男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

文字の大きさ
5 / 29
無自覚モード

第4話 むーねが弾むよ、ブルンブルンブルン

しおりを挟む
 バン、ブルン、バン、ブルン

 ボールが飛ぶ音とおっぱいが跳ねる音が響くバレーボールコート。

 実に眼福!!

「なぁ日浦、お前よく巨乳の女の子見れるよなぁ」

「おっぱいの魅力が分からない男が身近にいたとは……。ちょっと語りますか」

「別にいいよ、興味ないし……」

 田中は体育座りで縮こまる。
 高橋はというと、バレーに混ざっていた。

 僕と田中はさっき参加してきたので休憩中。

「どうしてそんなに女の子が苦手なんだよ。外に比べたら全然マシなんだろ?」

「それはそんなんだけど……」

「他に理由でもあるのか?」

 ビクッと分かりやすい反応をする田中。

「……誰にも言わない?」

「僕、口硬いよ」

「さっき見捨てたのに?」

「あれは仕方ない」

「……」

「……」

「……実は俺……

「……」

 え、もしかして僕、貞操のピンチ?

「へ、へぇー…。もしかしてこの学園に気になる男でも?」

「う、うん……。高橋のことが……」

「た、高橋?」

「う、うん」

「今バレーしている高橋?」

「うん」

 ……なるほど。

 てか、僕って男にもモテないんだな! モテても嬉しくないけどっ!

「おーい日浦、田中ー! どっちか入ってくれ~」

 そこにタイミング良く高橋が帰ってきた。

「僕が行くよ」

「サンキュー日浦。田中聞いてくれよ~」

「う、うん」

 話を聞いたからなのか、田中を見ると乙女の顔をしている。

 まぁ、頑張れ!!

「はいはい僕が入りまーす」

 コートに入ると、冷ややかな目で見られたり、「よろしくー」と軽く言われた。

 自分のポジションにボールが来ないので、飛び合うボールを眺める。

 次に七崎さんと女子生徒の間にボールが。

「きゃっ!?」
「うわっ!?」

 しかし、お互い取ろうとして身体がぶつかってしまった。
   
 試合は一旦ストップ。
 慌ててみんなで駆け寄る。

「大丈夫?」

「わ、私は大丈夫だけど……」
 
「っ……」

 七崎さんは足首を押さえていた。
 倒れる瞬間、足首を捻ったのだろう。

「七崎さん大丈夫?」

「う、うん……ちょっと足を捻ったみたい。私は休憩するから、代わり入ってもらえるかな?」

 ぎこちない足取りでコートを出る七崎さん。

 ……心配だ。

「高橋、田中。僕と七崎さんの代わりにコート入って」

「はぁ? 俺まだ5分も休憩してないんだけど!?」

「あとで食堂のメシ奢ってやるから」

「ならいいけど……」

 田中は高橋と二人っきりでお昼を食べれる口実ができて嬉しそうな顔してる。

「それと七崎さんは……」

「私? って……ちょっと日浦くん!?」

 焦った声を出す七崎さん。
 それもそのはず。
 僕がお姫様抱っこをしたから。
 
「足が悪化しないようにね。では日浦大晴、七崎さんを保健室に連れていって参ります」

 美少女をお姫様抱っこできたぜ!

 僕は、晴れ晴れとした気分で保健室へ向かった。

 *****

(え、えーーっ!?)

 私、七崎立夏はみんなの憧れの王子様である日浦大晴くんにお姫様抱っこをされていた。

 男なんて大っ嫌い。

 小さい頃から横暴な態度の男子を見てきた私はそう思っていた。

 九空学園を選んだのは世界でも珍しい『女尊男卑』を掲げているから。

 この学園では偉そうにする男子も変に媚びる女子もいない。

 ただ例外はいる。

 日浦大晴。
 彼だけは女子と積極的に関わりを持とうとしていた。

 九空学園に在籍する男子生徒のほとんどが女嫌い、女性恐怖症、女子に興味がない人ばかり。

 冷たくされるのが好きな変わった性癖の持ち主か、ハーレム目当てで入ってきた変態と思っていた。

 しかし、そんな私の偏見はあっさりと変わる。

『可愛いハンカチだね』

 私が落としたハンカチを拾ってくれた日浦くん。

「あ、ありがとう」

 その日、私は初めて彼と会話した。

 笑顔がとても素敵な人。
 その後も関わるうちに彼の優しさや話しやすさ、魅力にハマり——初恋だと気づいた。

 これがいわゆるチョロいんなのだろう。

 九空学園では生徒会に所属している生徒が頂点に君臨する。
 いくら名家のお嬢様であっても、学園の中では生徒会の方が上なのだ。

 もその権力を使い、日浦くんを独占しようとしている。

 早く日浦くんを私の物にしないと……。
 生徒会のメンバーや表面的にはぺこぺこしている生徒を押しのけて、私が彼氏にするんだ。

 お姫様抱っこを堪能しながら私はそう決意した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

処理中です...