猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ

文字の大きさ
70 / 74
連載

深まる謎

しおりを挟む
 ダーメリアの探索をした後、俺とマシロは街外れにいるリズ達の元へと戻った。

「ユート様!」
「ユートさん!」

 俺達の姿を見つけると、リズとルルはこちらに駆け寄ってきた。

「無事に戻られて安心しました」
「街はどんな様子だったんですか?」

 二人共安堵のため息をついていた。
 そして二人の後ろから、フィーナがゆっくりとこちらに近づいてくる。

「マシロさんもいたし、私は別に心配してなかったわ」

 フィーナはいつも通り、少しツンツンした様子で話しかけてきた。
 だけどそれは本心ではないことがすぐにわかった。何故ならヨーゼフさんが、俺達がダーメリアに向かった後のことを話してくれたからだ。

「おや、フィーナ様はずっと辺りをウロウロされていましたよね?」
「し、してたけど⋯⋯二人が心配だからじゃないわ。そう⋯⋯時間が空いたから、食べられる野草を探していただけよ!」
「本当ですか?」
「そ、そうよ」
「ではその野草をお見せ下さい」
「えっ! そ、それは⋯⋯」

 フィーナの手に何もないことは見てわかる。野草を探していたという証言は嘘だな。

「べ、別にユートを心配してウロウロしていた訳じゃないわ。マシロさんが心配だったからよ」

 それも少しひどくね?
 あの怪しい光が降り注いだ街に行くのは、けっこう勇気がいる行動だったんだぞ。

「私はユート殿とマシロ殿のことを仰った訳ではありませんが。やはりフィーナ様は二人のことがとても心配だったのですね」
「も、もうそれでいいわ! それより街の様子はどうだったの? もったいつけてないで早く教えて!」

 とうとうフィーナが認めた。やはりなんだかんだ言って、フィーナは俺のことも心配してくれていたようだ。

「これは見事なツンデレというやつですね」

 ルルの言う通りだ。ツンデレという言葉はフィーナにこそ相応しいだろう。

「ツンデレ? そういえばフィーナさんの称号にはツン⋯⋯」
「ちょっとリズ! それ以上は口にしちゃダメよ! 私達友達でしょ?」
「と、友達⋯⋯そうですね。友達です。私は何も喋りませんよ」

 友達とはリズの弱点をついた良い作戦だな。これでリズがフィーナのことについて喋ることはないと思われた。しかしルルはさらに上をいく策略を出してきた。

「リズさん、私もお友達ですよね」
「もちろんです」
「それではフィーナさんの称号を教えて下さい」
「わかりました。フィーナさんの称号は・・・うぅっ」

 リズはフィーナの秘密を口にしようとする。だけどフィーナがリズの口を両手で塞いだ。

「わわっ! そんなことより街の様子はどうだったの? 誰か人はいたの?」
「そうですね。それは気になります」

 ルルも街の様子の方が気になるのか、称号のことについてさらに問いかけることはせず、こちらに視線を送ってきた。
 ルルだけではなく、皆の目が俺に集まる。

「街には魔物がいた。それと一人だけ人がいたけど魔物に殺られてもう・・・」

 あの中年男性のことは、西方の国からあの魔物を倒しに来たことしかわからなかった。もしあの人が生きていたら、街のことも何かわかったのかもしれない。

「まさかその魔物にみんな殺されたの?」
「いや、確かにその魔物は特殊だった。でも街の人達全員が殺されたようには見えなかった」
「それなら街の人達は避難したってこと?」
「正直な話、どうして人がいないのか見当もつかない」

 誰もが信じられないと言った表情をしていた。
 その気持ちはわかる。俺もまさかあの中年男性しかいないとは思わなかったからな。
 だけどこの時、マシロが気になることを口にした。

「動物も・・・魔物と一人の人間以外、生物があの街にはいませんでした」
「生物がいない? そんなバカなことがあり得るの?」

 フィーナが驚くのも無理もない。
 飼っていた動物や、野良の猫もいたはずだ。だけど何もいないなんて異常過ぎる。やはりあの光が関係しているのだろうか。
 この異常事態に、全員の表情が暗くなる。
 予想していた以上の出来事なため、考えても何が何なのかわからない。それなら今は考えるより行動するべきだな。

「とにかく今回の件を帝国に伝えた方がいいな。急いで帝都へ向かおう」

 こうしてこの異常事態を知らせるために、俺達はダーメリアへは寄らず、急ぎ帝都へと向かうのであった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。