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アフターストーリー 1
洞窟の探検猫さんと偶然の救出
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コムギさんの後ろをついて歩いていると、コムギさんの言う通り、進むにつれて洞窟が明るくなってきたような気がした。
……というより、コムギさん自身が微かに光っているようにも見える。彼女は自分の状態に気づいてないけど。
コムギさんは聖属性の力を有してる猫さん。もしかしたらそのおかげもあるかもしれない。
「へぇぇ~……意外と広い通路だったんだ」
「トージが余裕で歩けるくらいの大きな洞窟じゃないかと思っていたニャ」
コムギさんは獣人ではないので、人間の大きさは把握しきれていないと聞いたことがある。とはいえ、猫カフェ時代に散々抱っこされてきた経験で何となく感覚で分かるようになったのだとか。
「結構奥深く続いていそうだね」
「気が紛れそうかニャ?」
「え?」
「このところのトージは、心なしか寂しそうに見えたニャ。お部屋でのんびりするのも悪くないけど、やっぱりトージは移動して何かしてる時の方が楽しそうに見えるニャ」
見てないようで意外と気にして見てくれてたんだ。そうか、それで洞窟を見つけた時に興奮してたのか。
本当に主人想いの猫さんだなぁ。
そうしてコムギさんの優しさをしみじみ思いながら道なりに進んでいると、どこからともなくお助けコールがこだましてるような気がした。
「わ~わ~わ~!! 誰か~助けて~」
……男の子の声?
「この先に誰かいるのかな?」
「確かに聞こえるニャ」
「ともかく進んでみよう」
危険な魔物が出てこないとはいえ、魔物以外に誰かがいないとも限らない。聞こえてくる声はもしかすれば、俺たちと同じようにこの洞窟を見つけて先に探検していた可能性がありそうだがどうだろうか。
「トージ、あそこでずっと走ってる子がいるニャ!」
「……うん? 走ってる……あぁ、あれって確か」
円形のホイールだよな?
かなり汚れているけど、キャットホイールによく似たものに知らずに乗ってしまったのか、そこから抜け出せなくなってる猫が見える。
またしても向こうの世界の物があるというか、放置されているというか――とにかく助けてやらないと。
「フギャニャニャニャ!!!」
「大丈夫、助けてあげるよ。だからそのまま手足を動かしたままでいてね」
「ニャニャニャ?」
パニックでただの鳴き声にしか聞こえないけど、とにかくこの子の両脇に手を入れて、静かに持ち上げて抱っこしてあげた。
そしてそのまま通路の方に降ろした。
「……つ、疲れた~……」
獣人ではなく普通の猫さんのようだけど、俺には猫の言葉が理解出来るスキルがあるおかげか、彼の言葉がはっきりと聞こえる。
「はふぅはふぅ……おかげで助かったよ~」
「助けたのは私じゃなくて、トージなのニャ」
「――って、人間!?」
コムギさんは冷静に俺のおかげだと言ってくれてるが、俺が助けたというより人間がいることに驚いているみたいだ。
「驚かせてごめんね。俺は人間だよ。俺の言葉が分かるかい?」
「き、聞こえる……分かる!! 何で分かるんだ~?」
どうやら興奮状態にあるようで、助けられたことよりも人間がいることに驚いている。
「トージ……私のご主人様は猫語が分かるニャ。だからこそ君を助けられたのだから、まずは助けてくれたお礼を言うのが先だと思うニャ」
おお、流石はコムギさんだ。
「お、おいらを助けてくれてありがとう~。おいらは洞窟探検をするのが趣味の、クウって言うんだ。人間……あなたの名前を教えて~?」
コムギさんに怒られた猫の男の子は自分をクウと名乗って、俺をおそるおそる見つめてくる。
白と茶とこげ茶の三色の毛をしているが、恐らく彼はキジ三毛猫だと思われる。もっとも、この世界の猫さんかどうかは何とも言えないが。
「クウくんだね、よろしく。俺はトージだよ。そして彼女はコムギさんだ」
「トージと私が通りがかったおかげだニャ」
「そ、そっか~。トージさんとコムギさん、ありがとう~!」
猫のクウは、尻尾をぶんぶんと振り回してお礼? をしている。
「ところでクウくん。君は洞窟探検をしてると言ってたけど、いつからここにいるのかな?」
探検猫がいるとは思わなかったけど、探検歴が長いのだとしたら少しはここのことが分かるかもしれない。
「おいらはここよりももっと奥の、もっともっと奥深くからここまで上がってきたんだ~。ここに入り込んでからどれくらい経ってるのか分からないけど、人間を見たのは初めてだ~」
時間の概念は流石に分からないか。
しかしこの辺りが上の部分だということは、相当地下深くにまで広がってるということだ。地上のあの小屋が出口の一つと考えれば、とんでもなく広いってことになる。
「トージはアレを調べてきていいニャ。私は彼に詳しく訊いてみるニャ」
「――! それもそうだね。コムギさん、よろしく~」
「ウニャ」
猫同士ならもっと細かく訊きだせるかもしれない――そう思ったのか、コムギさんはクウに近づいて話を訊いている。
そうなると、あのキャットホイールを調べるのは俺の役目だ。鑑定スキルでどこまで見られるかは分からないが、とにかく調べてみることにする。
……というより、コムギさん自身が微かに光っているようにも見える。彼女は自分の状態に気づいてないけど。
コムギさんは聖属性の力を有してる猫さん。もしかしたらそのおかげもあるかもしれない。
「へぇぇ~……意外と広い通路だったんだ」
「トージが余裕で歩けるくらいの大きな洞窟じゃないかと思っていたニャ」
コムギさんは獣人ではないので、人間の大きさは把握しきれていないと聞いたことがある。とはいえ、猫カフェ時代に散々抱っこされてきた経験で何となく感覚で分かるようになったのだとか。
「結構奥深く続いていそうだね」
「気が紛れそうかニャ?」
「え?」
「このところのトージは、心なしか寂しそうに見えたニャ。お部屋でのんびりするのも悪くないけど、やっぱりトージは移動して何かしてる時の方が楽しそうに見えるニャ」
見てないようで意外と気にして見てくれてたんだ。そうか、それで洞窟を見つけた時に興奮してたのか。
本当に主人想いの猫さんだなぁ。
そうしてコムギさんの優しさをしみじみ思いながら道なりに進んでいると、どこからともなくお助けコールがこだましてるような気がした。
「わ~わ~わ~!! 誰か~助けて~」
……男の子の声?
「この先に誰かいるのかな?」
「確かに聞こえるニャ」
「ともかく進んでみよう」
危険な魔物が出てこないとはいえ、魔物以外に誰かがいないとも限らない。聞こえてくる声はもしかすれば、俺たちと同じようにこの洞窟を見つけて先に探検していた可能性がありそうだがどうだろうか。
「トージ、あそこでずっと走ってる子がいるニャ!」
「……うん? 走ってる……あぁ、あれって確か」
円形のホイールだよな?
かなり汚れているけど、キャットホイールによく似たものに知らずに乗ってしまったのか、そこから抜け出せなくなってる猫が見える。
またしても向こうの世界の物があるというか、放置されているというか――とにかく助けてやらないと。
「フギャニャニャニャ!!!」
「大丈夫、助けてあげるよ。だからそのまま手足を動かしたままでいてね」
「ニャニャニャ?」
パニックでただの鳴き声にしか聞こえないけど、とにかくこの子の両脇に手を入れて、静かに持ち上げて抱っこしてあげた。
そしてそのまま通路の方に降ろした。
「……つ、疲れた~……」
獣人ではなく普通の猫さんのようだけど、俺には猫の言葉が理解出来るスキルがあるおかげか、彼の言葉がはっきりと聞こえる。
「はふぅはふぅ……おかげで助かったよ~」
「助けたのは私じゃなくて、トージなのニャ」
「――って、人間!?」
コムギさんは冷静に俺のおかげだと言ってくれてるが、俺が助けたというより人間がいることに驚いているみたいだ。
「驚かせてごめんね。俺は人間だよ。俺の言葉が分かるかい?」
「き、聞こえる……分かる!! 何で分かるんだ~?」
どうやら興奮状態にあるようで、助けられたことよりも人間がいることに驚いている。
「トージ……私のご主人様は猫語が分かるニャ。だからこそ君を助けられたのだから、まずは助けてくれたお礼を言うのが先だと思うニャ」
おお、流石はコムギさんだ。
「お、おいらを助けてくれてありがとう~。おいらは洞窟探検をするのが趣味の、クウって言うんだ。人間……あなたの名前を教えて~?」
コムギさんに怒られた猫の男の子は自分をクウと名乗って、俺をおそるおそる見つめてくる。
白と茶とこげ茶の三色の毛をしているが、恐らく彼はキジ三毛猫だと思われる。もっとも、この世界の猫さんかどうかは何とも言えないが。
「クウくんだね、よろしく。俺はトージだよ。そして彼女はコムギさんだ」
「トージと私が通りがかったおかげだニャ」
「そ、そっか~。トージさんとコムギさん、ありがとう~!」
猫のクウは、尻尾をぶんぶんと振り回してお礼? をしている。
「ところでクウくん。君は洞窟探検をしてると言ってたけど、いつからここにいるのかな?」
探検猫がいるとは思わなかったけど、探検歴が長いのだとしたら少しはここのことが分かるかもしれない。
「おいらはここよりももっと奥の、もっともっと奥深くからここまで上がってきたんだ~。ここに入り込んでからどれくらい経ってるのか分からないけど、人間を見たのは初めてだ~」
時間の概念は流石に分からないか。
しかしこの辺りが上の部分だということは、相当地下深くにまで広がってるということだ。地上のあの小屋が出口の一つと考えれば、とんでもなく広いってことになる。
「トージはアレを調べてきていいニャ。私は彼に詳しく訊いてみるニャ」
「――! それもそうだね。コムギさん、よろしく~」
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