扱かれる。
ランベールの手は、僕の良い所が分かっている様だった。
尻を揉まれても、興奮する…
もう、自分が何に興奮しているのか、分からなくなった。
「は、はぁ!はあ、あ!に、にいさん!も、だめぇ…!」
僕は高みへと導かれ、呆気なくそれを放っていた。
「ふ…ふぇ…」
体が重く、ベッドに沈む。
目尻からは涙が零れた。
ランベールの舌がそれを舐め取り、離れていく。
離された体重を追う様に、目を向けると、ランベールがシャツを脱いでいる所だった。
「!!」
その引き締まった、男らしい筋肉の付いた体に、僕は見惚れた。
僕が茫然としている間に、ランベールはズボンと下着も脱いでしまっていた。
ランベールのものは、勃ち上がっている…
「!!」
心臓が激しく胸を打つ。
僕は、たまたま、成り行きでこうなっただけで、男色では無かった筈なのに…
どうして、興奮させられるんだろう?
「クリス、待っててね、良く馴染ませないと痛いから…」
ランベールは小瓶から何か透明な液体を手に零し、塗っていた。
なんだろう?
僕はぼんやりとそれを見ていた。
「クリス、力を抜いていてね」
ランベールが僕の足を割り、そこに濡れた指で触れて来た。
「ひっ!!」
誰にも触られた事の無い場所、いや、触る事の無い場所だ。
そこを、ランベールの濡れた指が撫で、くすぐり、そして…
つぷり、突き入れられた。
「あぁっ!!」
驚きと恐怖で身が強張り、ガクガクと震えた。
「クリス、大丈夫だよ」
ランベールの声は、甘く優しい。
安心出来る声だが、その指は、今も僕の内で蠢いている。
「や…」
気持ち悪い!
だが、それを言うのは憚られた。
『気色悪いんだよ!』
アンドレに言われた時、酷くショックを受けたからだ。
ランベールが傷付くのではないかと思うと、僕は言葉を飲み込み、唇を噛んだ。
「クリス、力を抜いて」
「ん…」
力を抜こうとしても、どうしたら良いのか分からない。
自分の体だというのに、まるで言う事を聞かない。
だが、液に濡れたランベールの手が、僕のものを掴み扱き出すと、
もう、何も考えられなくなった。
「ひゃ…あん!ああ!ああん!!」
ヌチャヌチャ…
クチャクチャ…
水音が脳を刺激する。
興奮で、僕の内で動き回る、その指が増えた事にも気付いていなかった。
ランベールは、僕の内から指を抜くと、固いものを押し当てた。
そして、僕の足を抱え上げ、ぐっと、押し入って来た。
「ひ…くっ!」
痛い!苦しい!怖い!
圧迫感に怯え、それを訴えようと目を上げた僕は、
辛そうなランベールの表情に出会い、ドキリとした。
「あっ、クリス、締め付けないでね…力抜いてて…」
ランベールの表情が、更に辛そうなものになり、僕は慌てた。
「慌てなくていいよ、キスしてあげるね…」
口付けられ、僕の意識は少しだけ削がれた。
それでいいという様に、ランベールの手が僕の腰を撫でる。
「ん…」
「はぁ…くっ…」
「は、はぁ…!」
痛いし、苦しい、変な感じで気持ち悪い…
こんなの、相手がランベールでなければ、絶対に無理だ___
「にいさん…すき」
僕は無意識に漏らしていた。
「ん、私もだよ、おまえが好きだ…愛してる…」
その言葉と声に、うっとりとし、僕は微笑んでいた。
ズン!!
「っ!!」
強く突かれ、僕は息を飲んだ。
ランベールの手が優しく僕の腹部を撫でる…
「挿ったよ…」
その言葉に、泣きたくなった。
「動くよ、ゆっくりね…」
「ん…ゆっくり、して…」
ランベールの腰がゆっくりと動き始める。
それに合わせ、無意識に体が動く。
「はぁ…は!」
「ふ…は、あ…あん!ああん!」
深く突かれ、良い所を擦られ、
僕は自分でも知らない、高い声を上げていた。
「はぁ、はっ…はぁ!」
ランベールの息が荒くなっている。
それに、僕は煽られる。
「は…あ、ん…ん!」
僕の息なのか、ランベールの息なのか、もう分からない。
僕たちはその熱で溶けあい、一つになっていた
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