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延長戦
第19話 攻略された女の子……既に攻略済みの女の子?
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一週間後の放課後。
僕は三階の一番奥にある教室に呼び出されていた。
「あれ? なんでみんなも……」
教室に入ると、立夏ちゃん、美奈ちゃん、弥夕ちゃんがいた。
「私が呼んだからよ」
後ろから声が。
振り返ると僕の恩人である九空鹿波がいた。
「鹿波ちゃん!!」
「久々ね、大晴。元気そうで良かったわ」
紺色の髪を靡かせ、微笑む姿はまさに美人。
「みんなも元気そうで良かったわ」
「お久しぶりです鹿波さん」
「久しぶり……す」
「……」
それぞれ挨拶を返すもどこかぎこちなく、まるで警戒しているような態度だ。
「ふふ、その様子じゃ全部分かってるみたいね」
「やはり貴方が裏で指示していましたか」
「ええ。でも良かったでしょ? 大好きな彼の彼女になれて」
ん? 大好き?
「そんな大好きなんて、僕たち付き合ったばかりだよ? これから大好きになるのもじゃないの?」
「これから愛を育むのもいいけど……彼女たちは最初から大晴のことが好きなのよ」
……最初から好き?
「って、ことは……攻略する必要はなかったってこと!?」
鹿波ちゃんがクスクスと笑い、3人から盛大なため息が漏れた。
ま、まぁでも僕のことを好きでいてくれたことはありがたい。
鹿波ちゃんと2番目の彼女が3人。
十分ハーレムだ。
どこか気持ちの片隅にあった。
貞操逆転世界に来れば、簡単にハーレムが作れると。
現に作れたし、その仮定は間違いない。
しかし、管理できるかは別だ。
たくさんの女の子を囲うなら、彼女らの間に立って関係を取り持たねば、修羅場なってしまう。
ハーレムを仕切るというのは大変だ。
今更気づいて、僕は少し気が重くなった。
「そんな重い顔をしないでも大丈夫よ。ハーレムを成功させるために"2番目の彼女"と言うように仕向けたから」
鹿波ちゃんは言葉、続ける。
「女子が争うのは、我こそはが1番になりたいと思うから。だったら、最初から2番目の枠しか作らなければ取り合いや喧嘩は起こらない。2番手争いなんて誰もしないでしょ?」
つまり、2番目と言うことで、1番目が別にいることを悟らせる。
その上で付き合ってくれた頼んだ場合、了承すれば必然的にハーレムに入るということになると……。
これは、イチャイチャオンリーハーレムができるのでは!?
「本当にその"親切心"だけですか?」
立夏ちゃんは言う。
「そうねぇ……強いていうなら……」
鹿波ちゃんはポケットからスマホを取り出し。
『なる! 僕鹿波ちゃんの夫になる!』
『ふふ、ちゃんと言って』
『僕、日浦大晴は九空鹿波ちゃんの夫になります!』
これは確か、鹿波ちゃんが僕のことを大晴を夫に貰ってあげると言った時の……。
「1番目は譲らないってことですか」
「それじゃあ今日のところはこれで解散。また呼ぶわ」
「え? え?」
僕だけ何が何だか分からないまま、終わった。
◆
場所は変わって僕の部屋。
「鹿波ちゃん酷いよ、みんなが僕のこと知ってて攻略しろって言ったの?」
「そうよ。でも結果的には付き合えたからいいじゃない」
「そりゃ、終わり良ければ全てよしだけど……」
「それに彼女たちも想いを我慢せずに付き合えたもの。万々歳だわ」
「想いを我慢?」
「基本的に女の子から交際を申し込むのは中々しないのよ。けれど今回は大晴が積極的に動いた。それを周りは見ていた。これで証言者がいるじゃない。『彼女になってと言われたから、付き合ってる』って」
僕が告白したとなれば、学園内ではどう思われるが分からないが、外では納得させることができる。
何故なら、男の方が立場が上だから。
攻略は全てハーレムが作りやすくするためと戦略。
「やっぱり鹿波ちゃんは凄いや! ありがとう!」
あとは学園内の女の子だね!
「攻略はまだ終わりじゃないわ」
「終わりじゃないの!?」
「——延長戦よ」
「延長戦?」
「ええ。貴方がこのハーレムの主人だと分からせるのよ」
鹿波ちゃんは自分の唇を指でなぞり……刹那、距離がゼロになった。
「っ!?」
柔らかくて温かい。
……頭が追いつかない。
あれ? 僕今何された……。
「……ぷはぁ。さぁ本気で分からせにいくのよ」
鹿波ちゃんが何か言ってるけど、頭がふわふわしてる。
うん。僕、今キスされたんだ……。
…………。
え!? キスされた!?
