【完結】《BL》溺愛しないで下さい!僕はあなたの弟殿下ではありません!

白雨 音

文字の大きさ
21 / 24

21☆

しおりを挟む


行為の後、ランベールは僕を抱え上げ、一階の大きな浴場へ連れて行ってくれた。
体を洗ってくれ、中に指を入れ、掻き出してくれた。
行為の後、理性を取り戻した僕は、酷く恥ずかしかった。

「自分で出来ますから…」

「うん、私がしたいだけだから、気にしなくていいよ。
それに、怪我してないか、見て上げるからね…」

「やっ!見なくていいです!!!」

僕はランベールを押し退け様としたが、やはり力では敵わなかった。
ランベールに見られながら、中のものを掻き出される、この状況に耐えられず、
僕は両手で顔を覆った。

「あ、また、感じちゃった?」

僕のものがゆるりと勃ち上がる…

「ふ、ふえええ…」

恥ずかしさのあまり、僕はとうとう泣いてしまった。

「泣かないで、虐めてごめんね?」
「ふええ…みないで、みっともないからぁ…」
「みっともなくないよ、反応してくれて、うれしいし、可愛い」

ランベールが頬や唇にキスを落とす。
高ぶっていた気持ちは落ち着いたものの、僕のものは中途半端になっていた。

「おいで」

ランベールは僕を抱き上げると、広い浴槽に入って行った。
石造りの広い浴槽には、然程熱くはない湯が張られていた。
ランベールは僕を後ろから抱える様にして座ると、僕のものを握った。
お湯の中だと、直接的では無い分、羞恥心も薄らいだ。

「あ…ん」

僕の背中に、ランベールが体を押し付けて来る。
空いている手は、僕の腹を撫で、そして膨らみのない胸を揉んだ。

「むね…ないから」
「でも、気持ちいいでしょ?」
「へんなかんじ…」
「乳首の方が好き?」

乳首を抓られ、「ひゃん!」と声を上げてしまった。
ランベールの指は、更に大胆に乳首を弄ってきて、僕を悶えさせた。

「ふ、ふぅ!も、やめてぇ…」

その手に手を重ねると、カプリと肩口に噛みつかれた。

「ひゃぁ!」

ぱしゃん!

