姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない

マーラッシュ

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ライトニングドラゴン

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「はいど~も~おでこが痛いリルだよ~」
「リトで~す」
「今日は異世界ハンターで新しいクエストが配信されるので、世界で一番早くクリアしちゃうよ~」

 リルが冒頭でおでこが痛いなどと口にするから、視聴者からのメッセージがたくさん送られてくる。

 :リルさんどうしたの?
 :頭をぶつけたとか?
 :まさかデコピンでもされた?

「みなさん心配してくれてありがとう~。ちょっとオークに攻撃されただけだから大丈夫だよ~」

 :オークって誰だよ
 :まさかリトさんのこと?
 :オークの攻撃をちょっとで済ますことができるリルさん最強

 ちなみに瑠璃のおでこが赤いのは、シスコンと呼んだ罰で俺がデコピンしたからだ。
 それにしても俺のことをオークだと? 性欲が強いとでもいいたいのか? これはまだ反省していないようなので、俺は右手の中指と親指を使ってデコピンの素振りをする。

「そ、それではさっそく異世界ハンターのクエストを進めて行きます~」

 瑠璃は俺のデコピンを逃れるためか、ゲームをスタートさせてしまう。

 まあいい。配信が終わったら覚えていろよ。

 そして俺達は山岳ステージを進んで行き、今回のボスである雷竜ライトニングドラゴンの元へと到着する。
 大きい⋯⋯人の10倍はある大きさの竜で、青白い雷を纏っているため、攻撃を食らうと雷の追加ダメージを受けそうだ。

「それじゃあいつも通り、俺が前衛で」
「私が後衛でやっていきますね~」

 メーカー側から雷竜ライトニングドラゴンの情報は全く明かされていないため、やりながら相手の攻撃を見極めて行くしかない。だが俺達は世界最速でのクリアを目指しているため、多少は危険を犯してでも雷竜ライトニングドラゴンの懐に飛び込むんで行くつもりだ。

 そして雷竜ライトニングドラゴンとの戦いが始まった。
 攻撃パターンは尻尾のなぎ払い、地上から雷ブレス、空中から雷ブレス、かみつき、雷を纏って突撃、左右の鉤爪攻撃と多彩だが、1度見てしまえば予備動作で見極めるのは容易い。

 ボス戦を初めて15分。俺と瑠璃の息のあったプレイで既に相手のHPは残り10%程になっていた。

 :はやっ!
 :やっぱり2人のコンビは最強だな
 :これは本当に世界最速でクリアしてしまうのでは

 視聴者達も俺達の戦いを見てボルテージが上がる。

「リトさんもう少しです」
「このまま押しきるぞ」

 この時、俺達や視聴者を含め、誰もが世界最速のクリアを疑わなかった。しかし⋯⋯。

「リトさんあれを見てください!」

 瑠璃が叫ぶような声を上げると雷竜ライトニングドラゴンは動きを止め、そして身に纏った青白い雷が赤黒い雷へと変貌していくのだった。
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