魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

文字の大きさ
954 / 1,526
第21章 薔薇と白い月(ダークファンタジー)

第946話 薔薇と白い月(2) 急に演技になると塩対応と呼ばれる

しおりを挟む
「ヨロシクなのじゃ。」
「また持ってくるねー。」
 ドランが手を振り子供と村人たちを見送る。この村において、薬草を薬に変えてくれる存在は救世主に近い。村々から貰った薬草を買い取り、ポーションにして隣村の商人に売る。これがドランの最近の毎日だ。ポーションは安いが、濃縮する事で濃厚ポーションになることが分かると、ドランは早速村人から…小銭を使って薬草を買い集めた。まあ一抱え銅貨一枚だが、前は捨てるほどあったのだ。それに雑草取りの雑草を買ってくれる感じなので、ガンガン売りに来るのだ。ポーションが人気ないこの世界において、この薬草は雑草と変わらない扱いだ。そんなドランが猫車を持ち貴族の家に帰ると井原がいた。
「やっと来たか。これをやっと渡せる。持っておけ。」
「これは何じゃ?」
「神様からの支給品。錬金コマンド付きインベントリだ。錬金内容は私がかき集めたご禁制含む全レシピだ。」
「はぁ?」
 ドランも訳が分からないという顔だ。
「この錬金窯の解析をしてな…神様に企画書出すタイミングがあって…そこで出して、できたのがそれだ。私には理解できんアイテムだ。」
「もしかして錬金窯の解析も終わったのかのぉ?」
「そうだ。解析は終わった。で、ポーションのレシピも私が解決した。そのかばんに入れて濃縮薬草汁が手に入る。それが各種ポーションの素材になる。レシピによるアイテム強化とか、ゲームにありそうなレシピは入れておいた。そのポシェットの口に紐があるだろ、そこを触ればコマンドが出る。」
「ほ、ほんとじゃ!」
「でどうも、そのアイテムを渡すまでは…このゲームが始まったことにならないらしい。そしてついに始まるんだ。ゲームが…。」
 感動的に言ってみる。
「一つ思ったこと言っていいかのぉ。」
「なんだ?」
「これ、出遅れたと言わんかのぉ。」
・・・あ、
「あ、はい。」
「ですよねー。」
 分かってはいるんだ、一か月は経っているんだ。なのにこんなところでスタートを切るとか考えもしないだろう。そして向こうは大慌てだろうな。実際のゲームでは学校が半年終わると、このモードイベントで村を見て…その後に学校に帰ってから再建クエストが発生するんだが…その学校にも行っていなければ、なぜか村スタートだ、学園物で攻略対象と会う機会が存在しない。という…何とも言えない話になって来た。
「でものぉ、どうするんじゃ?ここから。」
「中にある程度薬草は集めておいた。ゲームと条件が一緒なら。私は外に出られないし、お前ひとりで森の最奥に行くしかない。その錬金コマンドで、一人最奥に・・・。」
「なんじゃ?」
「”森の奥には精霊が住むという。…気を付けて採取に行くんだよ。”」
「”おじさん、大丈夫!そんなドジじゃないわ!”」
 ドランが腕まくりをして答える。
「”そうか、私はここにいて村人の為にポーションを作っているから、道具が欲しいならおいで。”」
「”はい、男爵様。”…何じゃこれ。」
「イベントが始まったようだな。薬草取り行ってこい。で、とっとと帰って来い。」
「なんかさっきのおっさんと今が全然違うドライっぷりなのじゃ。塩対応じゃぞ。」
「文句言うな、それの開発のために相当な資金突っ込んだんだ。それがお前に持っていかれるんだ、塩対応にもなる。」
「…。・・・・・・・・・うん、ごめん。」
「すまんな、私も怒りがないわけじゃないし、お前が悪いわけじゃないんだ。ごめんな。」
 なんかすごい空気が悪くなった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...