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第2部 自由
夕刻の庭園にて
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夕刻。
クレアは身支度を終えて侍女長のサラ、侍女のリリーと共に中庭のガゼボへと訪れると、そこにはすでに侍従を連れたアーサーが待っていた。
「申し訳ありません。お待たせをしてしまいましたでしょうか」
クレアに気がついたアーサーは、腰掛けていた椅子から立ち上がり彼女を一目見て一瞬動きを止めた。
「いや、私も今到着したところだ。……ところで」
「はい」
「……とても、よく似合ってる」
瞬間、クレアの顔は耳まで赤く染まり、彼女の背後ではリリーとサラが小さく飛び跳ねてお互いに手を合わせていたのだった。
(似合うって言ってもらえることが、こんなにも嬉しいことだったとは……)
クレアは必死に胸の高鳴りを抑えながら、アーサーのエスコートで庭園へと踏み込んだのだった。
現在の季節は秋であるし、今は夕方なので大分日が沈んではいるが、まだ灯をつけなくてもお互いの姿を確認するのには問題なさそうだ。
ゆっくりとアーサーと共に中庭を歩いていく。
その間ほとんど会話がなく、クレアは必死に話題を探しているとアーサーが口を開いた。
「ときに君の作った香水だが、どうやら効果が発揮されてきたようだな」
丁度クレアもその話題を振ろうかと思っていたので、出掛かっていた言葉を必死に飲み込み頷いた。
「はい。身につけてくれた方は皆『身体の調子がよくなった』と言ってくれています」
「そうか。……それでは、やはり魔法の香水は成功していたのだろうか」
クレアは、思わずピタリと身体の動きを止めた。
もし、アーサーの言葉どおりであれば、あの時の発光から現れた水を使用した香水は完成していたことになる。
それは今更ながら、大変なことではないだろうか。
「アーサー様。……もし可能であれば件の香水を、アンナさ……アンナの実家の魔道具店で販売をしてもよろしいでしょうか」
クレアは習慣でアンナを下女らしからぬ呼び方で呼んだので、慌てて訂正した。
アーサーに不審がられていないだろうかと彼の方に視線を向けたが、特に動じた様子はない。
「そうだな。異論はないが、それには予め様々な根回しをしておく必要があるだろう」
アーサーの話によると、「疲労回復効果の魔法の香水」の作製に万が一でもクレアが関わっていることが世間に知れ渡ることのないようにしなければならないそうだ。
「もし君が、便利な道具の制作に関わっていることが周知されれば、国内に混乱を生じさせるキッカケになるかもしれない。それは、なんとしても避けなければならない」
「……はい」
やはり難しいのだろうか。
もし、あの魔法薬が人々に受け入れられて多量に販売されるようになれば、アンナの実家の魔法道具店は閉店の危機を脱する可能性があるし、地域住民の健康も守れて一石二鳥だと思ったのだが。
「……そうだな。こちらの手札を最大限に利用して、君が関わっていることを伏せることができれば可能だろう」
瞬間、自然とクレアの表情はパッと明るくなっていた。
「アーサー様……!」
「ああ。ただ、まだ薬の効果の情報が圧倒的に不足しているな。安全性に関しては検知器に掛けた際問題はなかったが」
「左様ですね。それは確かめる必要がありますね」
「ああ。ただ皇帝に漏れると厄介なことになりかねないので、あくまでも極秘で動こう。それは俺が手配をする」
「ありがとうございます!」
クレアは嬉しくなり笑顔をこぼすが、反対にアーサーは無表情だった。
どうしたのだろうかと思ったが、よく考えてみると彼は婚約式の後から時折クレアに対してこのような表情をするのだった。
クレアは身支度を終えて侍女長のサラ、侍女のリリーと共に中庭のガゼボへと訪れると、そこにはすでに侍従を連れたアーサーが待っていた。
「申し訳ありません。お待たせをしてしまいましたでしょうか」
クレアに気がついたアーサーは、腰掛けていた椅子から立ち上がり彼女を一目見て一瞬動きを止めた。
「いや、私も今到着したところだ。……ところで」
「はい」
「……とても、よく似合ってる」
瞬間、クレアの顔は耳まで赤く染まり、彼女の背後ではリリーとサラが小さく飛び跳ねてお互いに手を合わせていたのだった。
(似合うって言ってもらえることが、こんなにも嬉しいことだったとは……)
クレアは必死に胸の高鳴りを抑えながら、アーサーのエスコートで庭園へと踏み込んだのだった。
現在の季節は秋であるし、今は夕方なので大分日が沈んではいるが、まだ灯をつけなくてもお互いの姿を確認するのには問題なさそうだ。
ゆっくりとアーサーと共に中庭を歩いていく。
その間ほとんど会話がなく、クレアは必死に話題を探しているとアーサーが口を開いた。
「ときに君の作った香水だが、どうやら効果が発揮されてきたようだな」
丁度クレアもその話題を振ろうかと思っていたので、出掛かっていた言葉を必死に飲み込み頷いた。
「はい。身につけてくれた方は皆『身体の調子がよくなった』と言ってくれています」
「そうか。……それでは、やはり魔法の香水は成功していたのだろうか」
クレアは、思わずピタリと身体の動きを止めた。
もし、アーサーの言葉どおりであれば、あの時の発光から現れた水を使用した香水は完成していたことになる。
それは今更ながら、大変なことではないだろうか。
「アーサー様。……もし可能であれば件の香水を、アンナさ……アンナの実家の魔道具店で販売をしてもよろしいでしょうか」
クレアは習慣でアンナを下女らしからぬ呼び方で呼んだので、慌てて訂正した。
アーサーに不審がられていないだろうかと彼の方に視線を向けたが、特に動じた様子はない。
「そうだな。異論はないが、それには予め様々な根回しをしておく必要があるだろう」
アーサーの話によると、「疲労回復効果の魔法の香水」の作製に万が一でもクレアが関わっていることが世間に知れ渡ることのないようにしなければならないそうだ。
「もし君が、便利な道具の制作に関わっていることが周知されれば、国内に混乱を生じさせるキッカケになるかもしれない。それは、なんとしても避けなければならない」
「……はい」
やはり難しいのだろうか。
もし、あの魔法薬が人々に受け入れられて多量に販売されるようになれば、アンナの実家の魔法道具店は閉店の危機を脱する可能性があるし、地域住民の健康も守れて一石二鳥だと思ったのだが。
「……そうだな。こちらの手札を最大限に利用して、君が関わっていることを伏せることができれば可能だろう」
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「ありがとうございます!」
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どうしたのだろうかと思ったが、よく考えてみると彼は婚約式の後から時折クレアに対してこのような表情をするのだった。
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