見ているだけで満足な姫と死んでも触りませんと誓った剣士の両片思いの恋物語

まつめ

文字の大きさ
34 / 130

34.崩れた神殿

しおりを挟む
 アツリュウ達が向かうエイヘッドは『赤ん坊の頭』の位置にある。彼らがこれから向かうのは、『赤ん坊の首』と呼ばれる山脈だ。

 エイヘッドはシュロム領土の中で最大の面積を誇るが、居住や農耕に適した有用な土地は、領土の中で最も狭い。赤ん坊の頭はほとんどが山脈と森林に覆われている。

 エイヘッドの山脈向こうには、入ったら抜け出せない広大な大森林が広がり、その先には果てない岩砂漠、そしてその、はるか先にはピプドゥ国に繋がっていると言われている。しかし未開の土地に足を踏み入れたものはいないので、伝説のような話だ。生きてその真偽を確かめた者は誰もいない。

 とうとう、8日間の旅を続け、アツリュウ一行は赤ん坊の首のふもとの村に到着した。
 山越えの為の食糧を買い込み、山に連れていけない馬を、買い取ってくれるという場所に向かった。店の主人とオルゴンが交渉していると、先客らしい男が、「あんたらまさか山越えする気かい?」と声をかけてきた。

「まだ『虎月』の5月だからな、山越えは自殺行為だ。見てみろあの雪を」
 ヒルディルドの中心部にある首都モーリヒルドも冬季は雪が降る、しかし積もっても足首程度。しかしここの村の冬はアツリュウの身長ほどの雪が積もるそうだ。
 首都で虎月といえば、日中は暖かく、体を動かせは汗ばむほどであるが、ここではまだ、山の頂に雪が少し残っていた。
  
「天気が良ければ、山越えできる。でも3日はかかるんだ。もし天候が悪くなったら雨でも雪でも絶対に夜を越せない。凍死しちまうんだよ。必ず晴れる3日を選ぶことは賭けみたいなもんだ。あんたら金をもってる高貴な身分のお方なんだろう、だったらエンドバードで船に乗るか、来月の『蜻蛉月かげろう』まで待つのがいいよ」
 男は親切に教えてくれた。

「整備された山道があると聞きました。かなり険しいが早朝に出れば、なんとか暗くなる前に赤ん坊の首を抜けられるという道です」
 アツリュウが尋ねると、男はいったい何年前の話をしているのかと、あきれ顔であんなくずれ道と言った。

 以前はエイヘッド領の管理があり、整備されていた山道は、今や打ち捨てられ、道はいたるところで崩れて使えないと言う。山道ではなく、山頂に登り稜線りょうせんをたどっていけば、赤ん坊の首を越えられる。しかしそれにはどうしても3日かかるのだと言う」
 アツリュウが落胆を隠せないまま、言葉を返せずにいると、男はそれじゃあなと店を出ようとした。

「お待ちください、それではあなた様が行かれる道を教えてくださいませ」
 ヨンキントが去ろうとする男に声を掛けた。
 去ろうとしていた男が驚いて振り返る、アツリュウ達7人も同じくヨンキントを見た。

「あなた様の道ってなんだよ、俺はこれから家に帰るんだ」
 男がひどく焦った口ぶりで返事をする。その様子にアツリュウ達もこの男がヨンキントの問いに図星を突かれたのではないかと予想できた。

「あなた様は私たちと同様に馬を売り払い、表に待たせている連れのもう一人は大きな荷物を抱えている。これから山越えなさるのでしょう?」

 そんなわけないだろう、家に帰るんだ。と男は慌てて店を出て行った。
 彼から事情を聞かねば。アツリュウは持っていた荷物を従者に渡すと、男を追った。

 アツリュウに追われて、逃げおおせる人間を見つけることは難しい。彼は苦も無くあっという間に男の前に立った。
「もう少しお話をお聞かせ願います」
 丁寧に頭を下げるが、男は話すことはないと応じてくれない。

 後から追い付いたオルゴンが丁寧な物言いで、謝礼はするのでどうか教えてくれないかと金額を提示した。その額を聞いて男はかなり返事を迷った、しかし、やはり俺は何も知らないと首を振った。

