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4-14(黒崎視点)
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19時30分。
これから夕食を取るためにレストランに来た。園内の煌びやかな雰囲気の延長線上のようなロビーを通り抜けて、三階のレストランへ入った。園内のイルミネーションと打ち上げ花火が観える席へ案内された後、夏樹が両目を輝かせた。 窓からの景色が綺麗だからだ。
歩き回ったから汗をかいた。部屋に戻って着替えをした後、このレストランに来る間、夏樹が今までとは別人のように遠慮がなくなった。夏樹が言うところの、”大喧嘩”の効果なのか?俺は初めての経験に戸惑い、泣かせたことへの罪悪感が増している。
夏樹が少しばかり疲れを見せている。歩き回ったからだろう。喧嘩もした。今も疲れているだろうに、平気なふりをしている。レストランをやめてルームサービスを取ろうかと言ったとき、レストランのデザートビュッフェが楽しみなのだから食べに行きたいと言って、夏樹が駄々をこねていた。そういう姿が見られて良かったと思った。
(まだ体力がついていない。ああ、笑ったか……)
「黒崎さーん。見てよー。ああいう飾りつけを思いつく人って、すごいと思わない?センスがあるよね?」
「そうだな、雰囲気がいい」
「芸術的な趣味のある人としては、どう感じるの?」
「お前が指しているのは、お菓子の家だろう?さすがはスイーツ男子だ。目の付け所が違う。……装飾が細かい。光の反射で色が重なると、ああなるのか」
「さすがは視力2.0だね。お菓子の家が見えないよ。俺が指しているのはジェットコースター。遠くの方が見えるのっていいね」
「どれぐらい見えるんだ?」
「裸眼は0.08。コンタクトで0.8から1.0」
「だから部屋で転ぶのか。寝ぼけていたかと思ったぞ」
「……メガネは肩が凝るんだよ。園内が綺麗だねー。この席、わざわざ用意してくれたんだよね?」
「……偶然だ」
同じ場所を眺めていると、夏樹からの視線を感じた。その凜とした表情を見て、胸の鼓動が高鳴った。時折見せる、大人びた顔だからだ。
「黒崎さん。伝えたいことがあるんだ。聞いてもらえるかな?」
「ああ、勿論だ」
「今日のことだよ。友達同士で来るのとは、雰囲気が違うと思う。いきなり誘ったけど、無理に休みを取ったんじゃないの?……三年後のデートは、どんな感じだろうね?早く大人になりたいよ。……いい経験をさせて頂いて、ありがとうございます。強引だけど、あんたのことが大好きだよ!」
そう言い終えた後、頬を赤くして微笑みを向けられた。俺は自分の心が蕩けそうになる気持ちになりながら、彼の目を見つめ返した。
「夏樹。お前に伝えたいことがある」
「うん。どんなこと?」
「お前は、やるべき事を、しっかりやっている。勉強や家事をこなしているのが証拠だ。それに、お前は自分の意見を持っている。人が違う意見を言ったとしても、簡単に流されない面があるが、お前は相手の気持ちを考えて迷っているだろう。相手の気持ちを考えすぎるところも長所であり、短所でもある。だから、迷いや悩みがあるんだと思う」
「黒崎さん。ありがとう……」
「過去は変えられない。良い事も悪い事もだ。今から未来を選択していけ。お前なら大丈夫だ。……向こうに、スイーツビュッフェが用意されたぞ。今夜は甘い匂いを我慢するから、思い切り食べろ」
「うん。ありがとう。ビュッフェがあるから、このレストランを選んでくれたの?」
「ああ。お前が喜びそうだったからだ」
「そっか。黒崎さんみたいな大人になりたいよ!」
夏樹が顔を赤くして目を伏せた後、唇を結んだ。納得して受け入れた時にする仕草だ。これで少しは助けになっただろうか。
これから夕食を取るためにレストランに来た。園内の煌びやかな雰囲気の延長線上のようなロビーを通り抜けて、三階のレストランへ入った。園内のイルミネーションと打ち上げ花火が観える席へ案内された後、夏樹が両目を輝かせた。 窓からの景色が綺麗だからだ。
歩き回ったから汗をかいた。部屋に戻って着替えをした後、このレストランに来る間、夏樹が今までとは別人のように遠慮がなくなった。夏樹が言うところの、”大喧嘩”の効果なのか?俺は初めての経験に戸惑い、泣かせたことへの罪悪感が増している。
夏樹が少しばかり疲れを見せている。歩き回ったからだろう。喧嘩もした。今も疲れているだろうに、平気なふりをしている。レストランをやめてルームサービスを取ろうかと言ったとき、レストランのデザートビュッフェが楽しみなのだから食べに行きたいと言って、夏樹が駄々をこねていた。そういう姿が見られて良かったと思った。
(まだ体力がついていない。ああ、笑ったか……)
「黒崎さーん。見てよー。ああいう飾りつけを思いつく人って、すごいと思わない?センスがあるよね?」
「そうだな、雰囲気がいい」
「芸術的な趣味のある人としては、どう感じるの?」
「お前が指しているのは、お菓子の家だろう?さすがはスイーツ男子だ。目の付け所が違う。……装飾が細かい。光の反射で色が重なると、ああなるのか」
「さすがは視力2.0だね。お菓子の家が見えないよ。俺が指しているのはジェットコースター。遠くの方が見えるのっていいね」
「どれぐらい見えるんだ?」
「裸眼は0.08。コンタクトで0.8から1.0」
「だから部屋で転ぶのか。寝ぼけていたかと思ったぞ」
「……メガネは肩が凝るんだよ。園内が綺麗だねー。この席、わざわざ用意してくれたんだよね?」
「……偶然だ」
同じ場所を眺めていると、夏樹からの視線を感じた。その凜とした表情を見て、胸の鼓動が高鳴った。時折見せる、大人びた顔だからだ。
「黒崎さん。伝えたいことがあるんだ。聞いてもらえるかな?」
「ああ、勿論だ」
「今日のことだよ。友達同士で来るのとは、雰囲気が違うと思う。いきなり誘ったけど、無理に休みを取ったんじゃないの?……三年後のデートは、どんな感じだろうね?早く大人になりたいよ。……いい経験をさせて頂いて、ありがとうございます。強引だけど、あんたのことが大好きだよ!」
そう言い終えた後、頬を赤くして微笑みを向けられた。俺は自分の心が蕩けそうになる気持ちになりながら、彼の目を見つめ返した。
「夏樹。お前に伝えたいことがある」
「うん。どんなこと?」
「お前は、やるべき事を、しっかりやっている。勉強や家事をこなしているのが証拠だ。それに、お前は自分の意見を持っている。人が違う意見を言ったとしても、簡単に流されない面があるが、お前は相手の気持ちを考えて迷っているだろう。相手の気持ちを考えすぎるところも長所であり、短所でもある。だから、迷いや悩みがあるんだと思う」
「黒崎さん。ありがとう……」
「過去は変えられない。良い事も悪い事もだ。今から未来を選択していけ。お前なら大丈夫だ。……向こうに、スイーツビュッフェが用意されたぞ。今夜は甘い匂いを我慢するから、思い切り食べろ」
「うん。ありがとう。ビュッフェがあるから、このレストランを選んでくれたの?」
「ああ。お前が喜びそうだったからだ」
「そっか。黒崎さんみたいな大人になりたいよ!」
夏樹が顔を赤くして目を伏せた後、唇を結んだ。納得して受け入れた時にする仕草だ。これで少しは助けになっただろうか。
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