初めて……初めてのファーストキスだったんだですけど!?
僕は三階の一番奥にある教室に呼び出されていた。
「あれ? なんでみんなも……」
教室に入ると、立夏ちゃん、美奈ちゃん、弥夕ちゃんがいた。
「私が呼んだからよ」
後ろから声が。
振り返ると僕の恩人である九空鹿波がいた。
「鹿波ちゃん!!」
「久々ね、大晴。元気そうで良かったわ」
紺色の髪を靡かせ、微笑む姿はまさに美人。
「みんなも元気そうで良かったわ」
「お久しぶりです鹿波さん」
「久しぶり……す」
「……」
それぞれ挨拶を返すもどこかぎこちなく、まるで警戒しているような態度だ。
「ふふ、その様子じゃ全部分かってるみたいね」
「やはり貴方が裏で指示していましたか」
「ええ。でも良かったでしょ? 大好きな彼の彼女になれて」
ん? 大好き?
「そんな大好きなんて、僕たち付き合ったばかりだよ? これから大好きになるのもじゃないの?」
「これから愛を育むのもいいけど……彼女たちは最初から大晴のことが好きなのよ」
……最初から好き?
「って、ことは……攻略する必要はなかったってこと!?」
鹿波ちゃんがクスクスと笑い、3人から盛大なため息が漏れた。
ま、まぁでも僕のことを好きでいてくれたことはありがたい。
鹿波ちゃんと2番目の彼女が3人。
十分ハーレムだ。
どこか気持ちの片隅にあった。
貞操逆転世界に来れば、簡単にハーレムが作れると。
現に作れたし、その仮定は間違いない。
しかし、管理できるかは別だ。
たくさんの女の子を囲うなら、彼女らの間に立って関係を取り持たねば、修羅場なってしまう。
ハーレムを仕切るというのは大変だ。
今更気づいて、僕は少し気が重くなった。
「そんな重い顔をしないでも大丈夫よ。ハーレムを成功させるために"2番目の彼女"と言うように仕向けたから」
鹿波ちゃんは言葉、続ける。
「女子が争うのは、我こそはが1番になりたいと思うから。だったら、最初から2番目の枠しか作らなければ取り合いや喧嘩は起こらない。2番手争いなんて誰もしないでしょ?」
つまり、2番目と言うことで、1番目が別にいることを悟らせる。
その上で付き合ってくれた頼んだ場合、了承すれば必然的にハーレムに入るということになると……。
これは、イチャイチャオンリーハーレムができるのでは!?
「本当にその"親切心"だけですか?」
立夏ちゃんは言う。
「そうねぇ……強いていうなら……」
鹿波ちゃんはポケットからスマホを取り出し。
『なる! 僕鹿波ちゃんの夫になる!』
『ふふ、ちゃんと言って』
『僕、日浦大晴は九空鹿波ちゃんの夫になります!』
これは確か、鹿波ちゃんが僕のことを大晴を夫に貰ってあげると言った時の……。
「1番目は譲らないってことですか」
「それじゃあ今日のところはこれで解散。また呼ぶわ」
「え? え?」
僕だけ何が何だか分からないまま、終わった。
◆
場所は変わって僕の部屋。
「鹿波ちゃん酷いよ、みんなが僕のこと知ってて攻略しろって言ったの?」
「そうよ。でも結果的には付き合えたからいいじゃない」
「そりゃ、終わり良ければ全てよしだけど……」
「それに彼女たちも想いを我慢せずに付き合えたもの。万々歳だわ」
「想いを我慢?」
「基本的に女の子から交際を申し込むのは中々しないのよ。けれど今回は大晴が積極的に動いた。それを周りは見ていた。これで証言者がいるじゃない。『彼女になってと言われたから、付き合ってる』って」
僕が告白したとなれば、学園内ではどう思われるが分からないが、外では納得させることができる。
何故なら、男の方が立場が上だから。
攻略は全てハーレムが作りやすくするためと戦略。
「やっぱり鹿波ちゃんは凄いや! ありがとう!」
あとは学園内の女の子だね!
「攻略はまだ終わりじゃないわ」
「終わりじゃないの!?」
「——延長戦よ」
「延長戦?」
「ええ。貴方がこのハーレムの主人だと分からせるのよ」
鹿波ちゃんは自分の唇を指でなぞり……刹那、距離がゼロになった。
「っ!?」
柔らかくて温かい。
……頭が追いつかない。
あれ? 僕今何された……。
「……ぷはぁ。さぁ本気で分からせにいくのよ」
鹿波ちゃんが何か言ってるけど、頭がふわふわしてる。
うん。僕、今キスされたんだ……。
…………。
え!? キスされた!?
初めて……初めてのファーストキスだったんだですけど!?
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