魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第12章 開発再び

第437話 産業はいつも一つの工場から始まる。

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 次の視察は、食肉ダンジョンの新たな消費先(さんぎょう)となってきた革製品工場だ。ジャンが主導して生産を整えたここは発注を受けて革の防具や盾を作る工房だ。これが地味に金属より軽く、それでいて木と組み合わせる事でかなり丈夫な防具を作ることができる。鉄や青銅、黄銅などの防具ほどの硬さはないと言いたいが地味にほんの少ししか防御効果に差が無い防具として主に駆け出し冒険者や最近発生し始めてきた”専属冒険者”向けの防具として承認に大量に買われ、発注されている。こちらは食肉のついでに余る革をふんだんに使う事でかなり贅沢な防具が。そして向こうは金属製には及ばないものの軽く、そして、防寒、通気性などの観点で地味に愛好家を増やしている。
「ここも人がやたら多いな。」
「こちらに定期的に防具を発注しているからな。」
「そうなのか?}
「特にバイラード製やバーストブルの頭革とか、かなり高いものをな。」
 その辺は確か、現行の最高スペック防具ではないですか、モアレさん。実際、ここの候場の村人にだけは最悪の手段としてこちらに書類を送ってもらえれば、ダンジョン側で生産し、送る手はずにもなっている。が聞いたことない。バイラード革はゴム状であり、しかも結構分厚いので防腐処理の後の圧縮でかなり固く、耐衝撃性に優れた防具となる。そしてバーストブルの頭の革は元々頭突きで爆発する性質のある牛の頭の革は非常に厚く、それでいてかなりの軽減効果を生む。それを作った盾を販売したところ、かなり効果が高いらしくて…ちょっと待って、
「イーハ。これ。」
 ポアンから差し出されたのはここの予約伝票だ。2か月待ちか。バーストブルの撃破報告も少ないので、実際は妥当だろう。3か月に一度のウルフェのダンジョン内ラクシャーサ村との交易でしか現在は手に入らない…バーストブルの革を用いる。こっちの狩人で倒せる奴もいるのだが、頭突きで爆発する特性がある為。頭が無傷のまま倒すのが難しい。その点賢者が種族特性に近い魔法と格闘の名手であるラクシャーサ村では、餌で普通に狩って帰って来る。そして、肉は食べ、革は売りさばかれる。…え?彼らは皮を使って防具を作らないのか?それがちょっと微妙でまず成長すると腕が増えるので。服が着れない。胸当てが限界だ。そして胸当ても、彼らの習慣と名誉である頭蓋骨のネックレスを付ける上では邪魔になりやすい。なので基本下だけ覆っただけの裸族だ。しかもその下を履く風習も生産時に植え付けた記憶によるものだ。なので…基本は裸らしい。しかも革布一枚を好む。これも聞いたところ理由があり、それが…隠密性の為だ。彼らは性質が狩人であり、狩りの為にすべてを費やす。食事も日ごろの鍛錬もそして、頭脳も魔法もだ。その中で重んじているのが”不意討ち”だ。音もなく近づき、そして投げ槍を全力で投げつける。それも増えた腕全てで握ってだ。そして仕留めた獣を神と祖霊に感謝しつつ皆で全力で食べるのだ。…おっと。
「でも間に合うのか?}
「最近はワーカーゴーレムやほら…。」
 見た先ではシルキーとワーカーゴーレムが二人が狩りで力作業をゴーレムがそれ以外をシルキーが分担して、革のなめし作業をしている。しかも大量の革を処理している。
「ああやって皮を増産して乾燥も魔法で行うから、かなり量産出来ている。」
 ふむ…。そうなると、
「ただな、鎧職人の数が思ったより増えなくてな。それで…結構厳しいと聞いてる。」
「じゃあ…。」
「最近は買い付けの馬車も走らせているし、リラシルト含め各地から人間を集める計画もある。」
「奴隷?」
「身売りだな。意外と貧困地域や、難民からも申し出があるが…。こっちの家の増設次第だな。」
「足りているのか?」
 この村はもう一つ産業があり、それが”米生産事業”だ。ダンジョンで苗を作り植えてもらう事で、腹が結構一杯になる”米”の販売を行っている。パン食文化ではあるが風切り亭を含む異世界食堂文化が地味にコメの消費を助け。食堂を中心に引き合いが増えている。ただ味は品種改良された日本のコメより味がぼやけていたり、そこまでうまくないが、小麦と生産地域が違う事で、麦が不作でも米はあるという状況下になりやすく、農耕可能地域の増大という利点があり、また”脱穀と乾燥”による保存性の高さもかなりの高評価だ。但し、これら3事業を村一つで増強してしまったために聞いた話では人材不足が加速している。難民がいるかもしれないが。それがあまり芳しくない。それが”第2次食肉ダンジョンフィーバー”と呼ばれる現象のおかげだ。難民が溢れ、帝国内部に広がっていくうえで、難民に注目されたのが革まで売れて即金が手に入る”ダンジョン狩人”と呼ばれる職業になった難民がやたら多かったのだ。肉は最悪持ち帰れば食えるし、革は安くても…ある問題のせいで一定額以下に下がらなかった。それがメイズ問題だ。メイズは大型モンスターや中型モンスターを弾き、モンスターの脱出を防ぐという意味合いがある迷宮である。4階層に及び結構広めで、蛇行している。肉は解体で体積を減らすもののそれでも小さい獣でないなら専属のポーターを数人雇わないとたとえ倒してもダンジョン外に運べないのだ。そうなると、そのポーターの雇用費などの諸経費が掛かり、その上魔物の為に死の危険性もある。そうなると、買う商人側もそこまで強気に出れない。しかもこの肉を狙う業者も多ければ”星肉”として保存することも多いので、値引きがしにくいのだ。それがさらに難民の”ダンジョン狩人化”がとまらなかった。
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