眠れる森の星空少年~あの日のキミ

夏目奈緖

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 16時30分。

 4時限目の授業を終えて、夏樹と森本と山崎と真羽との5人でと正門へと向かっている。早瀬との待ち合わせまでに時間があるから、京橋駅のカフェへ行くことにした。

 森本と新発売のパンの話をしている横で、夏樹が黒崎さんと電話で言い合いをしている。家を出る前、大学到着後、学食、大学を出る前、帰宅後のうち、最低4回はラインで連絡するように言われているのに、3回連続で忘れてしまったそうだ。スピーカーからは黒崎さんの声が聞こえる。夏樹は俺達に会話が聞こえているのに気づいていない。

「タイミングが悪くて忘れていたんだよ~」
「3回も忘れておいてか?」 
「朝はバタついていたんだ。学食の時は声を掛けられて話し込んだ。さっきは、教授に呼び止められたからだよ」
「今から迎えに行く。大学内で待て」 
「いいってば。仕事中だろ?」
「出先からの帰りだ。問題ない」 

 プツッ。電話が切れてしまった。黒崎さんの声だけ聞くと、怒っていたように感じた。夏樹も同じだ。苛立ちと悲しみが混ざったような顔をしている。心配になって夏樹のことを囲むように背中をさすると、無理に笑おうとしているのが分かり、胸が痛くなった。夏樹が黒崎さんの束縛だと言っている。4回も連絡するのは大変だ。しかし、黒崎さんの方は夏樹に何か起きやしないかと心配しているからこそ、連絡を寄越すように言っている。仲が良さそうだが、大変なのだと思った。  

 俺達は夏樹の事情を知っているから驚かないが、初めて聞いた真羽は驚いていた。夏樹は体が弱く、熱を出すことがある。そして、よく転びそうになる。さらにはナンパされて、付きまといのようなことまでされる時があり、黒崎さんが心配している。そのことを、山崎が真羽に説明した。大変なんだなと言っていた。すると、夏樹が言った。

「黒崎さんの束縛は強いんだ。さっきは言いたいことを言って、電話を切っただろ?こんな人だからさ~」
「黒崎さんは心配症だからな」
「束縛が激しすぎるよー」
「避けらないことなんだよ。すごく優しい人なんだけど、強引で頑固で石頭だからさ~。俺の言うことを聞けって、偉そうなんだよ。こういう人に惚れたから仕方ないよ。ここのカフェで時間をつぶすよ」 
「俺も一緒に待っているよ」
「俺も構わない。今日はバイトがない」
「今日は向こうの学食に行こうよ!向こうの食べていないメニューがあるだろー?」

 森本が荷物を持ち、俺達は夏樹の背中を押した。そして、大学の中央にある学食へ連行して行った。
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