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頼りになる援軍
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「くっ!」
俺はデッキの柵に捕まることで、傾いた船から海に落ちることを何とか回避する。
「エルフは水の中で呼吸をすることが出来ませんわ。嘘じゃないわ」
「にゃにゃっ! にゃあぁぁっ!」
フィーナとマシロは変わらず混乱しており、俺にしがみついている。このままだと魔物の討伐に行けないぞ。
もし二人を引き剥がしたら、益々パニックになってしまいそうだ。
俺はどうすれば魔物を倒しに行けるか考える。するとこの場に救世主が現れた。
「ユート様!」
「わん!」
「リズ、ノア!」
二人は階段を駆け昇り、デッキへと上がってきた。
「助かった! リズ、悪いけどマシロとフィーナを頼む」
「えっ? えっ? よくわかりませんがわかりました」
俺はマシロとフィーナを引き剥がして、リズに任せることにした。
「にゃあにゃあ!」
「水の中では呼吸をすることが出来ませんわ。嘘じゃないわ」
二人は新しく頼るべき人を見つけたため、さっき俺にしたようにリズに抱きつく。
「ああっ! 何故だかわかりませんが、二人に頼られてとても幸せです」
リズも嬉しそうで何よりだ。
俺は自由になったため、魔物を確認するためにデッキの柵から海を覗く。
すると白い巨体を確認することができ、ようやく敵の正体がわかった。
「イカ⋯⋯だと⋯⋯」
しかしただのイカじゃない。その大きさが桁違いなのだ。本体だけで十メートル、触手を入れれば二十メートルはありそうだぞ。
「げっ! あれはクラーケンじゃねえか! 何でこんな場所にいるんだ!」
どうやらこの騒ぎで、オゼアさんや数名の船員達がこの場に駆けつけてきたようだ。
クラーケン⋯⋯前の世界で聞いたことがあるぞ。確か海の脅威の象徴として恐れられ、いくつもの船を沈め、人の命を奪った怪物とされている。
この世界のクラーケンが同じ意味持つかわからないが、嫌な予感しかしない。
「奴が沈めた船は数知れず。俺達船乗りにとって天敵のような存在だ!」
当たってほしくなかったが、どうやらこの世界のクラーケンも、俺の想像と大きな違いはなさそうだ。
「せ、船長⋯⋯ここは逃げた方が⋯⋯」
「いや、ここまで取りつかれたら逃げるのは無理だ。倒すしかねえ」
「わかりました!」
「ドタマに一発食らわしてやれ!」
船員達が銛を持ち、一斉にクラーケンに向かって投げる。
その数は十を越える。ここが陸だったら銛はクラーケンに届いただろう。しかしクラーケンは海の中に潜り、船員達の攻撃をかわした。
これは厄介だな。的は大きいけど海の中に逃げられたら攻撃を当てるのは難しいぞ。
今のを見てもわかるが、船員が投げる銛は余裕でかわされていた。相当早いスピードの攻撃でなければ厳しそうだ。
一応速い攻撃を放てる者に心当たりはあるけど⋯⋯
俺はチラリと後方に視線を向ける。
「海の水はしょっぱいって有名ですわ。嘘じゃないわ」
フィーナの矢なら、クラーケンが潜る前にダメージを与えられるかもしれないけど、あの様子ではとてもじゃないが無理だ。マシロもフィーナと同様に戦える状態じゃない。
戦力が半減しているけど、俺にはまだ心強い仲間がいる。
「ユートさん」
ノアが俺の肩に乗る。
「魔法を使っても大丈夫ですか?」
ここにはオゼアさんや多くの船員がいる。なるべくならノアの魔法を見られたくない所だけど、出し惜しみをして船が沈められたら元も子もない。
それに何より、フィーナとマシロがこの状況を怖がっているため、早期に決着をつけるべきだ。
「頼む。だけど喋るのはなしで」
「わん」
さすがに喋る犬となると、色々誤魔化しがきかなくなる。魔法だけなら珍しいペットとして、何とかなるかもしれない。それに今船員達はクラーケンに集中しているため、ノアのこと気にしている暇はないだろう。
クラーケンは今海の中に潜っている。
次に海から出てきた時に仕留めてみせる。
俺は海へと意識を向け、クラーケンが出てくるのを待つ。
一番最悪なのは、潜ったまま船底を攻撃されることだ。その場合は、こっちも海に飛び込むしかない。
しかし俺の考えは杞憂に終わった。
クラーケンが、再び海面に上がってきたのだ。
「 氷柱槍魔法」
ノアが絶妙のタイミングで魔法を放つと五本の氷の槍が、クラーケンへと向かっていく。
船員達も一斉に銛を投げるが、ノアの魔法の方が速い。
「当たれ!」
俺は願望を込めて叫ぶ。
もしダメージを与えられるようだったら、そのままクラーケンの元へと飛び降り、神剣でとどめを刺す。
だが俺の願いに反して、クラーケンは再び海へと潜り、攻撃をかわした。
「避けられたか!」
今の攻撃が当たらないなら、このままクラーケンを倒すのは難しそうだ。何か他の手を考えた方がいいかもしれない。
しかしクラーケンを倒す方法を考えていると、再び船が大きく揺れた。
クラーケンの姿は見えない。どうやら海の中から船を攻撃しているようだ。
「くそっ!」
俺はノアを抱き上げ、デッキの柵に捕まる。
激しい揺れだったが、俺達は海に投げ出されることはなかった。
「きゃぁぁぁっ!」
突如大きな悲鳴が周囲に木霊する。
この声はフィーナやリズのものではない。
まさか⋯⋯
俺は声がする方に視線を向ける。するとルルが海へと放り出される姿が目に入るのであった。
俺はデッキの柵に捕まることで、傾いた船から海に落ちることを何とか回避する。