 アツリュウは男に真っすぐ視線を合わせた。
「私はこれからエイヘッド領主代行になるアツリュウ・ミタツルギだ、シュロム王子セウヤ殿下の命をうけこれからエイヘッドへ向かう」
 男は何を言ってるんだ小僧と、ひきつった顔で笑おうとした。

「若い私に領主代行といわれても、信じられないもの無理はない、おいセウヤ殿下の任命証書を出せ、こちらの方にお見せする」
「いい、いいよ俺は字が読めねえよ」

 アツリュウは後ずさる男の両手を取った。
「先ほどは金で交渉するなどと大変な失礼をした。あなたにとって安々やすやすと教えられないことだとお見受けする。しかしながら、私はこれから領地を守る者として、領地に続く道は必ず把握はあくしておかねばならない。それは領民の安全に関わることだ、私の言っていることが分かるか?」
 男はアツリュウにがっちりと手を取られ、逃げられず、首を上下に振った。

「もしあなたが道を教えることで、あなたの身に危険があるのであれば、領主代行の名において必ず守ると約束しよう。他の理由であるならば、けしてあなたに悪いようにはしない教えてもらえないか」

 男はぐっと口を結んでしばし考えているようだったが、首を左右に振って、本当です道なんて知りません。と答えた。

 後ろでオルゴンが「仕方がない、尋問じんもんか……」と呟くと、男の顔が真っ青になった。それでも男は何も言おうとしなかった。

「分かりました。失礼しました」
 アツリュウが手を離すと、男は腰が抜けてしゃがみこんだ。ヨンキントがオルゴンに熱心に何事かをささやくと、オルゴンは男に金貨を握らせた。
「無礼を働いたお詫びです」
 男は走って、逃げるように去って行った。

「代行よろしかったので? 尾行しましょうか?」
 護衛の1人が問うてきたが、アツリュウは必要ないと断った。

「道案内をさせるなら、信頼関係ができていなければ意味がない。山の中で姿をくらませられたら俺たちは迷って死ぬだけだ」

「大丈夫ですよ、私たちはあの男から道を教えてもらえます」
 ヨンキントが陽気に言った。皆驚いて彼を見ると、自信たっぷりにふふふと笑った。

 果たしてヨンキントの言ったことは本当になった。

 翌朝、日の出とともに出発した。すると赤ん坊の首へと続く林道で大きな荷物を背負った二人の男が待っていた。彼らは一晩よく考えて、領主代行様の道案内をすることにしたと申し出てくれた。

「ヨンキント様、どうして彼が心変わりして協力してくれると分かったのです?」
 アツリュウは驚きと尊敬の眼差しで問うた。

「ふふふ、それはあなたの功績こうせきです。私はあなたという方を増々好きになりました」
 ヨンキントはあなたは可愛いだけではないんですねと失礼なことを言った。

「昨日のあなたの説得で、あの男は半分落ちたのですよ。残りの半分は金貨で落ちた。あとは決心するための時間をあげればいい。私たちに親切に山越えの危険を教えてくれるような人間です、誠実にお願いされ、大金をもらえば、お返しをしない訳にはいかない。それが良き心をもつ人の行動です」

 この人が本人の望まないところで出世してしまうのは、うるう年のうるう日に生まれただけではないことをアツリュウは知った。ヨンキントの隣を歩いていると安心する。それはこの人がかもしだす「良い人」感がそうさせる。
 いやいやこの人は侮れないぞ、これが神官という人達なのか、人心掌握じんしんしょうあく恐ろしいな。

                ◇◇◇   ◇◇◇

 男の案内で、山を一つ越え、大森林の中に入った。大森林は深く暗い森、地元の人間でもすぐに迷ってしまう迷路のような森だ。男が言うには『目印の木』で待つと、『森の人』が来てくれることになっていると言う。

 『森の人』とはエイヘッドの山岳地帯や大森林に居住する人々で、ヒルディルド国が建国するもっと前からここに暮らしている人々なのだと教えてもらった。

 様々にヒルディルドの歴史を学んできた8人だったが、初めて聞く『森の人』の話に驚いた。そんな妖精のような人たちに自分たちは命を託して、この大森林を進むのかと思うとさすがに不安になったがもはや信じるより他はない。

