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商人と猫
第41話 猫の気持ち ~コムギ、大好きな主を見つける~
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スヤスヤと眠っていただけなのに気づいたら誰かの膝の上に乗せられ、フワッとした微風を感じながら私は頭を撫でられていた。
でも何だか変。
だって、ルーナから猫休暇をもらって外を自由に歩き回っていたはずだもの。
それなのに気が付いたらルーナとはまるで違う人間に囲まれて、何の感情も要らずに愛想を振りまいてご飯を食べて好きに寝るだけで喜ばれるなんて――そんな、そんなの今までにないくらい最高の環境じゃない?
ルーナのことは好きとか嫌いじゃなくて私を育ててくれた人で主人で、私を使い魔とした割り切った関係。
猫を束縛する人じゃなくて、でも時々使い魔として猫遣いが厳しくて眠いのに仕事をしなくちゃいけなくて、何より稼ぎにうるさい人。
そんな不満を持っていたからなのか分からないけど、何でか私は別の世界のお店で働いている。
夢の中で思い出すのは、人も魔物も寄り付かないあの場所のこと。あの場所で足を踏み入れなければ、こっちの世界に迷い込むこともなかったはずだもの。
見知らぬ猫たちと猫たちを世話する人間達に囲まれながら言われた通りに仕事していた私は、他の猫と違って特別な力があった。素直に従うつもりもなく、わざと高貴なフリをしながら静かに過ごしていた。
そうしたら私がお店のナンバーワン猫になっていて、しかも美人猫とまで言われていた。
そんな時だった。彼がお店にちょくちょく通うようになったのは。
私だけを指名してくる彼の名は麦山湯治……私に似た名前を持つ人間。同じ名前を覚えるのは気恥ずかしいから、トージって呼ぶことにする。
トージは他の客と違ってとても優しい。強制的に撫でられたくない、すり寄って欲しくないって思いがあったのに、何だか不思議と嫌な感じがしなくて。
私の方から自然とトージに近づくようになっていた。自由にさせてくれるのも好ポイントだったし。
そんな彼への想いが募り始めた時、お店の奥に変な澱みが出来ていることに気づいたの。
……ふと、もしかしたらそろそろ元の世界に戻されるの?
もうトージとは会えないの?
不安を抱く中、トージと二人きりになれる機会が訪れる。あの世界へ戻れるにしても、彼と一緒ならいいな、なんて思いながら。
それにきっと彼なら分かってくれる――そう思いながら、私は彼とともに元の世界へ飛んでいた。
それからしばらくトージと過ごしていたのは問題がなかったけれど、次第にトージの思っていることが私に分かるようになった。
これはきっと、ルーナがいる世界に戻ってきたせい。
でも。
「ニャ~……」
「うんうん、ごめんね。コムギさん。俺にはコムギさんの言葉が分からないんだ」
……ああぁ、もどかしいし寂しいな。
どうしてルーナとは話が通じて会話が出来るのに彼とは話が出来ないの?
彼とならルーナ以上にいいパートナーになれるのに。
「ニャフ……」
「コムギさんの言葉が分かればいいのになぁ」
やっぱりそう思ってたんだ。お店に来ていた時からそんな気がしてた。優しくて気が利いて、決して無理強いをしなくて、身を任せたくなる人。
この人を連れて行けばルーナの力で通じるようになるはず。
「ああ、コムギさんと話が出来たらなぁ」
「うん。私も同じ気持ちだよ。もう少し待っていてね、トージ」
トージはビジネスパートナーなんかじゃない。
私にとって大好きな主様はトージ、トージなんだよ?
【俺は鑑定スキルとコムギさんを天秤にかけるなんて、そんなことはしたくありません! コムギさんは俺のパートナーなんですから!】
嬉しかったニャ~。
トージとはこれからも助け合ってずっと一緒にお出かけしたいニャ!
でも何だか変。
だって、ルーナから猫休暇をもらって外を自由に歩き回っていたはずだもの。
それなのに気が付いたらルーナとはまるで違う人間に囲まれて、何の感情も要らずに愛想を振りまいてご飯を食べて好きに寝るだけで喜ばれるなんて――そんな、そんなの今までにないくらい最高の環境じゃない?
ルーナのことは好きとか嫌いじゃなくて私を育ててくれた人で主人で、私を使い魔とした割り切った関係。
猫を束縛する人じゃなくて、でも時々使い魔として猫遣いが厳しくて眠いのに仕事をしなくちゃいけなくて、何より稼ぎにうるさい人。
そんな不満を持っていたからなのか分からないけど、何でか私は別の世界のお店で働いている。
夢の中で思い出すのは、人も魔物も寄り付かないあの場所のこと。あの場所で足を踏み入れなければ、こっちの世界に迷い込むこともなかったはずだもの。
見知らぬ猫たちと猫たちを世話する人間達に囲まれながら言われた通りに仕事していた私は、他の猫と違って特別な力があった。素直に従うつもりもなく、わざと高貴なフリをしながら静かに過ごしていた。
そうしたら私がお店のナンバーワン猫になっていて、しかも美人猫とまで言われていた。
そんな時だった。彼がお店にちょくちょく通うようになったのは。
私だけを指名してくる彼の名は麦山湯治……私に似た名前を持つ人間。同じ名前を覚えるのは気恥ずかしいから、トージって呼ぶことにする。
トージは他の客と違ってとても優しい。強制的に撫でられたくない、すり寄って欲しくないって思いがあったのに、何だか不思議と嫌な感じがしなくて。
私の方から自然とトージに近づくようになっていた。自由にさせてくれるのも好ポイントだったし。
そんな彼への想いが募り始めた時、お店の奥に変な澱みが出来ていることに気づいたの。
……ふと、もしかしたらそろそろ元の世界に戻されるの?
もうトージとは会えないの?
不安を抱く中、トージと二人きりになれる機会が訪れる。あの世界へ戻れるにしても、彼と一緒ならいいな、なんて思いながら。
それにきっと彼なら分かってくれる――そう思いながら、私は彼とともに元の世界へ飛んでいた。
それからしばらくトージと過ごしていたのは問題がなかったけれど、次第にトージの思っていることが私に分かるようになった。
これはきっと、ルーナがいる世界に戻ってきたせい。
でも。
「ニャ~……」
「うんうん、ごめんね。コムギさん。俺にはコムギさんの言葉が分からないんだ」
……ああぁ、もどかしいし寂しいな。
どうしてルーナとは話が通じて会話が出来るのに彼とは話が出来ないの?
彼とならルーナ以上にいいパートナーになれるのに。
「ニャフ……」
「コムギさんの言葉が分かればいいのになぁ」
やっぱりそう思ってたんだ。お店に来ていた時からそんな気がしてた。優しくて気が利いて、決して無理強いをしなくて、身を任せたくなる人。
この人を連れて行けばルーナの力で通じるようになるはず。
「ああ、コムギさんと話が出来たらなぁ」
「うん。私も同じ気持ちだよ。もう少し待っていてね、トージ」
トージはビジネスパートナーなんかじゃない。
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【俺は鑑定スキルとコムギさんを天秤にかけるなんて、そんなことはしたくありません! コムギさんは俺のパートナーなんですから!】
嬉しかったニャ~。
トージとはこれからも助け合ってずっと一緒にお出かけしたいニャ!
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