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商人と猫
第40話 ドワーフ魔導師との取引と選択 後編
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ローニの話はひとまず終わり、ローニはコムギさんと話を弾ませている。
「宝石ピカピカ~大好きなのニャ」
「それはいいね! コムギさんもしばらくアースガルフに留まりたいのかな?」
そういや、猫は光って動くものが好きだったっけ。
宝石は動かないと思うが、コムギさんは普通の猫さんじゃないしそもそもあのルーナさんの猫さんだから宝石には目がないのかも。
「……ルーナは心が読めるのニャ。トージはあまり失礼なことは思わない方がいいと思うニャ」
「あっ。そ、そうだよね、ごめん」
「ニャ」
危ない危ない、コムギさんを通してルーナに伝わるんだった。あぁ、だからこそ遮断してくれたのか。
そう考えたらローニの気遣いに感謝するしかない。
「……さぁ、トージ。ドワーフの僕に何でも聞きたいだろう? 今夜は寝かさずに一晩中話をしてあげようじゃないか~!」
何だか誤解を生みそうな言い方だな。
あ、そういえば。
「ローニに訊きたいんですが、この町にドワーフの少年はいますか?」
「……うん? あぁ、トロムのことかい?」
「黒くてごつごつした物ばかりをくれたんですが、それが何なのか未だに……」
鑑定もままならないほどのガラクタだったから、放置しっぱなしなんだよな。
「完全なる失敗作だろうね。ドワーフの子供らは、ウチのフランもだけど修行の身なんだ。鉄を磨いたり、削ったり……加工して売り物にする。それが出来ていなければ、アースガルフで売ることは許されない。だからだろうけど、トロムは他の町や村に行って迷惑をかけているんだ。今頃どこに出かけているのやら……」
ここにはいないのか。名前が分かったのはいいが、今度はどこで遭遇出来るのやら。居場所が全く分からないのは厄介だな。
「……いや、待てよ? トージの亜空間倉庫なら出来るんじゃ……?」
「――というと?」
「取引といこうか! トージ。君に鑑定のスキルをつけてあげよう! その代わり……」
鑑定スキル!
ここにきてやっとなのか。ネット倉庫で注文を試みたが、鑑定スキルは一切項目がなかった。魔導師によるスキル付与でしかもドワーフの魔導師だったなんて、ここに来なければずっと知らないままだったわけだ。
「そ、その代わり……なんです?」
「ルーナに待ってくれと交渉して欲しい!!」
「はい? 何の交渉を……」
「借金だよ……。僕には膨大な借金があってね。お金の貸し借りはルーナしかやってくれなかったんだ。頼むよ、トージ! 君なら出来る!!」
何の試練が課されるかと思えばルーナに頭を下げるだけとは。一体どれだけの借金なのかは聞きたくないが。
「トージ。ルーナに繋ぐかニャ?」
「えっ、あ……うん」
コムギさんはルーナの猫さんだ。それもあり、コムギさんが意識を閉ざせば一時的に遠く離れた魔導師ルーナと話すことが出来る。
――のだが。
「ムギヤマさん。ローニの頼みを聞いてしまえば、あなたとコムギは一生結ばれなくなりますよ。それでも肩代わりしますか? わたくしはどっちでも構いませんが、ムギヤマさんの気持ちは違うはずです。どうですか?」
「それって……」
「ご想像通りです」
こうしてコムギさんと一緒に旅が出来ているのは、コムギさんをいつか俺の飼い猫さんにするという夢と目標があるからこそ。
そのための目標として、ルーナに魔導石を送り続けるという目標もある。
だけど鑑定スキルと引き換えにそれを失うのは――あまりに勿体ないのではないだろうか。
だが、鑑定スキルを得られれば単純な商売だけじゃなく商売の可能性が広がる。それなのに、何でコムギさんと鑑定スキルなんだよ。
「か、考えさせてくだ――」
「いいえ。コムギは待ちませんよ。とはいえ、潔く決めた場合、コムギはますますムギヤマさんに懐くでしょうね」
「へ? それってどういう――」
「とにかく、ムギヤマさんがこの世界で生きていくと決めた以上、スキルを手に入れておくべきです。わたくしからは以上です……」
ううむ、意味深。
俺の商売的なスキルを手に入れればコムギさんは俺の猫さんにならない――その一方で、俺は別の意味でコムギさんに認められるのか。
「ど、どうだい? ルーナはなんて?」
「許しませんと言ってましたよ。借金問題は一生問題だとも」
「だ、だよねぇ……いや、すまなかった! トージと猫さんを秤にかけるなんて、許すまじ選択を与えてしまった。これに免じて鑑定スキルをタダで与えよう!」
ローニはこう言っているが、ルーナが見逃すわけがないからな。コムギさんにずっと一緒にいてもらうには俺が頑張るしかないってことだ。
「鑑定スキルを頂きます。その後で、話はいくらでも」
「おぉ! すまないね。それじゃあ僕の部屋に来て大いに話をしようじゃないか!」
魔導師ローニから聞かされた日本への未練はとっくにない。今の俺に必要なのは、美人猫のコムギさんと一緒に世界を旅して商売を続けるだけ。
それを続けていけば、いずれ猫のコムギさんを真のパートナーとして迎えられる。そう信じて、もっと商人として高みを目指して行かなければ!