 『約束の木』にたどり着くと、二人の男が今夜はここで野営して早朝に来る森の人を待つと言う。男たちは焚火を囲んだ。

 暇だからと護衛の1人が、従者のキボネに劇場で観た、剣士様の純愛物語を話してくれと言いだした。
 登場人物の名前は違うが、それでも自分の話を脚色きゃくしょくされている物語だ。アツリュウも初めは興味をもって聞いていたが、すぐに身もだえし、のたうちまわりたくなる恋人たちの甘い台詞の数々。それをキボネが迫真の語りで聞かせる。逃げたしたいのに暗い森に入れば一瞬で迷うだろう、拷問ごうもんのような夜だった。

 案内してくれた男2人はその話がたいそう気に入って「領主代行、エイヘッドにもその劇団をいつか呼んでくださいませ」と頼まれて困ってしまった。

                ◇◇◇    ◇◇◇

 獣の匂いがうっすらと、森の香りに混ざりあって鼻に届き目を覚ました。不思議な香りたっだ。

 夜が明けていた。朝日の光の中、浅い覚醒かくせいで匂いの方を見ると。白い毛皮を羽織はおり、見たことのない民族衣装の少年が簡素な槍を片手に持って立っていた。獣の匂いは毛皮からしているようっだった。

 深い青い瞳と、白い肌にそばかすが散っている。耳には大きな穴をあけて、翡翠ひすいの石をはめ込んでいる。髪は細くいくつにも分けて編み込まれていた。神秘的な美しさだった。人の形をしているのに、まるで小鹿を見ているようだった。

 同行している男が「ありがとう」と少年に声をかけ、不思議な見たことのない仕方で腕を組んで挨拶を交わした。

 その少年は一言も言葉を発しなかった。アツリュウがいくつか質問すると、目を合わせる。けれど首さえ振ってはくれない、男に言葉が通じないのかと聞くと、こちらの言っていることはすべて理解していると教えてくれた。必要な時に、必要なことしか話さないのだそうだ。

 けして足音をたてず、滑るように歩く少年の案内で、日が暮れるまえに赤ん坊の首を越えることができた。男が荷物から大きな袋を出して少年に渡す。受け取るとまた不思議な仕方で腕を組んで挨拶をすると、少年はあっという間に森に消えた。

 案内をしてくれた男に改めて謝礼を渡すと、受け取れないと返された。ヨンキントの良き心の人という言葉が思い出され、言葉で心からの感謝を伝えた。そしてかなり先にはなるだろうが劇団もいつか呼ぶと約束した。

                  ◇◇◇   ◇◇◇

 『赤ん坊の頭』エイヘッドに入った。領都に行く前に、港街のエイドドアド『赤ん坊の口』に向かう。港に出るまでに2日ほど、田舎の村々を越えていく。ヨンキントが見たいといったエイヘッドの領民、特に田舎の村人の暮らしがわかるだろう。

 オルゴンがアツリュウに領主代行であることを、村人に明かさない方がいいだろうと提案してきた。

 領民にとってはミヤビハラ家は100年以領地を治めてきたのだ、新しい領主をいきなり受け入れられるとも思えない、無用な争いや騒ぎを起こさないためにも、身分を隠した方が良いと諭された。

 1つ目の集落に着いて愕然がくぜんとした。家屋は修繕しゅうぜんされないままに並び、牛も人も痩せていた。疲れた顔をして汚れた着物で働く大人の横で、本来なら遊んでいる子供がいてもいいのに、ぼんやりと座る老人がいるだけだった。

 アツリュウ達の見るからに兵士と分かる身なりに、村人が寄って来る。ほどこしを求め、得られないと分かると、この村の窮状きゅうじょうをなんとか領主様にお伝えしてほしいを懇願する。

「もう夏を越せないのでございます。あと2カ月ほどで食糧は尽きるのです」
 村人は口々に、次の秋の収穫まで食料が持たないことを訴える。特に神官のヨンキントに人が集まる。どうかお助けくださいと。

