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穏やかな旅は許されない
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夜が明けて朝が来た。
昨日は、ドアに鍵をかけてもマシロが部屋に突入してくるんじゃないかと思っていた。しかし昨夜は静かなもので、ぐっすりと眠ることが出来た。
怒りが収まったのか、それともマシロ自身に何かがあったのか。それはこの後すぐにわかった。
朝食を食べるために部屋の外に出ると、フィーナの肩に乗ったマシロの姿が見えた。
「ユートおはよう♪」
「お、おはよう」
朝から上機嫌なフィーナ。そしてそれとは反対にげっそりとしているマシロ。このことから昨晩俺と別れた後、マシロはフィーナに捕まって抱きしめられながら朝を迎えたことが理解出来た。
もう俺をどうこうする気力はないように見える。
朝食も平和に迎えることができて、各自部屋に戻り出発の準備をする。
このまま何事もなければ、帝都まで数日で着くことが出来る。
だけどチェックアウトをしていると、宿屋の店主が気になること口にしていた。
「あんた達帝都に行くのかい?」
「はい」
「今は西側に迂回しないと行けないよ」
「えっ? それはどういうことてすか?」
ここから南にあるカバチ村に行って、そこから東に向かえば帝都に到着することが出来る。
だが店主は西側に向かえと言っているので、どうしてか問い質す。
「今、南の街道は地盤が脆くなっていてな。いつ崩れるかわからないから、通行止めになっているんだ」
「地盤が脆く? それは危険ですね」
「ああ。兵士が道を塞いでいるから今は通れないよ。東は山道になるから越えるのは止めた方がいい。今の時期だとまだ雪が積もっているからな。安全を重視するなら、西側から迂回してカバチ村に行き、そこから帝都を目指すしかないってことだ」
「そうですか。教えてくれてありがとございます」
「良いってことよ。兄ちゃん達気をつけてな」
俺達は有益な情報をくれた店主に頭を下げ、宿屋を後にする。
「ここは店主が言うように、西側からカバチ村に行くしかないな」
俺の言葉に誰も反論するものはいなかった。
いつ地面が崩れるかわからない所を歩くのも、寒いのも嫌だよな。特にマシロは寒いのが苦手だから、後者を嫌がりそうだ。
俺達は街道を西に進む。この先にはダーメリアという小さな街があるはずだ。
その街から南に下るとランザックの街があり、ランザックから東に向かうとカバチ村へと到着する。
予定より四日程かかることになってしまうが、安全面を考えるとしかたないことだ。
それに俺だけならともかく、王女であるリズとフィーナ、公爵令嬢であるルルを危険な目に遭わせる訳にはいかない。
そして二日程西へと向かうと、遠くに建物が見えてきた。
「やっと街に着きましたか。野宿では疲れが取れないから、早くベッドで寝たいです」
リズの肩に乗ったマシロが、ため息をつきながらぼやく。
マシロはこの二日間、ずっと誰かの肩に乗っていたから疲れてないだろっとツッコミたかったが、余計なことをして、盗み聞きしていた件を蒸し返されると嫌なので黙っていることにした。
「でも私は野宿も好きですよ」
楽しそうな表情でリズが答える。
「私には野宿の良さがわかりませんね。毎日温かい布団で寝ていたいです」
「皆様と同じ空間で、夜遅くまでおしゃべりするの楽しいじゃないですか」
「そうですか? 私は早く寝たいです」
どっちの意見もわかるため、どちらにも肩入れせず、二人の会話を眺めている。
平和だなあ。船ではクラーケンに襲われて酷い目に遭ったけど、やはり旅は穏やかに過ごしたいものだ。
帝都に到着するまで、この平和が続くといいけど。
しかし俺が余計なことを考えたせいでフラグが立ってしまったのか、マシロが急にリズの肩から降りて前方を威嚇する。
「マ、マシロどうした?」
「にゃあぁぁぁっ!」
よく見ると威嚇しているのはマシロだけじゃなかった。
「うぅぅぅっ⋯⋯わん!」
ノアもマシロと同じような行動を取っている。
二人とも毛が逆立っているし、いったい何が起こっているだ。
「マ、マシロちゃん⋯⋯」
「ノアさんどうしたの?」
「な、何事ですか」
リズ達もマシロとノアの様子を見て困惑している。
「二人とも⋯⋯本当にどうしたんだ?」
マシロとノアが視線を送る先には何も見えない。
平原であるため、何かが隠れている様子もない。あるの遠くに見える街の建物だけだ。
しかしマシロとノアは、俺達にはわからない何かを感じ取っているんだ。
俺は再度二人が見ている方角へ視線を送る。
すると二人が神妙な顔で口を開いた。
「「来ます」」
