53 / 130
53.頑固な猫殿
しおりを挟む
かつて見張り台だったであろう場所で、胸あたりの高さの石壁に肱をつき、アツリュウ―は城の下の広場を眺めていた。
城と神殿を繋げている回廊は、天井が崩れる心配があり、現在使われていない。中を通ることはできないが、アツリュウは回廊の屋根に出て、中央を避けて通り、神殿の隣まで来た。見張り台のようなちょうどよい空間がある。
1人になるのにはよい場所だ、自分のように屋根伝いに来る者はいないだろう。
姫様に会いたいと、毎日どれだけ願っていたか。願いすぎて夢を見ているのではないかと思うほどに。
目の前にあなたがいる現実を、どう受け止めればいいかわからない。
「アツリュウが死なないように守って欲しいのです」
自分のために来てくれたのだと分かった瞬間、 あまりに強い感情が押し寄せてきて、どうにかなりそうだった。
もしオルゴンが隣に居なかったら、あの時俺はきっと……あなたを……
深いため息がでた。ここで一体何回目のため息か、彼女はひどく傷ついた顔をした。
自分がそうさせたのだ。
「良い所ですね」
アツリュウが振り返るとヨンキント様がいた。神殿の方からここに来られるようだ不覚だった。
一人でいられると思ったのに、見つかってしまった残念さと、久しぶりに彼に会えた嬉しさが同時に湧き上がって、振り返ったのに、何も言えぬまままた広場に顔をもどした。
彼が隣に並んで同じように肱をついた。
「有志の神官達と、とりあえずエイヘッドを一回りしてきました」
「全ての町と村を回ってきたのですか?」
「山間の小さな村は無理でしたが、主要な神殿は回ることができました。建物は古い所ばかりでしたが、みなさんの信心はどこでも変わらない。あらためて月女神さまのご慈悲の深さを知ることができました」
ヨンキントはエイヘッド神殿に赴任するとすぐ、村々の視察に出かけ、昨日やっと帰ってきたのだ。
「真っ先に私がするべき仕事も終わりましたよ」
「あの崩れかけた神殿を壊してきたのですか?」
ヨンキントは頷いた。
「あの危ない神殿を取り払うことができて一安心です。民家を一軒借りて、そこを仮神殿にしています。若い神官がそこへ常駐してくれることになりました。エイドドアドで御大と喧嘩をした甲斐がありました」
ヨンキントは爽やかに笑ったが、この短期間に彼がやり遂げたことに舌を巻く。
エイドドアドの御大とはエイヘッドの神官達の中で相当の重鎮らしい、それを二週間足らずで、自分の下に置いて見せた。ほんとうに恐ろしい人だ。
崩れた神殿を前に、苦しそうにしていたのを忘れられない。権力欲で動いているのではないのだ。そんな彼を尊敬するし、一緒にいるとなぜか安心する、彼のことがとても好きだ。だから今は会いたくなかった。
「ヨンキント様はすごい方だ」
背の高い彼の顔を見上げる。優しい眼差しがあってすぐ目を逸らした。俺はきっと今情けない顔をしているだろう。
「すごくはないですよ。できることを一つずつしているだけです」
それきり彼は何も言わず、自分も何も言えず、長い事広場を眺めていた。
馬車が城門前にやって来て、騒がしくなった。姫が乗る馬車と、これから邸宅で護衛にあたる者たちが乗る馬車、移動中の護衛をする兵士達など集まってくる。
オルゴンがこちらに気づいて、遠くから手招きしてこちらに来いと合図をする。大きく横に首をふった。
もうすぐ姫が出てくるかと思うと、苦しくなって壁の下に座り込んだ。ヨンキント様の前で、無様にも隠れている姿を見せなければならなかった。
ヨンキント様は何も言わずそのまま広場を眺めている。壁を背にして座り、情けなさを抱えて頭を膝につけて俯いた。
出発の号令がかかり、姫の乗った馬車が去るのだと分かった。彼女を見たいという強烈な気持ちが沸き上がったが無理やり気持ちを押し込める。
「第一城門を出ますよ、もうあちらからは見えないですよ」
彼に声を掛けられて、すぐに立ち上がった。第一城門を抜けて、街の中に馬車が去っていく。その姿を目で追い続けた。
「リエリー様と友達になりました」
馬車が街並みに消えてしまっても、そこから目を離せずににいると彼が静かに言った。驚いて見上げると、彼が素敵な方ですねと微笑んだ。
彼女に会ったのだ。そしてこの人だったらあっと言う間に仲良くなっただろう。
悔しい気持ちが胸にわっと湧いた。きっと嫉妬したんだと思って、本当に自分にうんざりした。
「エイドドアドの神殿を案内する約束をしました。一緒にお出かけするんです」
この人はそんなことを言ったら俺がどんな気持ちになるか分かって言っているんだろうか?
