魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
953 / 1,526
第21章 薔薇と白い月(ダークファンタジー)

第945話 薔薇と白い月(2) 誰も得しない計算違い

しおりを挟む
 教授が言うにはこのゲームの4と5にはやり込の極致であり、ある条件を満たさないと出現しないシナリオがある、それがハーレムよりきついシナリオで真のエンディングに行くと言われる、どの攻略相手とも一切攻略を進めない”グラウンドゼロ”と呼ばれるシナリオだ。ただしそれはリメイクには存在しない。というのもギルドに行けば聖女には攻略対象の少年が攻略ゲージを上げて対応してしまい、学園に行けば最初にクリメアとのフラグが立ち、リメイクの1は誰の攻略も一切進めないゲームはあり得ないとされている、その為達成した者がいないシナリオ。それがグラウンドゼロだそうだ。これはハーレムトライ成功後の2週目限定でこの時だけ”魔王様”との恋愛ができる。このゲームの魔王様はやたらイケメンで優しい、少女漫画の優しい王様でこのシナリオは…その到達条件の厳しさもあってやり込プレイに数えられていた。そしてこの攻略が見つからない理由はアルバムにこのクリアの示唆が一切ない。その上スチルも見つけた後にその分が増えるという徹底的な隠しだからだ。但し4は魔王様との恋。そして5は初代聖女の老婆と暮らす親孝行ルートだ。そのいずれも条件を満たさないといけない。それが
「誰の攻略も一切進めない事。そして、その状態で学園のイベントを一切起こさないまま町の外に出て、結界の外行けるにあるポイントまで行き、王国の外に脱出する事。その間
魔王軍ダンジョン攻略部隊である特定エネミー(雑魚)との戦闘もしない。」
 という…まずもって見つからない方法だからだ。
「クックック。私は独自に探ったが、それらしい箇所は無かった。それどころか、この結界を動かせるのはどうもあるイベントをこなした聖女のみだ。だから、学園内でオープニングをこなしていないリリアを探していた。」
「フラグ関連は大丈夫なのか?」
「プレイヤー同士だとフラグは機能するが、回避できる。特定の会話さえなければいい。」
 グラウンドゼロ。そんなシナリオあったのか。
「但しこれは都市伝説と言われている、ただでさえチャートを書いてさえ成功率4%とか言うきついハーレムトライだぞ。そのクリア後にその全員と合わない選択肢を取れるやうがいるかって事だ。」
「それがこのリメイク版にあると思っておるのかの?」
「これに関しては全員あるとは言うが、4と5でさえ証拠の絵がないんだぞ。その為ガセという者さえ多い。そして女性プレイヤーの多くは攻略サイトの何の魅力もなさそうなシナリオに誰もトライしないって事だ。」
 例のグラウンドゼロのシナリオのデータだけ教えてもらい、ドランは返答を保留した。どうも…教授のデータによると私は、厄介なネタを引いてしまった。それがイキール・マリモッサーが”攻略対象”である。という事だ。この2週目のゲームが全員の予想だとリメイクの1だと思っていた。が教授によると、それだと”錬金貴族”という設定さえないのだという。前回のシナリオでは教授はこの錬金貴族になり、イキールの様子を観察しつつ、各地を調査した。そうした所攻略対象の力士”ブラッド・ソン”がいた。それで教授は確認したという、ミックスシナリオの可能性が高く、4や5の舞台がどこかにある可能性があると。そんなイキールマリモッサーは。錬金術関連のシナリオのライバルであり、それが彼と付き合ううちに友人となり、貧乏なマリモッサー家を錬金術で豊かにしていき、それが恋愛につながる。というシナリオだ。そこで私は実家で農業をする情けないおっさんの役で出てくるのだそうだ。名前も”イキールの父”だ。確かに、この設定なら絶対に設定では私を家計を豊かにさせない。させるシナリオがそこにあり、主人公の補正の方が機能するから。が、これを聞いたドランも、私も頭を強打されたくらいのショックだった。まさかイキール・マリモッサーが攻略対象だと思わなかったからだ。
「どこで会ったんだ?息子と。」
「それがじゃのぉ。苦学生の儂は…実は学校の寮に入れなかったんじゃ。例の足止めで応募が終わる前に…空いた部屋を他の貴族の従者に部屋にされてしもうたんじゃ。そこでスラム街で暮らして、通学しておるのじゃが、そこの食費やら…教材費が高くてのぉ。毎日学校をさぼって薬草取りをしておったのじゃ。お主が買い上げてくれるのが…必須じゃったからの。」
「だがそれが…アンジェ達の捜索網から外れる結果か。主人公がまさか学園にいないとか、考えないだろ。」
「そうじゃ。どうもそこに故意の妨害の影を感じておる。が、そこが分からんのじゃ。それで薬草を取っておる時に、イキールに出会ったのじゃ。奴も薬草からポーションを作り売り裁いて資金の足しにしたいと言っておったが、なぜか、そこで儂の意識が飛んで、気が付いたらここにおったわけじゃ、しかもイベントが…。」
「そう言う事か…ここはイキールの実家のマリモッサー村だ。という事は…これは3の錬金イベントのスタート。ここで村人の意見を聞いて…ならこれを渡しておく、ここで必要なはずだ。帰還命令を出しておく。」
「何をじゃ?」
「少し、私もゲームにあらがいたくてな。資金調達をしておいた。」
「旦那様。」
 会話の途中で、オウルが入ってきた。その顔は青ざめていた。
「どうした。」
「…イキール様が逃亡してのぉ。どうも我が家の馬車に乗って走り去ったのを村人が確認したそうだのお。追うかのぉ?」
「イキールが乗ってきた馬車か?」
「はい。」
 …この状態はイキールからしても意外だったのか。となると宿題の話はこっちから離れて自分一人になる為の口述か。向こうも大方イキールが攻略対象であることを知らないな。
「放置しろ。但し家には連絡を入れておけ、…わざとイキールの口車に乗るように。」
「は?」
「大方ある事無い事を言って、何かをもくろむはずだ、その目論見を知りたい。ミヨちゃんに眷属召喚から、イキールに誰かつけておけ。」
「了解したのぉ。儂から伝えておくからのぉ。」
「お主…。」
「グラウンドゼロ…やってみるか?」
「…やれるかのぉ。」
「大方、もうフラグを踏んでいると判断している、それが偶然であってもな。」
 そう、実はさっきの話で確信に近いものを感じた。それが”貴族によって寮を追われた”の部分だ。主人公は普通強制力もあり学校内にいられるはずだ。なのに追い出された。この時からもうリリアは聖女候補から外されている。そして鳥海のメモからそんな状態のデータは存在しない。という事は隠しシナリオ”グラウンドゼロ”が発動している可能性が高い。
「…これは世界の深淵を見る…そんなシナリオかもしれん。」
 そう、歩かないかさえ不明な誰も知らない隠しシナリオ”グラウンドゼロ”。偶然とはいえ、ドランはその入り口に立ってしまったのだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...