二人が言葉を発したと同時に、前方にあるダーメリアの街が光に包まれるのであった。
昨日は、ドアに鍵をかけてもマシロが部屋に突入してくるんじゃないかと思っていた。しかし昨夜は静かなもので、ぐっすりと眠ることが出来た。
怒りが収まったのか、それともマシロ自身に何かがあったのか。それはこの後すぐにわかった。
朝食を食べるために部屋の外に出ると、フィーナの肩に乗ったマシロの姿が見えた。
「ユートおはよう♪」
「お、おはよう」
朝から上機嫌なフィーナ。そしてそれとは反対にげっそりとしているマシロ。このことから昨晩俺と別れた後、マシロはフィーナに捕まって抱きしめられながら朝を迎えたことが理解出来た。
もう俺をどうこうする気力はないように見える。
朝食も平和に迎えることができて、各自部屋に戻り出発の準備をする。
このまま何事もなければ、帝都まで数日で着くことが出来る。
だけどチェックアウトをしていると、宿屋の店主が気になること口にしていた。
「あんた達帝都に行くのかい?」
「はい」
「今は西側に迂回しないと行けないよ」
「えっ? それはどういうことてすか?」
ここから南にあるカバチ村に行って、そこから東に向かえば帝都に到着することが出来る。
だが店主は西側に向かえと言っているので、どうしてか問い質す。
「今、南の街道は地盤が脆くなっていてな。いつ崩れるかわからないから、通行止めになっているんだ」
「地盤が脆く? それは危険ですね」
「ああ。兵士が道を塞いでいるから今は通れないよ。東は山道になるから越えるのは止めた方がいい。今の時期だとまだ雪が積もっているからな。安全を重視するなら、西側から迂回してカバチ村に行き、そこから帝都を目指すしかないってことだ」
「そうですか。教えてくれてありがとございます」
「良いってことよ。兄ちゃん達気をつけてな」
俺達は有益な情報をくれた店主に頭を下げ、宿屋を後にする。
「ここは店主が言うように、西側からカバチ村に行くしかないな」
俺の言葉に誰も反論するものはいなかった。
いつ地面が崩れるかわからない所を歩くのも、寒いのも嫌だよな。特にマシロは寒いのが苦手だから、後者を嫌がりそうだ。
俺達は街道を西に進む。この先にはダーメリアという小さな街があるはずだ。
その街から南に下るとランザックの街があり、ランザックから東に向かうとカバチ村へと到着する。
予定より四日程かかることになってしまうが、安全面を考えるとしかたないことだ。
それに俺だけならともかく、王女であるリズとフィーナ、公爵令嬢であるルルを危険な目に遭わせる訳にはいかない。
そして二日程西へと向かうと、遠くに建物が見えてきた。
「やっと街に着きましたか。野宿では疲れが取れないから、早くベッドで寝たいです」
リズの肩に乗ったマシロが、ため息をつきながらぼやく。
マシロはこの二日間、ずっと誰かの肩に乗っていたから疲れてないだろっとツッコミたかったが、余計なことをして、盗み聞きしていた件を蒸し返されると嫌なので黙っていることにした。
「でも私は野宿も好きですよ」
楽しそうな表情でリズが答える。
「私には野宿の良さがわかりませんね。毎日温かい布団で寝ていたいです」
「皆様と同じ空間で、夜遅くまでおしゃべりするの楽しいじゃないですか」
「そうですか? 私は早く寝たいです」
どっちの意見もわかるため、どちらにも肩入れせず、二人の会話を眺めている。
平和だなあ。船ではクラーケンに襲われて酷い目に遭ったけど、やはり旅は穏やかに過ごしたいものだ。
帝都に到着するまで、この平和が続くといいけど。
しかし俺が余計なことを考えたせいでフラグが立ってしまったのか、マシロが急にリズの肩から降りて前方を威嚇する。
「マ、マシロどうした?」
「にゃあぁぁぁっ!」
よく見ると威嚇しているのはマシロだけじゃなかった。
「うぅぅぅっ⋯⋯わん!」
ノアもマシロと同じような行動を取っている。
二人とも毛が逆立っているし、いったい何が起こっているだ。
「マ、マシロちゃん⋯⋯」
「ノアさんどうしたの?」
「な、何事ですか」
リズ達もマシロとノアの様子を見て困惑している。
「二人とも⋯⋯本当にどうしたんだ?」
マシロとノアが視線を送る先には何も見えない。
平原であるため、何かが隠れている様子もない。あるの遠くに見える街の建物だけだ。
しかしマシロとノアは、俺達にはわからない何かを感じ取っているんだ。
俺は再度二人が見ている方角へ視線を送る。
すると二人が神妙な顔で口を開いた。
「「来ます」」
二人が言葉を発したと同時に、前方にあるダーメリアの街が光に包まれるのであった。
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