67 / 73
アフターストーリー 2
トージの亜空間な植木鉢 ①
しおりを挟む
小屋にしばらく滞在することを決めた俺は、部屋に放置していた土まみれの植木鉢を移動させ、全て小屋に移動させた。
土の成分は流石に分からなかったが、コムギさんが拾ってきた物はどれも何かしらの性質があるので、土は捨てずにそのまま持ってきた。
「なぁ、トージ。トージの部屋へはいつでも行けるのか~?」
小屋に移動し終えたところでクウは猫の姿に戻っていた。なるべくなら本来の姿の方が楽ということなのかも。
猫の姿の方がモフれるから俺としては猫のままの方がいいけど。
「うん? 小屋からって意味なら行けると思うけど、どうして?」
「村の人とか、こっちの小屋から何かが入り込んだら危ないんじゃないか~?」
……あぁ、そうか。
村の人はともかく、小屋に侵入してくる何かが繋がった部屋に移ってくる可能性もあるのか。そうなるとメルバ漁村の人たちに危険が及ぶ可能性が。
「う~ん……、それもそうだね」
「だろ~! だから扉はもっと分かりづらくした方がいいぞ~」
クウに言われたので、引き戸の辺りを眺めながら対策を考えようとそこに近づくと、コムギさんが俺の足元にすりすりしてくる。
その行為の意味はもちろん分かるものの、コムギさんの場合は他に伝えたいことがあったりするので彼女を見つめてみた。
すると。
「トージは何も心配する必要なんてないニャ!」
「え?」
この言い方はまたしても怒ってる?
「こことお部屋を繋いだのはトージのスキルのおかげなのニャ。だからトージがいない時や、私が近くにいない時はただの壁なのニャ。クウが言うようなことにはならないから何も心配しなくていいのニャ!」
なるほど。確かに俺の亜空間スキルで繋がってるだけで、俺がいない時でも自由に行き来出来たらおかしな話になる。
「全く、クウはトージのことをなんにも分かってないから困るニャ~」
そう言ってコムギさんは、クウに対してやれやれといった可愛らしいポーズで呆れて見せた。
「なんだと~!! おいらだってトージを助けられるぞ~! コムギだってただぐうたらしてるだけじゃないか~」
ああぁ、そんな言い方しなくても。
「フゥゥ!!!」
「ギニャ~!!」
やばい、どっちも臨戦態勢になってる。
ううむ、こうなったら人間の俺では止められない。何か止めるようなことがないと止まりそうにないけど、何かないか何か。
今のところ睨み合って威嚇してるだけで飛び掛かる段階じゃない。となると、俺が何か驚くことをすれば――。
そういえば、持ってきた植木鉢に全然触れていなかった気がする。
コムギさんとクウの喧嘩が始まらないことを祈って、俺は大量の植木鉢の中からとりあえず適当な植木鉢を急いでテーブルに並べ、土を一定の高さに揃えて適当な種を植えてみた。
水が手元にないので種をそのまま土の中に埋めてみたまではよかったものの、やはりそんな簡単に何かが起こるわけがなく、何も動きが無い。
……う~ん?
「フゥゥ――――!! ムカつくニャ!」
「なんだと~!! それはおいらの方だ~!!!」
あぁぁぁ、もうどっちか怪我をしそうなくらい興奮してる。
どっちが怪我をしても嫌だし悲しくなるので、俺が傷を負ってでもいいという思いでふたりの間に飛び込もうかと思いながら植木鉢から目を離した。
その直後、テーブルから植木鉢を落としてしまう。
「フゥゥーー……ニャニャ? か、体が動かないニャ!?」
「ううぅ……おいら、どうしちまったんだ……こんな動かせなくなったことなんて……うぎぎぎ」
コムギさんとクウに異変が生じていて、ふたりとも向き合ったまま動けなくなっている。
「コ、コムギさん!? クウくんも? ど、どうしたの?」
床に落ちた植木鉢を見るも、植木鉢は全く割れておらず、土が少しだけ飛び散っているだけだった。
「トージ~……動けないニャ~」
「う、うぅ……」
「ど、どうしよう、どうすれば……動けないって、どんな感じなの?」
コムギさんは自分に起きた症状に理解出来ずに戸惑っている一方で、クウは初めて起きた異常に理解が追いついていない感じに見える。
「力が上手く入らないニャ……手足がくすぐったいような針のようなもので刺されちゃってるような、変な感じがするニャ……」
力が入らない、針で刺されたような状態――もしかして?
俺は床に落ちて転がった植木鉢を拾い上げ、土の中に埋め込んだ種が少し割れていたのでその欠片を手に取り鑑定してみた。
すると、見えたのは。
【パラリシスの種の欠片】
【効果:麻痺】
【徐々に回復】
【亜空間植木鉢:亜空間スキル制限】
亜空間に繋がってる植木鉢なのか?
しかもよりによって麻痺の種を植えていたのか。まさかこんなのまであるなんて驚きしかないんだが。
亜空間スキルに制限があるみたいだけど、数ある植木鉢の中でどれでもスキルが使えるわけじゃないって意味だろうか?
