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最初のグループが自然とバラけた後、男女6人のグループの輪に入った。黒崎からこう言われた。黙っていていいということだった。でも、言われたとおりにしていると、本当に話の内容が分からなくなり、相づちすら打てなくなった。ぼんやりしていると、黒崎から話しかけられた。
「……そうだろう?」
「……え?」
「……夏樹。どうした?」
うわの空でいた。黒崎から名前を呼ばれて我に返ると、グループの6人からから視線を向けられていた。みんな笑顔だ。何か聞かれて返事をする必要があるのか。何を話していたのだろう。分からなくて、背中から冷や汗が流れた。変なことを言ってはいけないと思い、焦りながら笑顔を浮かべた。すると、黒崎が微笑んだ。
「この調子です。我儘を聞かないといけなくなるでしょう?」
「そうですね。あはは」
「黒崎社長の……」
周りが笑いに包まれて、心の中で落ち込んだ。失敗したのをフォローされたようだ。かっこ悪い気がした。
グループの笑い声が落ち着いた後、黒崎から肩を抱かれ、自然な流れで輪の中から抜け出した。向かった先は、中央から離れた壁の方だ。大勢の人から解放されて、安心してため息をついた。
「……さっきはごめん。何の話をしていたの?」
「謝らなくてもかまわない。俺が無理に連れてきたことと、今夜出るスイーツだけを楽しみにしていると話しておいた。お前が笑顔で頷いたから、一同が笑ったわけだ」
「そういう事だったんだ……。失敗したかと思ったよ」
「不安に思うな。全部フォローする」
「……ありがとう」
「のどが渇いているだろう?」
黒崎が近くにいたスタッフに声をかけ、ウーロン茶の入ったグラスが渡された。それを飲み干したところで、やっと心が落ち着いた。周りから見えないように立ち、視界を遮られたことでも安心した。周りから見えないし、こっちからも分からない。
そこまで思って、ある事に気づいた。今の黒崎がパーテーション代わりになり、社長室で過ごした時期と似ていることに。
あの頃、外の世界を拒んでいたのか、気力がなかったのかは分からない。間違いなく言えるのは、シャットアウトして守られていたという事だ。あの頃は必要だったが、今はどうだろうか。黒崎の肩越しに、招待客が立ち動いている様子や、会話が聞こえて来た。知らない海があり、そこへ飛び込もうとしているのに守られている。このままの位置でいいのだろうか。自分で泳げるようになりたいと思った。
「黒崎さん。不安なんだよ」
「どうした?」
「守られているのが怖いよ。ううん。もう平気!……部屋に戻らないよ。笑われたから嫌だったんだ。スイーツが食べたい。向こうへ……」
「本当にいいのか?」
「うん。どんなものがあるか見に行きたい」
「向こうにあるから行こう。ゆっくり食べられるぞ」
「あ……っ」
歩き始めたその時だ。背中をドンと押されて、前のめりになった。そして、次の瞬間、首に冷たい感触が起きて、首をすくめた。
「……そうだろう?」
「……え?」
「……夏樹。どうした?」
うわの空でいた。黒崎から名前を呼ばれて我に返ると、グループの6人からから視線を向けられていた。みんな笑顔だ。何か聞かれて返事をする必要があるのか。何を話していたのだろう。分からなくて、背中から冷や汗が流れた。変なことを言ってはいけないと思い、焦りながら笑顔を浮かべた。すると、黒崎が微笑んだ。
「この調子です。我儘を聞かないといけなくなるでしょう?」
「そうですね。あはは」
「黒崎社長の……」
周りが笑いに包まれて、心の中で落ち込んだ。失敗したのをフォローされたようだ。かっこ悪い気がした。
グループの笑い声が落ち着いた後、黒崎から肩を抱かれ、自然な流れで輪の中から抜け出した。向かった先は、中央から離れた壁の方だ。大勢の人から解放されて、安心してため息をついた。
「……さっきはごめん。何の話をしていたの?」
「謝らなくてもかまわない。俺が無理に連れてきたことと、今夜出るスイーツだけを楽しみにしていると話しておいた。お前が笑顔で頷いたから、一同が笑ったわけだ」
「そういう事だったんだ……。失敗したかと思ったよ」
「不安に思うな。全部フォローする」
「……ありがとう」
「のどが渇いているだろう?」
黒崎が近くにいたスタッフに声をかけ、ウーロン茶の入ったグラスが渡された。それを飲み干したところで、やっと心が落ち着いた。周りから見えないように立ち、視界を遮られたことでも安心した。周りから見えないし、こっちからも分からない。
そこまで思って、ある事に気づいた。今の黒崎がパーテーション代わりになり、社長室で過ごした時期と似ていることに。
あの頃、外の世界を拒んでいたのか、気力がなかったのかは分からない。間違いなく言えるのは、シャットアウトして守られていたという事だ。あの頃は必要だったが、今はどうだろうか。黒崎の肩越しに、招待客が立ち動いている様子や、会話が聞こえて来た。知らない海があり、そこへ飛び込もうとしているのに守られている。このままの位置でいいのだろうか。自分で泳げるようになりたいと思った。
「黒崎さん。不安なんだよ」
「どうした?」
「守られているのが怖いよ。ううん。もう平気!……部屋に戻らないよ。笑われたから嫌だったんだ。スイーツが食べたい。向こうへ……」
「本当にいいのか?」
「うん。どんなものがあるか見に行きたい」
「向こうにあるから行こう。ゆっくり食べられるぞ」
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歩き始めたその時だ。背中をドンと押されて、前のめりになった。そして、次の瞬間、首に冷たい感触が起きて、首をすくめた。
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