「いっしょに行きましょう」
「それは、できない」
「そうですか、残念ですね。アツリュウ殿はリエリー様に会うつもりがないの?」
答えようとして、驚くほど言うのが重かった。
「会いません。彼女はすぐ帰ります」
「でも、10日くらいあるのでしょう? その間に二人で過ごしたら?」
二人で過ごす……そんなことをしたら、俺はどうなってしまうのだろう。またどう処理していいか分からない感情の波が押し寄せる。
抱えきれない、どうしていいかわからない。
ただ、首を左右に振ってできない事を伝えた。
「きっと事情があるんでしょうけど、ちょっと冷たくしてしまったみたいですね」
何も答えられない。
彼女の短く切られた髪は、黒く染めた色が落ちかけてまだらに緑色になっていた。昨夜の熱から目覚めたばかりでやつれて…… どれほどの思いをしてここまで来たのか……たった一人で。
名を呼んでくれた、俺の元に走ってきて、アツリュウと…… 姫様が、アツリュウと……
それなのに、俺は……
「よく来たねって抱きしめてあげれば良かったのではないですか?」
言葉にしないでくれ。抱きしめるなんて言わないでくれ。
「そんなことは許されない」
とても彼の顔を見ることができない、小さく吐き出した。
「許されないって、あなた婚約者でしょう? それくらいいいでしょう、はるばる一人で会いにきたんだから、抱きしめたって、だれも咎めたりしません」
「彼女にはけして触れない約束なのです。セウヤ殿下に命じられています」
「ああ、そういうことですか」
びっくりするくらい、明るい感じで彼は言って、なーんだそんなことか、と付け加えた。
「あなた、本当に真面目なんですね、いいですか、こうやるんです」
彼の方を見上げると、人差し指をたてて口に当てている。そしてにやっと笑った。
「こうやってリエリー様にやって見せてですね、こう言うんです。「お兄様には内緒だよ」って。それで、まあまあ節度を保ちつつ、好きなことをしたらいいんです。あなたも成人した男なんですから、そこは詳しく説明しなくても分かるでしょう。まあ上手くやりなさい」
彼はにやにやして目を輝かせた。
明るく教えてくれる彼には申し訳ないが、深くため息をついた。
「そういう、ことではないんです」
「いやいや、そういうことですよ、世の男達はみんなしてますよ」
「私は……」
こんなことをヨンキント様に言ったところで何になるのだろう。それでも、ニコニコ嬉しそうにしている顔をみたら悔しくなってつい口にしてしまった。
「私は、約束を破れば殺される」
「は……い?それは冗談ですか?」
アツリュウが黙っていると、彼は真顔に戻った。
しばらく、お互いまた何も言わず、広場を眺めた。
「あなたの周りは、恩赦の戦といい、殺すという約束といい、とても物騒ですね。そしてこんな北の果てまで飛ばされていったい何をしているんです」
アツリュウ殿あなたはいったい何をしているんです、と彼はもう一度問うた。
俺はいったい何をしているんだろう?
「リエリー様は泣いていました」
目を閉じた。苦しい後悔の念が込み上げる。でもどうすれば良かったのだ。
「事情があるのはわかります、でもね、恩赦の戦を生き延びたあなたなら分かるはずだ。ほんの10日であっても、1日であっても、一瞬であってもだ、生きているからこそ会えるのですよ」
彼はじっと見つめたまま、やれやれと呟いた。可愛い猫殿はなかな頑固なようだと聞こえた気がした。
「神殿にお出かけするのは明後日です。気が変わったらいつでも一緒にどうぞ」
そう告げると、神殿側の階段から彼は降りて行ってしまった。
城と神殿を繋げている回廊は、天井が崩れる心配があり、現在使われていない。中を通ることはできないが、アツリュウは回廊の屋根に出て、中央を避けて通り、神殿の隣まで来た。見張り台のようなちょうどよい空間がある。
1人になるのにはよい場所だ、自分のように屋根伝いに来る者はいないだろう。
姫様に会いたいと、毎日どれだけ願っていたか。願いすぎて夢を見ているのではないかと思うほどに。
目の前にあなたがいる現実を、どう受け止めればいいかわからない。
「アツリュウが死なないように守って欲しいのです」
自分のために来てくれたのだと分かった瞬間、 あまりに強い感情が押し寄せてきて、どうにかなりそうだった。
もしオルゴンが隣に居なかったら、あの時俺はきっと……あなたを……
深いため息がでた。ここで一体何回目のため息か、彼女はひどく傷ついた顔をした。
自分がそうさせたのだ。
「良い所ですね」
アツリュウが振り返るとヨンキント様がいた。神殿の方からここに来られるようだ不覚だった。
一人でいられると思ったのに、見つかってしまった残念さと、久しぶりに彼に会えた嬉しさが同時に湧き上がって、振り返ったのに、何も言えぬまままた広場に顔をもどした。
彼が隣に並んで同じように肱をついた。
「有志の神官達と、とりあえずエイヘッドを一回りしてきました」
「全ての町と村を回ってきたのですか?」
「山間の小さな村は無理でしたが、主要な神殿は回ることができました。建物は古い所ばかりでしたが、みなさんの信心はどこでも変わらない。あらためて月女神さまのご慈悲の深さを知ることができました」
ヨンキントはエイヘッド神殿に赴任するとすぐ、村々の視察に出かけ、昨日やっと帰ってきたのだ。
「真っ先に私がするべき仕事も終わりましたよ」
「あの崩れかけた神殿を壊してきたのですか?」
ヨンキントは頷いた。
「あの危ない神殿を取り払うことができて一安心です。民家を一軒借りて、そこを仮神殿にしています。若い神官がそこへ常駐してくれることになりました。エイドドアドで御大と喧嘩をした甲斐がありました」
ヨンキントは爽やかに笑ったが、この短期間に彼がやり遂げたことに舌を巻く。
エイドドアドの御大とはエイヘッドの神官達の中で相当の重鎮らしい、それを二週間足らずで、自分の下に置いて見せた。ほんとうに恐ろしい人だ。
崩れた神殿を前に、苦しそうにしていたのを忘れられない。権力欲で動いているのではないのだ。そんな彼を尊敬するし、一緒にいるとなぜか安心する、彼のことがとても好きだ。だから今は会いたくなかった。
「ヨンキント様はすごい方だ」
背の高い彼の顔を見上げる。優しい眼差しがあってすぐ目を逸らした。俺はきっと今情けない顔をしているだろう。
「すごくはないですよ。できることを一つずつしているだけです」
それきり彼は何も言わず、自分も何も言えず、長い事広場を眺めていた。
馬車が城門前にやって来て、騒がしくなった。姫が乗る馬車と、これから邸宅で護衛にあたる者たちが乗る馬車、移動中の護衛をする兵士達など集まってくる。
オルゴンがこちらに気づいて、遠くから手招きしてこちらに来いと合図をする。大きく横に首をふった。
もうすぐ姫が出てくるかと思うと、苦しくなって壁の下に座り込んだ。ヨンキント様の前で、無様にも隠れている姿を見せなければならなかった。
ヨンキント様は何も言わずそのまま広場を眺めている。壁を背にして座り、情けなさを抱えて頭を膝につけて俯いた。
出発の号令がかかり、姫の乗った馬車が去るのだと分かった。彼女を見たいという強烈な気持ちが沸き上がったが無理やり気持ちを押し込める。
「第一城門を出ますよ、もうあちらからは見えないですよ」
彼に声を掛けられて、すぐに立ち上がった。第一城門を抜けて、街の中に馬車が去っていく。その姿を目で追い続けた。
「リエリー様と友達になりました」
馬車が街並みに消えてしまっても、そこから目を離せずににいると彼が静かに言った。驚いて見上げると、彼が素敵な方ですねと微笑んだ。
彼女に会ったのだ。そしてこの人だったらあっと言う間に仲良くなっただろう。
悔しい気持ちが胸にわっと湧いた。きっと嫉妬したんだと思って、本当に自分にうんざりした。
「エイドドアドの神殿を案内する約束をしました。一緒にお出かけするんです」
この人はそんなことを言ったら俺がどんな気持ちになるか分かって言っているんだろうか?