それにしたって少量の土が飛び散っただけなのに、まさかこんなに強力な効果が表れるなんて。
だけど。
「フニゥ~……仕方ないニャ~」
「おいらも悪かった~……うぅ~……」
ふたりとも麻痺にやられてすっかり大人しくなったので、今回は麻痺の種に救われたと思うべきかもしれない。
土の成分は流石に分からなかったが、コムギさんが拾ってきた物はどれも何かしらの性質があるので、土は捨てずにそのまま持ってきた。
「なぁ、トージ。トージの部屋へはいつでも行けるのか~?」
小屋に移動し終えたところでクウは猫の姿に戻っていた。なるべくなら本来の姿の方が楽ということなのかも。
猫の姿の方がモフれるから俺としては猫のままの方がいいけど。
「うん? 小屋からって意味なら行けると思うけど、どうして?」
「村の人とか、こっちの小屋から何かが入り込んだら危ないんじゃないか~?」
……あぁ、そうか。
村の人はともかく、小屋に侵入してくる何かが繋がった部屋に移ってくる可能性もあるのか。そうなるとメルバ漁村の人たちに危険が及ぶ可能性が。
「う~ん……、それもそうだね」
「だろ~! だから扉はもっと分かりづらくした方がいいぞ~」
クウに言われたので、引き戸の辺りを眺めながら対策を考えようとそこに近づくと、コムギさんが俺の足元にすりすりしてくる。
その行為の意味はもちろん分かるものの、コムギさんの場合は他に伝えたいことがあったりするので彼女を見つめてみた。
すると。
「トージは何も心配する必要なんてないニャ!」
「え?」
この言い方はまたしても怒ってる?
「こことお部屋を繋いだのはトージのスキルのおかげなのニャ。だからトージがいない時や、私が近くにいない時はただの壁なのニャ。クウが言うようなことにはならないから何も心配しなくていいのニャ!」
なるほど。確かに俺の亜空間スキルで繋がってるだけで、俺がいない時でも自由に行き来出来たらおかしな話になる。
「全く、クウはトージのことをなんにも分かってないから困るニャ~」
そう言ってコムギさんは、クウに対してやれやれといった可愛らしいポーズで呆れて見せた。
「なんだと~!! おいらだってトージを助けられるぞ~! コムギだってただぐうたらしてるだけじゃないか~」
ああぁ、そんな言い方しなくても。
「フゥゥ!!!」
「ギニャ~!!」
やばい、どっちも臨戦態勢になってる。
ううむ、こうなったら人間の俺では止められない。何か止めるようなことがないと止まりそうにないけど、何かないか何か。
今のところ睨み合って威嚇してるだけで飛び掛かる段階じゃない。となると、俺が何か驚くことをすれば――。
そういえば、持ってきた植木鉢に全然触れていなかった気がする。
コムギさんとクウの喧嘩が始まらないことを祈って、俺は大量の植木鉢の中からとりあえず適当な植木鉢を急いでテーブルに並べ、土を一定の高さに揃えて適当な種を植えてみた。
水が手元にないので種をそのまま土の中に埋めてみたまではよかったものの、やはりそんな簡単に何かが起こるわけがなく、何も動きが無い。
……う~ん?
「フゥゥ――――!! ムカつくニャ!」
「なんだと~!! それはおいらの方だ~!!!」
あぁぁぁ、もうどっちか怪我をしそうなくらい興奮してる。
どっちが怪我をしても嫌だし悲しくなるので、俺が傷を負ってでもいいという思いでふたりの間に飛び込もうかと思いながら植木鉢から目を離した。
その直後、テーブルから植木鉢を落としてしまう。
「フゥゥーー……ニャニャ? か、体が動かないニャ!?」
「ううぅ……おいら、どうしちまったんだ……こんな動かせなくなったことなんて……うぎぎぎ」
コムギさんとクウに異変が生じていて、ふたりとも向き合ったまま動けなくなっている。
「コ、コムギさん!? クウくんも? ど、どうしたの?」
床に落ちた植木鉢を見るも、植木鉢は全く割れておらず、土が少しだけ飛び散っているだけだった。
「トージ~……動けないニャ~」
「う、うぅ……」
「ど、どうしよう、どうすれば……動けないって、どんな感じなの?」
コムギさんは自分に起きた症状に理解出来ずに戸惑っている一方で、クウは初めて起きた異常に理解が追いついていない感じに見える。
「力が上手く入らないニャ……手足がくすぐったいような針のようなもので刺されちゃってるような、変な感じがするニャ……」
力が入らない、針で刺されたような状態――もしかして?
俺は床に落ちて転がった植木鉢を拾い上げ、土の中に埋め込んだ種が少し割れていたのでその欠片を手に取り鑑定してみた。
すると、見えたのは。
【パラリシスの種の欠片】
【効果:麻痺】
【徐々に回復】
【亜空間植木鉢:亜空間スキル制限】
亜空間に繋がってる植木鉢なのか?
しかもよりによって麻痺の種を植えていたのか。まさかこんなのまであるなんて驚きしかないんだが。
亜空間スキルに制限があるみたいだけど、数ある植木鉢の中でどれでもスキルが使えるわけじゃないって意味だろうか?
それにしたって少量の土が飛び散っただけなのに、まさかこんなに強力な効果が表れるなんて。
だけど。
「フニゥ~……仕方ないニャ~」
「おいらも悪かった~……うぅ~……」
ふたりとも麻痺にやられてすっかり大人しくなったので、今回は麻痺の種に救われたと思うべきかもしれない。
23
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる