【第一章改稿中】転生したヒロインと、人と魔の物語 ~召喚された勇者は前世の夫と息子でした~

田尾風香

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第五章 デトナ王国までの旅路

暁斗とリィカ①

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「ええっ!? リィカ様も夜番をされるのですか!?」
テオドアが不満そうに声を上げた。



テオドアが魔法を使えた後の、姉弟の抱擁。あれだけならば感動で終わった。
しかし。

「リィカ様、ありがとうございます!」
姉から離れたテオドアが、今度はリィカに抱き付いたのだ。

暁斗と、それまで余裕の表情だったアレクも、「あっ!」と声をあげたが、テオドアは気付かず、あるいは自分に向けられた声だとは思わなかったのかも知れないが、更なる爆弾を落とし込んだ。

「リィカ様、今日僕と一緒に寝て下さい!」
テオドアをフォローするなら、下心があるわけでも何でもなく、憧れのリィカと一緒に、本当に普通に寝たいだけだ。

が、まだ十歳とは言っても、王子という立場のテオドアが未婚の女性に向けていい言葉ではなかった。
全員が噴き出し驚愕し、カトレナが怒りモードになった。

それでもキョトンとしているテオドアに、リィカが夜番があるので、と断りを入れたのだ。


「リィカ様、女性なのにそこまでされるのですか?」
「もちろんです。夜番に、男も女も関係ありませんから」
「男性が五人もいるんです。そこは、配慮を求めてもいいのではないでしょうか?」
「配慮してくれてますよ? 重い荷物なんかは、他のみんなが持ってくれています。わたしが持っているのは、本当に私物だけですから」

リィカは、女だからと甘える気は全くない。
しかし、力や体力といった面では、どうしても男性には敵わない。そこを張り合おうとすれば、結果として旅の支障になると判断して、彼らの好意に甘えることにしていた。

(――荷物、か)
風の手紙エア・レターができれば、次は魔法のバッグにチャレンジだ。



不満そうなテオドアには、カトレナが説教していた。
護衛の女性達に、自分たちだって夜番をしていましたよ、と言われた事で、口を噤んだ。

今日は、護衛の四名には夜番はいいので休むようにアレクが伝えている。
疲れが見えていた。
悩んだ四名だが、結局その言葉に従ったのだった。


※ ※ ※


今日は、リィカの順番は最初、暁斗と一緒の夜番だ。
不機嫌そうな暁斗の顔に、内心で首を傾げていると、泰基に声をかけられた。

「夜番中、暁斗を構ってやってくれ、リィカ」
今度は実際に首を傾げる。

「――父さん!?」
いきなり何を言うの、と暁斗が半分悲鳴を上げるが、泰基は構わずリィカに告げる。

「お前が王子殿下に優しく構っているのを見て、不機嫌になってるんだ」
「――父さん!」
今度は、完全に悲鳴だ。

リィカは、あらら、と半分他人事だ。
思い返せば、テオドアに教えた感じは暁斗の時のよく似ていたかも知れない。

「――了解、泰基」
「リィカ!?」
リィカが簡潔に返事をすれば、今度は暁斗の顔が赤くなった。

「それとリィカ、例のやつ、頼んだ」
泰基が魔石をリィカに渡す。大きさ的にCランクの魔石だ。

「浄化できたんだね。思ったより時間かかった?」
「……浄化の魔法自体、覚えてなかったから、それを覚えるところから始まった。魔石は浄化しすぎても駄目だし、ユーリに教わりながら何とかな」
リィカはクスッと笑う。

「じゃあ、預かるね。土魔法で良いんだよね?」
「ああ、頼んだ」
お休み、と言って泰基が去っていった。


※ ※ ※


リィカの手には、泰基から渡された魔石がある。暁斗はもやもやした。
「……リィカ、それ、どうするの?」
自然と声が固くなる。

内容からして、以前から何かしら話をしていたんだろう、というのは分かる。しかし、のけ者にされたようで、面白くなかった。

「泰基から魔道具の作成をね。土属性の付与をお願いしたいって言われてたの」
魔石は、使う前に浄化をしなければならない。
そして、浄化は光魔法でしかできない。
これまではユーリがその浄化をやってきたが、泰基も光魔法を使えるのだから、ユーリに習いつつ浄化をやり始めていた。

リィカの答えは、答えになっているようでいて、なっていない。
暁斗のもやもやが大きくなる。

「……最近、父さんと仲良いよね」
言うつもりはなかったのに、思わず零れた。

「そうかな?」
リィカは、少し首を傾げて笑っている。
リィカは地面に布を広げて、その上にペタンと座る。

「おいで?」
伸ばされた手に一瞬ためらったが、結局そのままリィカにしがみついた。
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