猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ

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出航

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 夕焼けの光が射し込む頃、俺達はマーレポルトの港街に到着することが出来た。

「お父様が船を手配して下さっています。皆様こちらへ」

 俺達はリズの案内で海がある方へと向かう。そして港に到着すると、そこには大きな船が停泊していた。ここで俺達は、思いもよらぬ人物と再会することとなる。 

「よく来たな! 俺がこの船の船長だ!」

 船の先端で仁王立ちしている男が声を上げたので視線を向けると、そこには俺達が知った顔の男がいた。

「「オゼアさん!」」

 予想していなかった人物に俺とリズは思わず声を上げてしまう。
 何でここにオゼアさんが! いや、元々帝国とムーンガーデン王国を繋ぐ船の船長をしていたんだ。ここにいてもおかしくないよな。

「ユ、ユートさん⋯⋯海賊がいますよ。悪さをする前に早く捕まえて下さい」
「違うからから。失礼だぞ」

 ルルが少し怯えた表情で右腕に抱きついてくる。
 オゼアさんを見て海賊と言うのもわからないでもない。目付きが悪く、海賊帽を被っており、真っ当な人間に見えないからな。

「ふっ!」

 オゼアさんは船から飛び降り、俺達の前で着地する。

「嬢ちゃんは初めて見る顔だな」

 鋭い目付きを向けられ、ルルは俺の後ろに隠れてしまう。

「俺のことを海賊だと?」

 どうやらルルが話していた内容が聞こえていたみたいだ。

「ごめんなさ⋯⋯」
「強ち間違いじゃねえけどな」

 ルルが謝罪の言葉を口にしようとした時、オゼアさんはとんでもないことを話し始める。

「えっ? それってどういう」
「前職は海賊だった。だがゲオルクのおっさんに説得されてな」
「お父様が⋯⋯」
「ああ⋯⋯王族なんて糞やろうしかいないと思っていたが、あの人は俺達みたいなクズともしっかり向き合ってくれたからな」

 ゲオルク国王は民からの評判はいいと言われていたけど、海賊を改心させるなんて凄いな。

「クーデターが起きたと聞いた時はびっくりしたぜ。俺もすぐにゲオルクのおっさんの元に駆けつけたかった⋯⋯」

 オゼアさんが神妙な顔をする。その表情を見て、オゼアさんのゲオルクさんに対する想いが相当高いことがわかる。

「だが俺にはおっさんから頼まれていたことがあった。もしムーンガーデンに禍が起きた時、民を他国へ逃がす手助けをしてほしいと」
「お父様がそのようなことを⋯⋯私が城から逃げる時に、お父様はマーレポルトの港で船に乗るよう仰っていましたが、そういう理由だったのですね」
「禍をもたらすのは漆黒の牙シュヴァルツファングだと思ったんだが。まさか弟にクーデターを起こされるとはな。まあ結果として姫さんを見つけることが出来て良かったぜ。無事にレッケの所に行くことが出来たようだしな」
「えっ? それって⋯⋯」

 オゼアさんはレッケさんとも繋がっていたってことか。それってもしかして⋯⋯
 俺はある結論にたどり着いたその時、マシロが俺の肩に乗り小さな声で呟いた。

「そういえば港から降りた後、私達の後をつける者がいましたね。その者がレッケにリズの居場所を知らせたのではないですか?」

 ニナさんを助けてグラザムから逃げた後、タイミングよくレッケさんが現れた。オゼアさんの部下がリズの居場所を知らせていた可能が高いな。
 それにしても⋯⋯

「何でその時に言ってくれなかったんだ?」
「誰が来ようと蹴散らしてやるつもりでした。それに私達が走って村を離れた後は、追いつくことが出来なかったようですし」

 蹴散らすってマシロらしいな。

「今度俺達をつけている奴がいたら教えてくれよ」
「仕方ないですね。新鮮な魚二匹で手を打ちましょう」

 相変わらず食い意地の張ったネコだな。
 でもそれで追手がわかるなら安いものだ。

「おい、こそこそ何を話しているんだ?」
「何でもないです。それよりオゼアさんがここにいると言うことは」
「もちろん俺がこの船で帝国へと連れていってやるぜ。今回はゲオルクのおっさんからの正式な依頼だからな。乗客もお前達だけだ」

 貸し切りということか。それはありがたいな。

「出航の準備は出来ている。後はお前達が乗るだけだ」
「ありがとうございます」

 俺達はオゼアさんの後に続き船に乗り込む。

「野郎共! 出港だ!」
「アイアイサー!!」

 オゼアさんと船員達の威勢のいい掛け声が聞こえると、夕陽の光を受けながら、船はバルトフェル帝国へと動き始めるのであった。

――――――

この度【狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・】改め【猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る】が、アルファポリス様より1月21日に書籍化されることが決定しました!
これも日頃より読者の皆様が応援して下さったおかげです。
書籍化によりマシロやノア、リズの可愛らしい絵が入り、小説の内容もより素敵なものになっております。
書店等で見かけた時、手に取って頂けると幸いです。
今後とも【猫を拾ったら・・・】をよろしくお願い致します。













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