大人への門

相良武有

文字の大きさ
57 / 67
第二話 真夏の夢幻し

④麻衣と慎一の出逢い

しおりを挟む
 三日目の午後、室内プールで麻衣が気持ち良さそうに泳いでいた。
プールサイドには海へ向かって大きく張り出したテラスが在った。其処には日除けのパラソルが幾つか並び、テーブルも設えられてスナックになっていた。
暫くして、麻衣が水着のままそのスナックに近付いて行った。彼女は紺のワンピースの水着を着用していたが、布地が薄く、体にぴったりくっ付いて体型が明からさまだった。麻衣のプロポーションは日本人離れしていた。腕や脚は長くてほっそりしているのに、バストとヒップは豊かに張っていて、服を着ている時よりも肉感的に見えた。
麻衣がふと見ると、テラスとは反対のプールサイドのデッキチェアに慎一が寝そべって居た。日光浴をしているらしかったが、その視線は水着一枚の麻衣に吸い付いていた。麻衣がじっと見遣ると彼は慌てて海の方へ顔を背けたが、如何にもわざとらしかった。
ひょっとして、彼はプールで泳いでいる私を眺める為に、あそこへ来たのではないかしら・・・可愛いじゃないの・・・
麻衣がそう思うほど慎一の眼は露骨にギラギラしていた。
「僕、気が小さくて人見知りするので、ダイニングルームへ出て食事をするのが恥ずかしいんです」
「えっ?」
「だから、いつも自分の部屋へ運んでもらって居るんです」
「そうなの・・・でも、一人切りの食事はやっぱり淋しいでしょう?」
「ええ、まあ・・・」
「良いわ、今夜から私と一緒に食べましょう、食事に行く前に声を懸けてあげるから、ね」
「えっ、良いの?真実に?」
慎一は毎日太陽に当たっている所為か、よく陽に焼けて逞しくなっていた。水着の上に白いタオル地のワンピースを羽織った麻衣と、海水パンツにシャツを引掛けた慎一は肩を並べて歩き出し、愉し気に話を続けた。慎一の表情が嬉々として明るくなった。ホテルへ来た当座の落ち着きの無さは丸で嘘のように消え失せていた。
 麻衣が部屋へ戻ると直ぐに忍がやって来た。
「大学に落ちてノイローゼになっている男の子が居るんだって?」
誰から聞いたのか、忍は面白そうに言った。
「世の中、いろんな人が居るのね」
夜になって忍が夕食のダイニングルームへ降りて行くと、テーブルについているのは麻衣一人ではなかった。向かい合わせに慎一が座っていた。二人は親し気に、愉し気に話し合っていた。声を懸けそびれた忍が暫し眺めていると、食事を終えた二人は揃ってエレベーターの方へ去って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...