「ウニャ?」
「うん、俺は大丈夫ですよ。コムギさん」
「ニャ~」
「宝石ピカピカ~大好きなのニャ」
「それはいいね! コムギさんもしばらくアースガルフに留まりたいのかな?」
そういや、猫は光って動くものが好きだったっけ。
宝石は動かないと思うが、コムギさんは普通の猫さんじゃないしそもそもあのルーナさんの猫さんだから宝石には目がないのかも。
「……ルーナは心が読めるのニャ。トージはあまり失礼なことは思わない方がいいと思うニャ」
「あっ。そ、そうだよね、ごめん」
「ニャ」
危ない危ない、コムギさんを通してルーナに伝わるんだった。あぁ、だからこそ遮断してくれたのか。
そう考えたらローニの気遣いに感謝するしかない。
「……さぁ、トージ。ドワーフの僕に何でも聞きたいだろう? 今夜は寝かさずに一晩中話をしてあげようじゃないか~!」
何だか誤解を生みそうな言い方だな。
あ、そういえば。
「ローニに訊きたいんですが、この町にドワーフの少年はいますか?」
「……うん? あぁ、トロムのことかい?」
「黒くてごつごつした物ばかりをくれたんですが、それが何なのか未だに……」
鑑定もままならないほどのガラクタだったから、放置しっぱなしなんだよな。
「完全なる失敗作だろうね。ドワーフの子供らは、ウチのフランもだけど修行の身なんだ。鉄を磨いたり、削ったり……加工して売り物にする。それが出来ていなければ、アースガルフで売ることは許されない。だからだろうけど、トロムは他の町や村に行って迷惑をかけているんだ。今頃どこに出かけているのやら……」
ここにはいないのか。名前が分かったのはいいが、今度はどこで遭遇出来るのやら。居場所が全く分からないのは厄介だな。
「……いや、待てよ? トージの亜空間倉庫なら出来るんじゃ……?」
「――というと?」
「取引といこうか! トージ。君に鑑定のスキルをつけてあげよう! その代わり……」
鑑定スキル!
ここにきてやっとなのか。ネット倉庫で注文を試みたが、鑑定スキルは一切項目がなかった。魔導師によるスキル付与でしかもドワーフの魔導師だったなんて、ここに来なければずっと知らないままだったわけだ。
「そ、その代わり……なんです?」
「ルーナに待ってくれと交渉して欲しい!!」
「はい? 何の交渉を……」
「借金だよ……。僕には膨大な借金があってね。お金の貸し借りはルーナしかやってくれなかったんだ。頼むよ、トージ! 君なら出来る!!」
何の試練が課されるかと思えばルーナに頭を下げるだけとは。一体どれだけの借金なのかは聞きたくないが。
「トージ。ルーナに繋ぐかニャ?」
「えっ、あ……うん」
コムギさんはルーナの猫さんだ。それもあり、コムギさんが意識を閉ざせば一時的に遠く離れた魔導師ルーナと話すことが出来る。
――のだが。
「ムギヤマさん。ローニの頼みを聞いてしまえば、あなたとコムギは一生結ばれなくなりますよ。それでも肩代わりしますか? わたくしはどっちでも構いませんが、ムギヤマさんの気持ちは違うはずです。どうですか?」
「それって……」
「ご想像通りです」
こうしてコムギさんと一緒に旅が出来ているのは、コムギさんをいつか俺の飼い猫さんにするという夢と目標があるからこそ。
そのための目標として、ルーナに魔導石を送り続けるという目標もある。
だけど鑑定スキルと引き換えにそれを失うのは――あまりに勿体ないのではないだろうか。
だが、鑑定スキルを得られれば単純な商売だけじゃなく商売の可能性が広がる。それなのに、何でコムギさんと鑑定スキルなんだよ。
「か、考えさせてくだ――」
「いいえ。コムギは待ちませんよ。とはいえ、潔く決めた場合、コムギはますますムギヤマさんに懐くでしょうね」
「へ? それってどういう――」
「とにかく、ムギヤマさんがこの世界で生きていくと決めた以上、スキルを手に入れておくべきです。わたくしからは以上です……」
ううむ、意味深。
俺の商売的なスキルを手に入れればコムギさんは俺の猫さんにならない――その一方で、俺は別の意味でコムギさんに認められるのか。
「ど、どうだい? ルーナはなんて?」
「許しませんと言ってましたよ。借金問題は一生問題だとも」
「だ、だよねぇ……いや、すまなかった! トージと猫さんを秤にかけるなんて、許すまじ選択を与えてしまった。これに免じて鑑定スキルをタダで与えよう!」
ローニはこう言っているが、ルーナが見逃すわけがないからな。コムギさんにずっと一緒にいてもらうには俺が頑張るしかないってことだ。
「鑑定スキルを頂きます。その後で、話はいくらでも」
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それを続けていけば、いずれ猫のコムギさんを真のパートナーとして迎えられる。そう信じて、もっと商人として高みを目指して行かなければ!
「ウニャ?」
「うん、俺は大丈夫ですよ。コムギさん」
「ニャ~」
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