驚きにお湯が跳ねる。

肩口を舐められ、そこから首筋を舐め、耳朶にまできた。
ゾクゾクとし、扱かれると、訳が分からなくなる___
僕は煽られるままに、それを吐き出していた。

「は…ぁ…」

「クリス、私のもしてくれる?」

ランベールが僕の体の向きを変え、向かい合わせにした。
ランベールの膝の上に乗った僕は、そこに勃ち上がっているものを目にし、赤くなった。
ああ、のぼせそうだ…

「僕が…するの?」
「嫌なら、自分でするけど、クリスにして欲しいな」

まるで邪気が無く、憎めない。
僕は『して貰ったし…』と、恐る恐る、それに触れた。
お湯の中だからか、変な感触だ。

「僕、下手だと思いますけど…」
「おまえが感じる事を、教えて、クリス」

ランベールの甘い囁きに勇気付けられ、僕は手を動かした。

「ふ…ん…」

鼻から抜ける、甘い声。

「兄さん、気持ちいい?」
「ん…いいよ、クリス…もっと、強くして」

ランベールの痴態に、僕は興奮していた。

「ん…」

僕はランベールに口付けていた。
ランベールの手が、僕の手に重なる。
激しく擦り上げると、ランベールはそれを吐き出し、熱い息を吐いた。

「クリス、愛してるよ」

ランベールが僕に口付け、僕たちは重なる様にキスをした。


◇◇◇


あの日から一週間近くが経つが、ランベールは毎夜、離宮を訪れていた。
行為をしない日もあったが、そんな日でも、一緒にベッドに入り、
二人で寄り添って眠った。

だが、ランベールは既婚者だ。
毎夜では、周囲が何と噂をするか分からない。
それを話すと、ランベールは眉を下げた。

「そうなんだけどね…でも、私はクリスと一緒に居たいし…」

普通の人ならば、それも良いだろう。
だが、ランベールは王太子なのだ。

「お立場をお考え下さい、王太子」

「はぁい、心配掛けてごめんね、クリス」

ランベールが僕の頬を撫でる。
もしかしたら、ランベールは、僕を心配して、来てくれていたのではないか?
僕が寂しがると思って…?
何故か、そんな風に感じた。

「兄さん、離れていても、僕は兄さんの事を想っているから…」

「うん、私も同じだよ、会えない時の分まで、覚えておいてね…」

ランベールが口付ける。
熱い口付けに、僕は頭まで蕩けそうになる。
だが、ランベールはあっさりと抱擁を解いた。

「クリス、今夜は止めておこうね、明日は大切な式典だから」

式典…
僕の気持ちは一気に沈んだ。

ゾスター部族とサンセット王国の紛争を無事終息させた上、
ゾスター部族を原因不明の病から救った___
その祝賀式典が開かれる。

指揮官のランベールは、その見事な働きで表彰され、勲章を貰う事が決まっている。
そして、僕…第三王子クリストフも、病を解明した功労者として、
表彰され、勲章を貰う事が決まってしまった。

「…僕も出席しないといけないでしょうか?」

僕が渋ると、ランベールは呆れた顔になった。

「まだ言ってるのかい?出席して、勲章を貰う事は変えられないよ。
おまえが勲章を辞退したら、ゾスター部族の者たち皆が、残念に思うよ。
彼等にとって、おまえは救世主なんだからね」

救世主…
僕がした事は、切っ掛けを作った事位なんだけど…
こんな事で勲章を貰うには気が引ける。

それに、この事がクリストフに知られたら、どれ程怒る事か…
クリストフが僕に望んでいたのは、クリストフの別邸で、
大人しく『病気療養』して過ごす事だっただろう。
それが、ランベールの離宮に囲われ、紛争の後方支援に行ったなど…
ああ、とても言えない…

それに、僕はクリストフの恋人であるランベールと、関係を持ってしまった。
影武者ではあるが、別人なのだから、不義になるのではないか…

そう思いながらも、僕は関係を止められないでいる。
いや、望んでさえいる。

クリストフが戻るまでの間だけだから…

クリストフが戻れば、《僕》は消える。
ランベールの記憶に、《僕》はいない。
《僕》との間にあった事は、全て、クリストフとの事になる。

全て承知して、決めた事だ。

それに、ランベールが真実を知れば、恨まれるのは《僕》だ。
愛した者から恨まれる位なら、存在しない方がいい。
僕の内だけの、思い出でいい___


「クリス、心配しなくても大丈夫だよ、私も一緒だからね」

ランベールが僕の手を取り、その笑みで勇気付けてくれる。
僕は、「はい、お願いします」と頷いた。


◇◇


表彰や勲章の授与は、城で行われた為、招待客以外は入る事も出来なかった。
だが、その後、勲章を受けた者たちは馬車で、騎士団が前後に就き、王都を周った。

僕が一番心配していた事は、王に会い勲章を受ける事だった。
王、つまりは、クリストフの父親だ。
隣には王妃、クリストフの母親も座っていた。

両親ならば、影武者と気付かれるのではないか…

気が気では無かったが、幸い、王と王妃にこれといった反応は見え無かった。

「クリス、乗って」

ランベールに促され、白塗りに金色の飾りの付いた豪華な馬車に乗った。
座席のクッションもふかふかとし、座り心地が驚く程良かった。
ランベールが隣に乗ると、馬車が動き出した。