 村をいくつ越えても同じだった。人々は次の収穫まで食料がもたないのだと訴える。なんとか冬は越したが、次の食糧を得る手立てがないのだと。

「ミヤビハラ家は何をしているのだ」
 オルゴンが腹立たしく吐き捨てる横で、アツリュウは身分を隠した自分の行いを恥じていた。とても言えなかった、窮状きゅうじょうを訴える村人の前で、自分が新しく領地を預かる領主代行だと。

 あの場でそれを言ったら、人々が群がってきただろう。だが自分は何を約束できるのか?
 領地経営について、自分は何も知らない。セウヤ殿下に領地の窮状を救うための金をもらっているわけでもない。だから身分を明かせなかった。

「神官様この子に祝福しゅくふくをくださいませ」
 ぎはぎの着物をきた女性が、3歳くらいの子供を連れてヨンキントの所にやってきた。
 見ると、その子の左手が曲がったまま固まって、動かせないことが見て取れた。

「もちろんです。なんというお名前かな?」
 ヨンキントは優しく子供を抱き上げた。背の高い彼に抱かれて子供は目を丸くし、そして笑った。
 男の子は照れたように名前をごにょごにょ言った。ヨンキントはよく聞き取って、その子を降ろすと名前とともに祝福の文言もんごんを朗々とうたい、子供の額に触れた。

 オルゴンが母親にその子の腕はどうしたのかと聞くと、「神殿が崩れて……」と彼女は言った。
「神殿が崩れたとはどういうことです?」
 ヨンキントが語気を強めて問うた。

「この子の1歳の祝いに、神殿にお参りしましたら、その時崩れてきた壁が腕に当たって大怪我をしてしまい、動かすことができなくなりました。」
 ヨンキントはとても暗い顔になり、その神殿に案内してくださいと母親に頼んだ。

 神殿は半分崩れていた。そして残された半分は、いつ崩れてもおかしくないと言うのに、いまだに人が出入りしていた。
「この半壊した神殿をまだ使っているのですか!」

 ヨンキントは非常に大きな衝撃しょうげきを受けたようだった。
「なりません、このような危険な場所に入ってはなりません」
 たまたまそこに居合わせた、神殿に祈りにきた人々に彼は大きな声で言って聞かせた。それでも、そこに集まる人は、ありがたい神殿ですから、ここに皆来たいのですと返事をする。

 修繕しゅうぜんできないのかという言葉が喉まで出かかったが、アツリュウは黙るしかなかった。神殿を修理する金などあるはずもないのだ。それでもなお、村人は神殿を大切に思っているのだ。

「ここの神官はどこにいるのです」
 ヨンキントの問いかけに、神殿が崩れた2年前に、神官たちは去りましたと村人が答えた。

 出会ってから、ずっと陽気で笑顔だったヨンキント。
 彼は苦しい顔をして、崩れた神殿の前からしばらく動かなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

お転婆令嬢は、大好きな騎士様に本性を隠し通す

湊一桜
恋愛
侯爵令嬢クロエは、二度も婚約破棄をされた。彼女の男勝りで豪快な性格のせいである。 それに懲りたクロエは、普段は令嬢らしく振る舞い、夜には”白薔薇”という偽名のもと大暴れして、憂さ晴らしをしていた。 そんな彼女のもとに、兄が一人の騎士を連れてきた。 彼の名はルーク、別名”孤高の黒薔薇”。その冷たい振る舞いからそう呼ばれている。 だが実は、彼は女性が苦手であり、女性に話しかけられるとフリーズするため勘違いされていたのだ。 兄は、クロエとルークのこじらせっぷりに辟易し、二人に”恋愛の特訓”を持ちかける。 特訓を重ねるうちに、二人の距離は少しずつ近付いていく。だがクロエは、ルークに”好きな人”がいることを知ってしまった…… 恋愛なんてこりごりなのに、恋をしてしまったお転婆令嬢と、実は優しくて一途な騎士が、思い悩んで幸せになっていくお話です。

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

処理中です...