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戦いの後
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神剣がクラーケンの目に突き刺さる。
だがクラーケンの体当たりは止まらず、俺は船まで吹き飛ばされて海に落ちる。
「ぐはぁっ!」
急所を突くことが出来たけど、あれだけの巨体だ。目を刺したくらいでは倒すことは出来ないだろう。
ともかく海の中は危険だ。ここは奴のテリトリーだから早く地上に戻らないと。
俺は水をかき、空気を求めて海面へと向かう。
「ぷはっ! クラーケンはどこだ? どこにいる!」
急ぎ周囲を確認するが、クラーケンの姿は見えない。もしかして海の中から攻撃を仕掛けてくるつもりなのか?
俺は顔を海につけてクラーケンを探す。
前後左右に視線を向けるが、やはりクラーケンの姿はない。
これは海の中から脱出する絶好の機会だな。
俺は船に戻るために足場を探す。
すると上から何かが落ちてきた。
「ユート掴まれ」
上を見上げると、オゼアさんがこちらに向かってロープを投げてくれた。
「ありがたい」
「しっかり掴まってろよ」
「わかりました」
「よし! 野郎ども行くぞ!」
俺はしっかりロープに掴まる。するとオゼアさんと船員達が、力を合わせてロープを引っ張ってくれた。
「ふう⋯⋯」
デッキへと戻ることができ、安堵のため息をつく。
やはり足がつく場所はいいな。改めて人は海ではなく、地上で生きる生き物だと理解した。
「ユートさん!」
デッキに上がった俺の元に、ルルが走ってくる。
そしてそのままの勢いで、胸に飛び込んできた。
「大丈夫ですか!」
「ああ、ルルこそ大丈夫か?」
「私のことなんかどうでもいいんです。それより嘘をつかないでくれますか? その腕⋯⋯痛くないわけないです」
「腕?」
俺はルルが指差す左腕に視線を向ける。すると二の腕の一部分が紫に染まっていた。
「な、何だこれ!」
もしかしてクラーケンに体当たりを食らった時に出来たのか。怪我をしていることを認識したら、途端に痛くなってきた。
「ごめんなさい⋯⋯私を助けるために⋯⋯」
普段元気なルルがシュンとなってしまう。
「いや、見た目程痛くはないから」
ここで痛いと言ったら、益々自分のせいだと思ってしまう。左腕に激痛が走るが、男の子なので我慢する。
「それに魔法で治せ⋯⋯」
「ユート様! 大丈夫ですか!」
俺が言葉を言い終わる前にリズが駆け寄ってきて、左腕に手を添えてきた。
「光回復魔法」
リズの掌から暖かい光が放たれる。
すると腕の痛みが少しずつ引いていくのがわかった。
何だか自分で使う回復魔法より、優しい光に感じるのは気の所為だろうか。
それにしても⋯⋯
「いつの間に回復魔法が使えるようになったんだ」
「少しでもお役に立ちたくて⋯⋯ユート様がエルフの国に行かれている間に練習しました」
「それなら練習の成果はバッチリだな。もう痛くないよ。ありがとう」
「どういたしまして」
紫に染まっていた二の腕は元通りになっており、さっきまで怪我をしていたのが嘘のようだ。
「ユートさん⋯⋯良かった⋯⋯です」
「この通り、怪我は治ったから気にするな」
自分のせいで怪我をしたと憂いているルルに、左腕を見せる。
「そうですね」
ルルは笑顔で応える。
これで少しはルルの気持ちも楽になるだろう。
しかしこれは本当の顔ではなかった。
戦闘中だったこともあり、俺はルルの異変に気づくことが出来なかった。
「そういえばリズに抱きついていたフィーナとマシロは⋯⋯」
「残念ですがお二人はあちらに」
リズは悲しそうな表情で視線を向けた先には、何事もなかったかのように振る舞っている二人がいた。
ん? 何事もなかったかのように? ということは、クラーケンはもう⋯⋯
何かが後ろから俺の肩に乗ってくる。そして小声で耳元に呟いてきた。
「クラーケンは周囲にはいません」
ノアがクラーケンの様子を教えてくれる。
探知のプロのノアが言うなら、クラーケンは近くにいないのだろう。
だがそのことを知らないオゼアさんと船員達は、必死にクラーケンを探している。
「きっとユートさんの攻撃に恐れをなして逃げたと思います」
「だから二人は平然としているのか」
フィーナとマシロと目が合う。
すると今の俺の言葉が聞こえていたのか、二人がこちらに近づいてきた。
だがクラーケンの体当たりは止まらず、俺は船まで吹き飛ばされて海に落ちる。
「ぐはぁっ!」
急所を突くことが出来たけど、あれだけの巨体だ。目を刺したくらいでは倒すことは出来ないだろう。
ともかく海の中は危険だ。ここは奴のテリトリーだから早く地上に戻らないと。
俺は水をかき、空気を求めて海面へと向かう。
「ぷはっ! クラーケンはどこだ? どこにいる!」
急ぎ周囲を確認するが、クラーケンの姿は見えない。もしかして海の中から攻撃を仕掛けてくるつもりなのか?
