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それなのに、新しい胸の痛みが起きた。黒崎が困った顔になった。俺が緊張しているのを感じ取ったようだ。また腫れ物に触るかのようになってしまった。俺のことを守るために考えてくれているのに、肝心の俺がネガティブに受け取って、後ずさりをしている状況だと思う。しっかりしなければならないと思った。
「黒崎さん。今日からネックレスをやめて、指輪をつけるよ。あんたと結婚したんだ。しっかりしたいからだよ」
「無理をするな」
「だってさー。初めての煌びやかなパーティーは、不安に思わないわけがないだろ。あんただって、同じじゃないの?……小学校へ入る時、怖くなかった?引っ込み思案な性格をしていたんだよね?俺みたいに、正門の前で立ち止まっただろ?」
「そうだった記憶がある。昨夜、伊吹君に電話をしていたんだろう。パーティーの振る舞い方のことで聞いたのか?」
「うん。お兄ちゃんと話すと落ち着くんだ。騒がしい人だから、かえってホッとするんだ」
「妬いても良いか?伊吹君なら初めての小学校にも戸惑わなかったんだろう」
「……うん。そうだったみたいだけど、半分は違うそうだよ。不安もあったみたいだよ。俺と万理から初日の感想を聞かれるからね。かっこ悪い話ができないし、不安にさせたくないから、面白かった部分だけを覚えて来たそうだよ。……あんたは末っ子だったもんね。俺にどう教えたらいいのか、戸惑っているだろ?これからも教えてよ。中間子はバランス感覚がいいけど、俺は不器用なタイプみたいなんだ。あんたに苦労させているから申し訳ない気分だよ」
「抱いてもいいか?」
「嬉しそうに笑うなよー」
お互いに茶化した。こういう時は温もりが欲しいから、黒崎の肩周りに両腕を回した。熱い息遣いが頬や耳元に感じて、勝手に身体が震えた。てっきり笑われるかと思ったのに、優しい微笑みを向けられた。困ったような嬉しいような感じだ。それに対して胸の鼓動が高鳴り、一気に顔が熱くなった。すると今度は、普段通りに笑われた。
「子供扱いするなよ……」
「何のことだ?……入浴剤の香りが好みのはずだ。ゆっくり入って落ち着こう」
「あんたと入ると、落ち着かないよ……」
着ているものが脱がされ、床へ落とされていった。お湯が溜まっていないのにと言い返すと、笑い声を立てながら、首筋へ吸いつかれた。そして、そばのソファーへ押し倒された後、黒崎が上半身を脱ぎ始めた。緩めたネクタイを外し、シャツも脱いだ。じっと見ていると、微笑まれた。
「……見たら悪いの?」
「やっと見てくれたから嬉しい。慣れたのか?」
「結婚したからだよ……。あの……」
「我慢できない。禁欲命令を解いてくれ」
「うん……」
裸の上半身を抱きしめて頷くと、肌同士が熱くなった。何度も角度を変えてキスをした。長く続くから息が苦しくなり、黒崎の肩を叩いた。すると、練習が必要だなと笑われて、胸元を押して離れてやった。
「すまない。可愛いからだ。もっと見せてくれ」
「やだ。向こうへ行く。こっちに……っ、やめろよ」
「やめても構わないのか?」
「ばかやろう……。んん……」
「愛している。強引なことはしない。家に帰った後なら、抱いてもいいか?」
「そういうことを言われると……」
「そうか」
優しい触れ合いが熱のこもったものに変わり、噛みつくようなキスをされた。肌を辿る指先までが熱くなり、何度も身体が震えて声を上げた。
両手や枕で口元を押さえて声を我慢していると、強引に外された。触れていない場所がないぐらいに全身にキスをされて、すっかり息が乱れた。恥ずかしい顔をしていると思う。それを見たいと囁かれて、ますます恥ずかしくなった。
「もっと聞かせてくれ。誰もいない部屋だぞ」
「この間みたいに……、喉が痛くなるよ。これは恥ずかしいって……」
「どういうものだ?」
「腰を……、知らないよ……っ」
よく分からないままに言い返すと、高く腰を持ち上げられた。両手でシーツを掴んで恥ずかしさを紛らわせていると、ゆっくりと抱き上げられた。どうしたのかと思っていると、黒崎の膝の上に座らされて、向かい合わせになった。
今朝から苛められた仕返しだと笑われた。頬をつねられたから、耳たぶを引っ張ってやった。今度は下唇を引っ張られたから、肩に噛みついた。エスカレートした結果、くすぐり合いに発展した。
