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深まる謎
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ダーメリアの探索をした後、俺とマシロは街外れにいるリズ達の元へと戻った。
「ユート様!」
「ユートさん!」
俺達の姿を見つけると、リズとルルはこちらに駆け寄ってきた。
「無事に戻られて安心しました」
「街はどんな様子だったんですか?」
二人共安堵のため息をついていた。
そして二人の後ろから、フィーナがゆっくりとこちらに近づいてくる。
「マシロさんもいたし、私は別に心配してなかったわ」
フィーナはいつも通り、少しツンツンした様子で話しかけてきた。
だけどそれは本心ではないことがすぐにわかった。何故ならヨーゼフさんが、俺達がダーメリアに向かった後のことを話してくれたからだ。
「おや、フィーナ様はずっと辺りをウロウロされていましたよね?」
「し、してたけど⋯⋯二人が心配だからじゃないわ。そう⋯⋯時間が空いたから、食べられる野草を探していただけよ!」
「本当ですか?」
「そ、そうよ」
「ではその野草をお見せ下さい」
「えっ! そ、それは⋯⋯」
フィーナの手に何もないことは見てわかる。野草を探していたという証言は嘘だな。
「べ、別にユートを心配してウロウロしていた訳じゃないわ。マシロさんが心配だったからよ」
それも少しひどくね?
あの怪しい光が降り注いだ街に行くのは、けっこう勇気がいる行動だったんだぞ。
「私はユート殿とマシロ殿のことを仰った訳ではありませんが。やはりフィーナ様は二人のことがとても心配だったのですね」
「も、もうそれでいいわ! それより街の様子はどうだったの? もったいつけてないで早く教えて!」
とうとうフィーナが認めた。やはりなんだかんだ言って、フィーナは俺のことも心配してくれていたようだ。
「これは見事なツンデレというやつですね」
ルルの言う通りだ。ツンデレという言葉はフィーナにこそ相応しいだろう。
「ツンデレ? そういえばフィーナさんの称号にはツン⋯⋯」
「ちょっとリズ! それ以上は口にしちゃダメよ! 私達友達でしょ?」
「と、友達⋯⋯そうですね。友達です。私は何も喋りませんよ」
友達とはリズの弱点をついた良い作戦だな。これでリズがフィーナのことについて喋ることはないと思われた。しかしルルはさらに上をいく策略を出してきた。
「リズさん、私もお友達ですよね」
「もちろんです」
「それではフィーナさんの称号を教えて下さい」
「わかりました。フィーナさんの称号は・・・うぅっ」
リズはフィーナの秘密を口にしようとする。だけどフィーナがリズの口を両手で塞いだ。
「わわっ! そんなことより街の様子はどうだったの? 誰か人はいたの?」
「そうですね。それは気になります」
ルルも街の様子の方が気になるのか、称号のことについてさらに問いかけることはせず、こちらに視線を送ってきた。
ルルだけではなく、皆の目が俺に集まる。
「街には魔物がいた。それと一人だけ人がいたけど魔物に殺られてもう・・・」
あの中年男性のことは、西方の国からあの魔物を倒しに来たことしかわからなかった。もしあの人が生きていたら、街のことも何かわかったのかもしれない。
「まさかその魔物にみんな殺されたの?」
「いや、確かにその魔物は特殊だった。でも街の人達全員が殺されたようには見えなかった」
「それなら街の人達は避難したってこと?」
「正直な話、どうして人がいないのか見当もつかない」
誰もが信じられないと言った表情をしていた。
その気持ちはわかる。俺もまさかあの中年男性しかいないとは思わなかったからな。
だけどこの時、マシロが気になることを口にした。
「動物も・・・魔物と一人の人間以外、生物があの街にはいませんでした」
「生物がいない? そんなバカなことがあり得るの?」
フィーナが驚くのも無理もない。
飼っていた動物や、野良の猫もいたはずだ。だけど何もいないなんて異常過ぎる。やはりあの光が関係しているのだろうか。
この異常事態に、全員の表情が暗くなる。
予想していた以上の出来事なため、考えても何が何なのかわからない。それなら今は考えるより行動するべきだな。
「とにかく今回の件を帝国に伝えた方がいいな。急いで帝都へ向かおう」
こうしてこの異常事態を知らせるために、俺達はダーメリアへは寄らず、急ぎ帝都へと向かうのであった。
「ユート様!」
「ユートさん!」
俺達の姿を見つけると、リズとルルはこちらに駆け寄ってきた。
「無事に戻られて安心しました」
「街はどんな様子だったんですか?」
二人共安堵のため息をついていた。
そして二人の後ろから、フィーナがゆっくりとこちらに近づいてくる。
「マシロさんもいたし、私は別に心配してなかったわ」
フィーナはいつも通り、少しツンツンした様子で話しかけてきた。
だけどそれは本心ではないことがすぐにわかった。何故ならヨーゼフさんが、俺達がダーメリアに向かった後のことを話してくれたからだ。
「おや、フィーナ様はずっと辺りをウロウロされていましたよね?」
「し、してたけど⋯⋯二人が心配だからじゃないわ。そう⋯⋯時間が空いたから、食べられる野草を探していただけよ!」
「本当ですか?」
「そ、そうよ」
「ではその野草をお見せ下さい」
「えっ! そ、それは⋯⋯」
フィーナの手に何もないことは見てわかる。野草を探していたという証言は嘘だな。
「べ、別にユートを心配してウロウロしていた訳じゃないわ。マシロさんが心配だったからよ」
それも少しひどくね?
あの怪しい光が降り注いだ街に行くのは、けっこう勇気がいる行動だったんだぞ。
「私はユート殿とマシロ殿のことを仰った訳ではありませんが。やはりフィーナ様は二人のことがとても心配だったのですね」
「も、もうそれでいいわ! それより街の様子はどうだったの? もったいつけてないで早く教えて!」
とうとうフィーナが認めた。やはりなんだかんだ言って、フィーナは俺のことも心配してくれていたようだ。
「これは見事なツンデレというやつですね」
ルルの言う通りだ。ツンデレという言葉はフィーナにこそ相応しいだろう。
「ツンデレ? そういえばフィーナさんの称号にはツン⋯⋯」
「ちょっとリズ! それ以上は口にしちゃダメよ! 私達友達でしょ?」
「と、友達⋯⋯そうですね。友達です。私は何も喋りませんよ」
友達とはリズの弱点をついた良い作戦だな。これでリズがフィーナのことについて喋ることはないと思われた。しかしルルはさらに上をいく策略を出してきた。
「リズさん、私もお友達ですよね」
「もちろんです」
「それではフィーナさんの称号を教えて下さい」
「わかりました。フィーナさんの称号は・・・うぅっ」
リズはフィーナの秘密を口にしようとする。だけどフィーナがリズの口を両手で塞いだ。
「わわっ! そんなことより街の様子はどうだったの? 誰か人はいたの?」
「そうですね。それは気になります」
ルルも街の様子の方が気になるのか、称号のことについてさらに問いかけることはせず、こちらに視線を送ってきた。
ルルだけではなく、皆の目が俺に集まる。
「街には魔物がいた。それと一人だけ人がいたけど魔物に殺られてもう・・・」
あの中年男性のことは、西方の国からあの魔物を倒しに来たことしかわからなかった。もしあの人が生きていたら、街のことも何かわかったのかもしれない。
「まさかその魔物にみんな殺されたの?」
「いや、確かにその魔物は特殊だった。でも街の人達全員が殺されたようには見えなかった」
「それなら街の人達は避難したってこと?」
「正直な話、どうして人がいないのか見当もつかない」
誰もが信じられないと言った表情をしていた。
その気持ちはわかる。俺もまさかあの中年男性しかいないとは思わなかったからな。
だけどこの時、マシロが気になることを口にした。
「動物も・・・魔物と一人の人間以外、生物があの街にはいませんでした」
「生物がいない? そんなバカなことがあり得るの?」
フィーナが驚くのも無理もない。
飼っていた動物や、野良の猫もいたはずだ。だけど何もいないなんて異常過ぎる。やはりあの光が関係しているのだろうか。
この異常事態に、全員の表情が暗くなる。
予想していた以上の出来事なため、考えても何が何なのかわからない。それなら今は考えるより行動するべきだな。
「とにかく今回の件を帝国に伝えた方がいいな。急いで帝都へ向かおう」
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