俺は顔を海につけてクラーケンを探す。
前後左右に視線を向けるが、やはりクラーケンの姿はない。
これは海の中から脱出する絶好の機会だな。
俺は船に戻るために足場を探す。
すると上から何かが落ちてきた。
「ユート掴まれ」
上を見上げると、オゼアさんがこちらに向かってロープを投げてくれた。
「ありがたい」
「しっかり掴まってろよ」
「わかりました」
「よし! 野郎ども行くぞ!」
俺はしっかりロープに掴まる。するとオゼアさんと船員達が、力を合わせてロープを引っ張ってくれた。
「ふう⋯⋯」
デッキへと戻ることができ、安堵のため息をつく。
やはり足がつく場所はいいな。改めて人は海ではなく、地上で生きる生き物だと理解した。
「ユートさん!」
デッキに上がった俺の元に、ルルが走ってくる。
そしてそのままの勢いで、胸に飛び込んできた。
「大丈夫ですか!」
「ああ、ルルこそ大丈夫か?」
「私のことなんかどうでもいいんです。それより嘘をつかないでくれますか? その腕⋯⋯痛くないわけないです」
「腕?」
俺はルルが指差す左腕に視線を向ける。すると二の腕の一部分が紫に染まっていた。
「な、何だこれ!」
もしかしてクラーケンに体当たりを食らった時に出来たのか。怪我をしていることを認識したら、途端に痛くなってきた。
「ごめんなさい⋯⋯私を助けるために⋯⋯」
普段元気なルルがシュンとなってしまう。
「いや、見た目程痛くはないから」
ここで痛いと言ったら、益々自分のせいだと思ってしまう。左腕に激痛が走るが、男の子なので我慢する。
「それに魔法で治せ⋯⋯」
「ユート様! 大丈夫ですか!」
俺が言葉を言い終わる前にリズが駆け寄ってきて、左腕に手を添えてきた。
「光回復魔法」
リズの掌から暖かい光が放たれる。
すると腕の痛みが少しずつ引いていくのがわかった。
何だか自分で使う回復魔法より、優しい光に感じるのは気の所為だろうか。
それにしても⋯⋯
「いつの間に回復魔法が使えるようになったんだ」
「少しでもお役に立ちたくて⋯⋯ユート様がエルフの国に行かれている間に練習しました」
「それなら練習の成果はバッチリだな。もう痛くないよ。ありがとう」
「どういたしまして」
紫に染まっていた二の腕は元通りになっており、さっきまで怪我をしていたのが嘘のようだ。
「ユートさん⋯⋯良かった⋯⋯です」
「この通り、怪我は治ったから気にするな」
自分のせいで怪我をしたと憂いているルルに、左腕を見せる。
「そうですね」
ルルは笑顔で応える。
これで少しはルルの気持ちも楽になるだろう。
しかしこれは本当の顔ではなかった。
戦闘中だったこともあり、俺はルルの異変に気づくことが出来なかった。
「そういえばリズに抱きついていたフィーナとマシロは⋯⋯」
「残念ですがお二人はあちらに」
リズは悲しそうな表情で視線を向けた先には、何事もなかったかのように振る舞っている二人がいた。
ん? 何事もなかったかのように? ということは、クラーケンはもう⋯⋯
何かが後ろから俺の肩に乗ってくる。そして小声で耳元に呟いてきた。
「クラーケンは周囲にはいません」
ノアがクラーケンの様子を教えてくれる。
探知のプロのノアが言うなら、クラーケンは近くにいないのだろう。
だがそのことを知らないオゼアさんと船員達は、必死にクラーケンを探している。
「きっとユートさんの攻撃に恐れをなして逃げたと思います」
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フィーナとマシロと目が合う。
すると今の俺の言葉が聞こえていたのか、二人がこちらに近づいてきた。
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