「いっしょに行きましょう」
「それは、できない」
「そうですか、残念ですね。アツリュウ殿はリエリー様に会うつもりがないの?」
答えようとして、驚くほど言うのが重かった。
「会いません。彼女はすぐ帰ります」
「でも、10日くらいあるのでしょう? その間に二人で過ごしたら?」
二人で過ごす……そんなことをしたら、俺はどうなってしまうのだろう。またどう処理していいか分からない感情の波が押し寄せる。
抱えきれない、どうしていいかわからない。
ただ、首を左右に振ってできない事を伝えた。
「きっと事情があるんでしょうけど、ちょっと冷たくしてしまったみたいですね」
何も答えられない。
彼女の短く切られた髪は、黒く染めた色が落ちかけてまだらに緑色になっていた。昨夜の熱から目覚めたばかりでやつれて…… どれほどの思いをしてここまで来たのか……たった一人で。
名を呼んでくれた、俺の元に走ってきて、アツリュウと…… 姫様が、アツリュウと……
それなのに、俺は……
「よく来たねって抱きしめてあげれば良かったのではないですか?」
言葉にしないでくれ。抱きしめるなんて言わないでくれ。
「そんなことは許されない」
とても彼の顔を見ることができない、小さく吐き出した。
「許されないって、あなた婚約者でしょう? それくらいいいでしょう、はるばる一人で会いにきたんだから、抱きしめたって、だれも咎めたりしません」
「彼女にはけして触れない約束なのです。セウヤ殿下に命じられています」
「ああ、そういうことですか」
びっくりするくらい、明るい感じで彼は言って、なーんだそんなことか、と付け加えた。
「あなた、本当に真面目なんですね、いいですか、こうやるんです」
彼の方を見上げると、人差し指をたてて口に当てている。そしてにやっと笑った。
「こうやってリエリー様にやって見せてですね、こう言うんです。「お兄様には内緒だよ」って。それで、まあまあ節度を保ちつつ、好きなことをしたらいいんです。あなたも成人した男なんですから、そこは詳しく説明しなくても分かるでしょう。まあ上手くやりなさい」
彼はにやにやして目を輝かせた。
明るく教えてくれる彼には申し訳ないが、深くため息をついた。
「そういう、ことではないんです」
「いやいや、そういうことですよ、世の男達はみんなしてますよ」
「私は……」
こんなことをヨンキント様に言ったところで何になるのだろう。それでも、ニコニコ嬉しそうにしている顔をみたら悔しくなってつい口にしてしまった。
「私は、約束を破れば殺される」
「は……い?それは冗談ですか?」
アツリュウが黙っていると、彼は真顔に戻った。
しばらく、お互いまた何も言わず、広場を眺めた。
「あなたの周りは、恩赦の戦といい、殺すという約束といい、とても物騒ですね。そしてこんな北の果てまで飛ばされていったい何をしているんです」
アツリュウ殿あなたはいったい何をしているんです、と彼はもう一度問うた。
俺はいったい何をしているんだろう?
「リエリー様は泣いていました」
目を閉じた。苦しい後悔の念が込み上げる。でもどうすれば良かったのだ。
「事情があるのはわかります、でもね、恩赦の戦を生き延びたあなたなら分かるはずだ。ほんの10日であっても、1日であっても、一瞬であってもだ、生きているからこそ会えるのですよ」
彼はじっと見つめたまま、やれやれと呟いた。可愛い猫殿はなかな頑固なようだと聞こえた気がした。
「神殿にお出かけするのは明後日です。気が変わったらいつでも一緒にどうぞ」
そう告げると、神殿側の階段から彼は降りて行ってしまった。
10
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。
専業プウタ
恋愛
ミリア・カルマンは帝国唯一の公爵家の次女。高貴な皇族の血を引く紫色の瞳を持って生まれたワガママな姉の陰謀で、帝国一裕福でイケメンのレナード・アーデン侯爵と婚約することになる。父親であるカルマン公爵の指示のもと後継者としてアカデミーで必死に勉強してきて首席で卒業した。アカデミー時代からの恋人、サイラスもいる。公爵になる夢も恋人も諦められない。私の人生は私が決めるんだから、イケメンの婚約者になど屈しない。地位も名誉も美しさも備えた婚約者の弱みを握り、婚約を破棄する。そして、大好きな恋人と結婚してみせる。そう決意して婚約者と接しても、この婚約者一筋縄ではいかない。初対面のはずなのに、まるで自分を知っていたかのような振る舞い。ミリアは恋人を裏切りたくない、姉の思い通りになりたくないと思いつつも彼に惹かれてく気持ちが抑えられなくなっていく。
厄災烙印の令嬢は貧乏辺境伯領に嫁がされるようです
あおまる三行
恋愛
王都の洗礼式で「厄災をもたらす」という烙印を持っていることを公表された令嬢・ルーチェ。
社交界では腫れ物扱い、家族からも厄介者として距離を置かれ、心がすり減るような日々を送ってきた彼女は、家の事情で辺境伯ダリウスのもとへ嫁ぐことになる。
辺境伯領は「貧乏」で知られている、魔獣のせいで荒廃しきった領地。
冷たい仕打ちには慣れてしまっていたルーチェは抵抗することなくそこへ向かい、辺境の生活にも身を縮める覚悟をしていた。
けれど、実際に待っていたのは──想像とはまるで違う、温かくて優しい人々と、穏やかで心が満たされていくような暮らし。
そして、誰より誠実なダリウスの隣で、ルーチェは少しずつ自分の居場所を取り戻していく。
静かな辺境から始まる、甘く優しい逆転マリッジラブ物語。
【追記】完結保証タグ追加しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる