男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして？

無自覚モード

第2話 やはり冷たい

「おはようございますー」

　教室に入り元気よく挨拶。
　だが、誰も返してくれない。

『おはようって言われちゃったっ。きゃー！！』
『ちょっとアタシが言われたのよ！』
『ああん？　私に決まってるじゃない！』

　と、貞操逆転定番の『私が挨拶されたのよ！』相論もない。

　今日もドSな学園なことで。

「お、おい日浦っ。あんま大きな声出すなよっ」

　席につくなり文句ありげな高橋がコソコソと寄ってきた。

「僕は挨拶をしたんだよ。何も悪くない」

「挨拶のボリュームを下げてよ！」

　こんな堂々としているのは僕くらいだ。
　今登校してきた田中は、びくびくしながら自分の席に座っている。

「女子に目をつけられたら大変だろうっ。田中みたいに……」

「田中は弱々しすぎなんだよ。あれじゃ女の子にいいように使われるに決まってる」

　野球部みたいな坊主で強面の顔なのに、中身は乙女なんだよなぁ……。

「お、おはよう2人共……」

「お、噂をすればきたきた」

　乙女坊主くんの田中が鞄をかけ、僕の席にきた。

「聞いてよ2人共ーっ。今日も女子からパシられてさぁー」

「今回は何されたの？」

「鞄持ちとジュース奢り。あとハグとかお姫様抱っことか」

　後半は別に良くない？

「可哀想に……。俺も部屋にいきなり押しかけられて膝枕しろとか言われたことあるぞ。全く……なんで女子って自分勝手なんだろうな」

　だから別に良くない？
　この学園の女の子はみんな可愛いし、そんな美少女にハグやお姫様抱っこや膝枕なんて逆にご褒美だろ。

　こういう男子の偏見は貞操逆転世界らしいよな。

　ホームルームの時間を知らせるチャイムが鳴る。
　
「おはようみんな」
　
　担任の先生が来てそれぞれの席につく。
　爆乳を揺らしながら教壇に上がった担任は、全員を見回した。

「はい。今日も全員出席で偉いですね」

　主に角に席が集まる男子の僕らを見て微笑む。

「田中君、高橋君、日浦君。この調子で毎日きましょうねぇ」

　ニコッと笑う担任は美人は美人なのだが、田中と高橋はぶるぶる震えていた。

　僕も少し、怖かった。