「やっと、二人きりになれたね」

ランベールが僕の手を握る。
それだけで、緊張は解かれ、代わりに体が火照ってくる。

「兄さん、誰かに見られたら…」
「手を握るだけなら大丈夫だよ」

ランベールは僕の指に、自分の指を絡ませた。

ドキドキする。

「そんな可愛い表情してたら、バレちゃうかな?」

ランベールが「ふふ」と笑う。
だが、僕が指を解こうとすると、ギュっと握り込んだ。

「こうしていたい」

「兄さんは我儘です」

「ふふ、そうかもしれないね、いつも、私の我儘を聞いてくれてありがとう、クリス」

我儘で、それでいて、狡い。
そんな事を言われたら、僕は言いなりだ。

僕もギュっと握り返した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる

古井重箱
BL
【あらすじ】劣等感が強いオメガ、レムートは父から南域に嫁ぐよう命じられる。結婚相手はヴァイゼンなる偉丈夫。見知らぬ土地で、見知らぬ男と結婚するなんて嫌だ。悪妻になろう。そして離縁されて、修道士として生きていこう。そう決意したレムートは、悪妻になるべくワガママを口にするのだが、ヴァイゼンにかえって可愛らがれる事態に。「どうすれば悪妻になれるんだ!?」レムートの試練が始まる。【注記】海のように心が広い攻(25)×気難しい美人受(18)。ラブシーンありの回には*をつけます。オメガバースの一般的な解釈から外れたところがあったらごめんなさい。更新は気まぐれです。アルファポリスとムーンライトノベルズ、pixivに投稿。

オメガパンダの獣人は麒麟皇帝の運命の番

兎騎かなで
BL
 パンダ族の白露は成人を迎え、生まれ育った里を出た。白露は里で唯一のオメガだ。将来は父や母のように、のんびりとした生活を営めるアルファと結ばれたいと思っていたのに、実は白露は皇帝の番だったらしい。  美味しい笹の葉を分けあって二人で食べるような、鳥を見つけて一緒に眺めて楽しむような、そんな穏やかな時を、激務に追われる皇帝と共に過ごすことはできるのか?   さらに白露には、発情期が来たことがないという悩みもあって……理想の番関係に向かって奮闘する物語。

庶子のオメガ令息、嫁ぎ先で溺愛されています。悪い噂はあてになりません。

こたま
BL
男爵家の庶子として産まれたサシャ。母と二人粗末な離れで暮らしていた。男爵が賭けと散財で作った借金がかさみ、帳消しにするために娘かオメガのサシャを嫁に出すことになった。相手は北の辺境伯子息。顔に痣があり鉄仮面の戦争狂と噂の人物であったが。嫁いだ先には噂と全く異なる美丈夫で優しく勇敢なアルファ令息がいた。溺愛され、周囲にも大事にされて幸せを掴むハッピーエンドオメガバースBLです。間違いのご指摘を頂き修正しました。ありがとうございました。

花街だからといって身体は売ってません…って話聞いてます?

銀花月
BL
魔導師マルスは秘密裏に王命を受けて、花街で花を売る(フリ)をしていた。フッと視線を感じ、目線をむけると騎士団の第ニ副団長とバッチリ目が合ってしまう。 王命を知られる訳にもいかず… 王宮内で見た事はあるが接点もない。自分の事は分からないだろうとマルスはシラをきろうとするが、副団長は「お前の花を買ってやろう、マルス=トルマトン」と声をかけてきたーーーえ?俺だってバレてる? ※[小説家になろう]様にも掲載しています。

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

婚約破棄された俺をお前が好きだったなんて聞いてない

十山
BL
レオナルドは辺境に領地を持つ侯爵家の次男。婚約破棄され、卒業とともに領地の危険区域の警備隊に就いた。婚活しないとならないが、有耶無耶のまま時は過ぎ…危険区域の魔獣が荒れるようになり、領地に配属されてきた神官は意外な人物で…?! 年下攻めです。婚約破棄はおまけ程度のエピソード。さくっと読める、ラブコメ寄りの軽い話です。 ファンタジー要素あり。貴族神殿などの設定は深く突っ込まないでください…。 性描写ありは※ ムーンライトノベルズにも投稿しています いいね、お気に入り、ありがとうございます!

ゲーム世界の貴族A(=俺)

猫宮乾
BL
 妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。

断られるのが確定してるのに、ずっと好きだった相手と見合いすることになったΩの話。

叶崎みお
BL
ΩらしくないΩは、Ωが苦手なハイスペックαに恋をした。初めて恋をした相手と見合いをすることになり浮かれるΩだったが、αは見合いを断りたい様子で──。 オメガバース設定の話ですが、作中ではヒートしてません。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

処理中です...