空港で喧嘩をしたのが嘘だと思える。優しくて甘い時間を過ごした後、遅めの昼ご飯を食べに行くために、手を繋いで部屋を出た。
「黒崎さん。今日からネックレスをやめて、指輪をつけるよ。あんたと結婚したんだ。しっかりしたいからだよ」
「無理をするな」
「だってさー。初めての煌びやかなパーティーは、不安に思わないわけがないだろ。あんただって、同じじゃないの?……小学校へ入る時、怖くなかった?引っ込み思案な性格をしていたんだよね?俺みたいに、正門の前で立ち止まっただろ?」
「そうだった記憶がある。昨夜、伊吹君に電話をしていたんだろう。パーティーの振る舞い方のことで聞いたのか?」
「うん。お兄ちゃんと話すと落ち着くんだ。騒がしい人だから、かえってホッとするんだ」
「妬いても良いか?伊吹君なら初めての小学校にも戸惑わなかったんだろう」
「……うん。そうだったみたいだけど、半分は違うそうだよ。不安もあったみたいだよ。俺と万理から初日の感想を聞かれるからね。かっこ悪い話ができないし、不安にさせたくないから、面白かった部分だけを覚えて来たそうだよ。……あんたは末っ子だったもんね。俺にどう教えたらいいのか、戸惑っているだろ?これからも教えてよ。中間子はバランス感覚がいいけど、俺は不器用なタイプみたいなんだ。あんたに苦労させているから申し訳ない気分だよ」
「抱いてもいいか?」
「嬉しそうに笑うなよー」
お互いに茶化した。こういう時は温もりが欲しいから、黒崎の肩周りに両腕を回した。熱い息遣いが頬や耳元に感じて、勝手に身体が震えた。てっきり笑われるかと思ったのに、優しい微笑みを向けられた。困ったような嬉しいような感じだ。それに対して胸の鼓動が高鳴り、一気に顔が熱くなった。すると今度は、普段通りに笑われた。
「子供扱いするなよ……」
「何のことだ?……入浴剤の香りが好みのはずだ。ゆっくり入って落ち着こう」
「あんたと入ると、落ち着かないよ……」
着ているものが脱がされ、床へ落とされていった。お湯が溜まっていないのにと言い返すと、笑い声を立てながら、首筋へ吸いつかれた。そして、そばのソファーへ押し倒された後、黒崎が上半身を脱ぎ始めた。緩めたネクタイを外し、シャツも脱いだ。じっと見ていると、微笑まれた。
「……見たら悪いの?」
「やっと見てくれたから嬉しい。慣れたのか?」
「結婚したからだよ……。あの……」
「我慢できない。禁欲命令を解いてくれ」
「うん……」
裸の上半身を抱きしめて頷くと、肌同士が熱くなった。何度も角度を変えてキスをした。長く続くから息が苦しくなり、黒崎の肩を叩いた。すると、練習が必要だなと笑われて、胸元を押して離れてやった。
「すまない。可愛いからだ。もっと見せてくれ」
「やだ。向こうへ行く。こっちに……っ、やめろよ」
「やめても構わないのか?」
「ばかやろう……。んん……」
「愛している。強引なことはしない。家に帰った後なら、抱いてもいいか?」
「そういうことを言われると……」
「そうか」
優しい触れ合いが熱のこもったものに変わり、噛みつくようなキスをされた。肌を辿る指先までが熱くなり、何度も身体が震えて声を上げた。
両手や枕で口元を押さえて声を我慢していると、強引に外された。触れていない場所がないぐらいに全身にキスをされて、すっかり息が乱れた。恥ずかしい顔をしていると思う。それを見たいと囁かれて、ますます恥ずかしくなった。
「もっと聞かせてくれ。誰もいない部屋だぞ」
「この間みたいに……、喉が痛くなるよ。これは恥ずかしいって……」
「どういうものだ?」
「腰を……、知らないよ……っ」
よく分からないままに言い返すと、高く腰を持ち上げられた。両手でシーツを掴んで恥ずかしさを紛らわせていると、ゆっくりと抱き上げられた。どうしたのかと思っていると、黒崎の膝の上に座らされて、向かい合わせになった。
今朝から苛められた仕返しだと笑われた。頬をつねられたから、耳たぶを引っ張ってやった。今度は下唇を引っ張られたから、肩に噛みついた。エスカレートした結果、くすぐり合いに発展した。
空港で喧嘩をしたのが嘘だと思える。優しくて甘い時間を過ごした後、遅めの昼ご飯を食べに行くために、手を繋いで部屋を出た。
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