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分からせパート
閑話 私の物に
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(鹿波視点)
「お嬢様。日浦様の調査結果が出ました」
執事の義澄が私を呼ぶ。
公園で拾った彼の名前は日浦大晴。
年は高校生くらいだろう。
彼はまるで記憶喪失のような状態。
男女比が1:10まで陥り、自分が貴重は男性であるという世界の常識まで知らない。
服装もボロボロで、ところどころ汚れや穴も空いて小汚い。
……少なくとも、普通じゃない環境にいたことは間違いないだろう。
「報告して」
「はい。日浦大晴様の戸籍は……存在しませんでした」
戸籍が存在しない。
と、なれば……
「売られた可能性が高いかもしれないわね……」
男が売り飛ばされる事案は耳にする。
理由は簡単。お金になるから。
……子供を売るなんて。
自然と拳に力が入る。
「お嬢様」
「ごめんなさい、取り乱したわ」
深く息を吐き出して自分を落ち着かせる。
「……彼を引き取る事は可能?」
「お嬢様が望むのであれば。ただ会長に報告は必要かと」
「そう、ならお願いするわ」
「かしこまりました」
◆
「美味しい!」
お風呂から上がった大晴は、遅めの夕食を取っていた。
私は済ませたので、目の前で美味しいそうに食べる大晴の顔を眺めている。
よほどお腹が減っていたのか、パクパクと次々に頬張る。
まるで私が餌付けしてるみたい。
その可愛らしい姿に思わずクスッと笑ってしまった。
大晴が不思議そうに私を見る。
「ごめんなさい。可愛いかったから、つい」
「可愛い? 僕が?」
「ええ」
「褒め言葉なんだと思うけど、僕はイケメンになりたかったよ。もう無理だけど……」
シュンと落ち込む大晴。
それにしても、彼の口調は穏やかだ。
この世界の男性は女性に横暴な態度を取る人が多い。
立場が上なことを自覚し、常に女性を見下し、自分の欲望のまま使う。
私の母親が経営する学園は、そういった価値観を少しでも減らすために、『女尊男卑』を取り入れている。
おかげで、外の男とは比べられないほど、良心のある生徒が毎年卒業し、社会に出て行く。
たまに優しい男がいると噂になる人物は大体、うちの学園の卒業生だ。
けれど大晴は元から……
「……大晴は優しいわね」
「優しいって別に普通だと思うよ?」
小声で呟いたつもりが、聞こえてしまったようだ。
「私は大晴みたいな男性が好ましいわ」
「僕も鹿波ちゃんみたいな優しい女の子が好きだよ」
にへーと無邪気な笑顔。
その表情に少しドキリとしてしまう。
純粋な子供のような澄んだ瞳。
穢れを知らない無知な体。
私の思うがままに。
私の物に———
「お嬢様。日浦様の調査結果が出ました」
執事の義澄が私を呼ぶ。
公園で拾った彼の名前は日浦大晴。
年は高校生くらいだろう。
彼はまるで記憶喪失のような状態。
男女比が1:10まで陥り、自分が貴重は男性であるという世界の常識まで知らない。
服装もボロボロで、ところどころ汚れや穴も空いて小汚い。
……少なくとも、普通じゃない環境にいたことは間違いないだろう。
「報告して」
「はい。日浦大晴様の戸籍は……存在しませんでした」
戸籍が存在しない。
と、なれば……
「売られた可能性が高いかもしれないわね……」
男が売り飛ばされる事案は耳にする。
理由は簡単。お金になるから。
……子供を売るなんて。
自然と拳に力が入る。
「お嬢様」
「ごめんなさい、取り乱したわ」
深く息を吐き出して自分を落ち着かせる。
「……彼を引き取る事は可能?」
「お嬢様が望むのであれば。ただ会長に報告は必要かと」
「そう、ならお願いするわ」
「かしこまりました」
◆
「美味しい!」
お風呂から上がった大晴は、遅めの夕食を取っていた。
私は済ませたので、目の前で美味しいそうに食べる大晴の顔を眺めている。
よほどお腹が減っていたのか、パクパクと次々に頬張る。
まるで私が餌付けしてるみたい。
その可愛らしい姿に思わずクスッと笑ってしまった。
大晴が不思議そうに私を見る。
「ごめんなさい。可愛いかったから、つい」
「可愛い? 僕が?」
「ええ」
「褒め言葉なんだと思うけど、僕はイケメンになりたかったよ。もう無理だけど……」
シュンと落ち込む大晴。
それにしても、彼の口調は穏やかだ。
この世界の男性は女性に横暴な態度を取る人が多い。
立場が上なことを自覚し、常に女性を見下し、自分の欲望のまま使う。
私の母親が経営する学園は、そういった価値観を少しでも減らすために、『女尊男卑』を取り入れている。
おかげで、外の男とは比べられないほど、良心のある生徒が毎年卒業し、社会に出て行く。
たまに優しい男がいると噂になる人物は大体、うちの学園の卒業生だ。
けれど大晴は元から……
「……大晴は優しいわね」
「優しいって別に普通だと思うよ?」
小声で呟いたつもりが、聞こえてしまったようだ。
「私は大晴みたいな男性が好ましいわ」
「僕も鹿波ちゃんみたいな優しい女の子が好きだよ」
にへーと無邪気な笑顔。
その表情に少しドキリとしてしまう。
純粋な子供のような澄んだ瞳。
穢れを知らない無知な体。
私の思うがままに。
私の物に———
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