「エルフは水の中で呼吸をすることが出来ませんわ。嘘じゃないわ」
「にゃにゃっ! にゃあぁぁっ!」
フィーナとマシロは変わらず混乱しており、俺にしがみついている。このままだと魔物の討伐に行けないぞ。
もし二人を引き剥がしたら、益々パニックになってしまいそうだ。
俺はどうすれば魔物を倒しに行けるか考える。するとこの場に救世主が現れた。
「ユート様!」
「わん!」
「リズ、ノア!」
二人は階段を駆け昇り、デッキへと上がってきた。
「助かった! リズ、悪いけどマシロとフィーナを頼む」
「えっ? えっ? よくわかりませんがわかりました」
俺はマシロとフィーナを引き剥がして、リズに任せることにした。
「にゃあにゃあ!」
「水の中では呼吸をすることが出来ませんわ。嘘じゃないわ」
二人は新しく頼るべき人を見つけたため、さっき俺にしたようにリズに抱きつく。
「ああっ! 何故だかわかりませんが、二人に頼られてとても幸せです」
リズも嬉しそうで何よりだ。
俺は自由になったため、魔物を確認するためにデッキの柵から海を覗く。
すると白い巨体を確認することができ、ようやく敵の正体がわかった。
「イカ⋯⋯だと⋯⋯」
しかしただのイカじゃない。その大きさが桁違いなのだ。本体だけで十メートル、触手を入れれば二十メートルはありそうだぞ。
「げっ! あれはクラーケンじゃねえか! 何でこんな場所にいるんだ!」
どうやらこの騒ぎで、オゼアさんや数名の船員達がこの場に駆けつけてきたようだ。
クラーケン⋯⋯前の世界で聞いたことがあるぞ。確か海の脅威の象徴として恐れられ、いくつもの船を沈め、人の命を奪った怪物とされている。
この世界のクラーケンが同じ意味持つかわからないが、嫌な予感しかしない。
「奴が沈めた船は数知れず。俺達船乗りにとって天敵のような存在だ!」
当たってほしくなかったが、どうやらこの世界のクラーケンも、俺の想像と大きな違いはなさそうだ。
「せ、船長⋯⋯ここは逃げた方が⋯⋯」
「いや、ここまで取りつかれたら逃げるのは無理だ。倒すしかねえ」
「わかりました!」
「ドタマに一発食らわしてやれ!」
船員達が銛を持ち、一斉にクラーケンに向かって投げる。
その数は十を越える。ここが陸だったら銛はクラーケンに届いただろう。しかしクラーケンは海の中に潜り、船員達の攻撃をかわした。
これは厄介だな。的は大きいけど海の中に逃げられたら攻撃を当てるのは難しいぞ。
今のを見てもわかるが、船員が投げる銛は余裕でかわされていた。相当早いスピードの攻撃でなければ厳しそうだ。
一応速い攻撃を放てる者に心当たりはあるけど⋯⋯
俺はチラリと後方に視線を向ける。
「海の水はしょっぱいって有名ですわ。嘘じゃないわ」
フィーナの矢なら、クラーケンが潜る前にダメージを与えられるかもしれないけど、あの様子ではとてもじゃないが無理だ。マシロもフィーナと同様に戦える状態じゃない。
戦力が半減しているけど、俺にはまだ心強い仲間がいる。
「ユートさん」
ノアが俺の肩に乗る。
「魔法を使っても大丈夫ですか?」
ここにはオゼアさんや多くの船員がいる。なるべくならノアの魔法を見られたくない所だけど、出し惜しみをして船が沈められたら元も子もない。
それに何より、フィーナとマシロがこの状況を怖がっているため、早期に決着をつけるべきだ。
「頼む。だけど喋るのはなしで」
「わん」
さすがに喋る犬となると、色々誤魔化しがきかなくなる。魔法だけなら珍しいペットとして、何とかなるかもしれない。それに今船員達はクラーケンに集中しているため、ノアのこと気にしている暇はないだろう。
クラーケンは今海の中に潜っている。
次に海から出てきた時に仕留めてみせる。
俺は海へと意識を向け、クラーケンが出てくるのを待つ。
一番最悪なのは、潜ったまま船底を攻撃されることだ。その場合は、こっちも海に飛び込むしかない。
しかし俺の考えは杞憂に終わった。
クラーケンが、再び海面に上がってきたのだ。
「 氷柱槍魔法」
ノアが絶妙のタイミングで魔法を放つと五本の氷の槍が、クラーケンへと向かっていく。
船員達も一斉に銛を投げるが、ノアの魔法の方が速い。
「当たれ!」
俺は願望を込めて叫ぶ。
もしダメージを与えられるようだったら、そのままクラーケンの元へと飛び降り、神剣でとどめを刺す。
だが俺の願いに反して、クラーケンは再び海へと潜り、攻撃をかわした。
「避けられたか!」
今の攻撃が当たらないなら、このままクラーケンを倒すのは難しそうだ。何か他の手を考えた方がいいかもしれない。
しかしクラーケンを倒す方法を考えていると、再び船が大きく揺れた。
クラーケンの姿は見えない。どうやら海の中から船を攻撃しているようだ。
「くそっ!」
俺はノアを抱き上げ、デッキの柵に捕まる。
激しい揺れだったが、俺達は海に投げ出されることはなかった。
「きゃぁぁぁっ!」
突如大きな悲鳴が周囲に木霊する。
この声はフィーナやリズのものではない。
まさか⋯⋯
俺は声がする方に視線を向ける。するとルルが海へと放り出される姿が目に入るのであった。
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四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
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